とても可愛いです付き合ってくださいと言えと言われたので言ったら人生が壊れたんだが?〜平凡が才色兼備のクール系美少女と付き合ったら人生逆転?〜

ネリムZ

文字の大きさ
4 / 31

妹とお試し彼女の意地のぶつかり合い、しかしそこにはとある人物達の仕事を邪魔している事になる

しおりを挟む
 本屋では俺のバイト代を使って愛海に参考書を買って終わった。
 それからも色々と出かけて、帰る時には夜遅くになってしまった。

 現在厨房で愛海と雪姫が火花を散らしていた。

「今日からお世話になるんです。今日は私が晩御飯を作りますよ」

「良いんですよ。義妹いもうとなんですから義姉あねに甘えても」

「いえいえ」

「いえいえ」

 厨房で2人を見守っている料理人達の心は一致している。

(いや、我々の仕事なんですが)

 結局、1人の料理人の圧倒的最強の意見『親睦を深める為に協力する』で妥協されたのであった。

 リビングでは大きな食事のテーブルに4人、男女比は1対3に座って食事を取っている人達が居る。
 俺達である。

 西園寺は令嬢と言う事もあるのか、食事を取る姿は様になっていた。
 今日から生活がボロアパートから大きな屋敷に変わった。
 だけど、俺達兄妹は何も変わらない、そう思う。

「あ、あの。拓海君。その、お口に合いませんでしか?」

「いえ。食器等が綺麗過ぎて触る事を体が否定しているだけです」

 まじで手が動かん。
 仕方ないじゃん。割り箸を使い回していた俺達なんだ。
 こんなすぐに綺麗なスプーンや箸とか使えんて。
 なぁ我が妹達よ。

「ん? お兄ちゃん、とっても美味しいと思うよ?」

「うん!」

 若者の適応力と言うか順応性と言うか、凄まじいな。
 俺も、食べよう。
 今日は色々とあって疲れたし、良く寝れそうだよ。ほんと。

 お風呂は順に入る事になり、俺が最後になった。

「お兄ちゃん一緒に入ろぉ!」

 西園寺の攻撃によりそのような事は無くなった。

「お兄ちゃま入ろ!」

 西園寺の以下略。

「た、拓海君。一緒にて⋯⋯」

 使用人プラス愛海の努力の元、何とか収まった。
 使用人が1番大変そうだったな。
 やはり雇われる立場だからか、強く言えてなかった。

 そして、最初は愛海と海華が入っている。
 2人は1時間後に出て来た。

「て、2人ともなんで泣いてんの!」

「何かありましたか?」

「ち、ちがんです雪姫さん。あ、暖かい、お風呂、なんて久しぶりで」

「広かった⋯⋯」

 ごめん。不甲斐ない兄で。ごめん。そしてありがとう西園寺!

 俺も入る。うん。めっちゃ広かった。
 母親が生きていた時に一緒に温泉に行った時に見た温泉くらいの広さはあった。
 シャワーなんて5つもあるんだぜ。一般家庭はシャワー、1つだろ。

「暖かい」

 1週間に1回水風呂に入れるか入れないかの境界線をさ迷っていた時とは違う。
 これも全部西園寺のお陰なんだよな。

「なんで完璧な西園⋯⋯雪姫さんが俺なんかを」

 好きでいてくれるんだろう。
 確かに昔に女の子と遊んだ記憶はある。
 だが、具体的な事が全く思い出せないのだ。
 家族以外の異性と遊んだのってそれで最初で最後だったから遊んだ事は覚えているんだけどな。
 色々と気になる事が増えたな。

「ふぅ。そろそろ中に入らないと風邪引きそうだ」

 広くて足が動かなかったが、やっと動くようになった。

 用意されたパジャマ(高級感がある)を着て部屋に戻ると、ベットにゴロゴロしている妹達と正座している神威が居た。
 うん。何があった?

 内容はこうだった。
 俺を待つ間俺の部屋で遊ぶ可愛い妹達。
 俺が居ると思って帰りの挨拶をしようと思った神威がドアを開けて入る。
 高級感があるパジャマで背筋が痒くなった愛海は背中を掻いて居た。
 丸見えの背中。運悪くドアの方に向いていた。
 そこを目撃した神威。
 そしてこの現状になると。

「神威、お前が3億パーセント悪い」

「わー限界が見えないやぁ。と、どうだ慣れた?」

「いや、ぶっちゃけ今でも少し恐縮してるよ。どうしてこうなったのか未だに考えてる」

「はは。まぁ、俺は時々清掃業のバイトでここに来る事あるからまた会うかもな」

「⋯⋯お前が西園⋯⋯雪姫さんと仲が良くてびっくりだよ」

「何言ってんの? お前の事がなかったら話しかけられなかったよ。何故なら、西園寺お嬢は使用人に対して、うん、ええ、そう、しか使わないんだからな! あんな喋るなんて初めて見たぜ。それだけお前の事が好きなんだな。月曜日が楽しみだぜ! じゃ、俺は帰るわ」

 神威は部屋から出て行った。
 愛海と海華は流石に広い部屋で2人じゃ寝れないと言う事で、俺のベットで寝るようだ。
 ベットが広くてもいつもみたいにくっついて寝る。
 こんなに仲の良い兄妹も中々居ないだろう。

 にしても、西園寺が居なくても言葉に西園寺って出そうとすると背筋に針が刺さるような感覚はどうにか成らないものか。
 雪姫さん雪姫さん。雪姫さん雪姫さん。きちんと自然と言えるようにしておこう。

「お兄ちゃん心を無にして」

 何かを悟った愛海であった。


 日曜日午後21時。
 今回は早めの閉店となる。
 皆店長に呼ばれて店長の元に行く。

「すまないね。伊集院君、モブABCD君達、明日でこの店舗は閉める事になった」

「いやいや店長待ってください! モブAさん達をそんな略さないであげてください! そうじゃないです! なんで急に!」

「いや。伊集院君を除いて僕達はやる気が無くてね。それがお客の癪に触ったようでクレームの嵐。そして、本社からこう言う通達が来た」

「店長ならもっと頑張ろうよ! もっとやる気を見せようよ! 店長なんだよ!」

「伊集院君。店長って稼げる仕事じゃないんだよ?」

 そんな悟りを開いたような顔で言わないでください!
 これだと本当に全て西園寺に頼るような生活になってしまう!
 それはダメだ!
 妹達のプレゼントとか諸々は自分で稼いだ金で買わないと意味が無いの!
 しかも完全に俺悪くないやん!

「あ、安心してくれ。僕の伝で皆の新たなバイト先は見つけてあるから。ここよりも時給良いし、面接頑張って」

「ならいっか」

「もっと引き止めてょ」

『いえ、我々モブチームはバイトはもうやりません。正社員雇用が決まったので』

 そういえば、この人達30歳以上だったな。
 なんでこんな所でバイトしてたんだろう。
 と、その場所を店長から聞かないといけないな。

「で、それはなんですか?」

「あぁ。新たな場所とは、ズバリ、メイド喫茶のスタッフだよ。僕結構行くから」

 ⋯⋯俺、ちょっと変わっただけの平凡な高校生だった。
 だが、昨日のよく分からない告白と言えるか分からない物から学園の美少女と同棲して、バイトを殆ど失って、そして最後のバイトも消えて、新たな面接をする事になった。
 その場所は何とか、メイド喫茶らしいです。
 なんか、もう。あれだ、あーもうめちゃくちゃだよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...