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それから
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おじさんは、この家にきて、住んでくれています。自分で家を持っていると、生活保護のお金をもらうことができないからだそうです。この家は死んだおとうさんが建ててくれたものでした。でも、大きな家でしたので、二階の部屋をおじさんに貸すことにしていたのでした。
おじさんは、いつも部屋にいて、外にでかけることは、めったにありません。そこで、ルナは、よくおじさんの部屋に遊びにいっていました。
今日も、昼下がり、おじさんのところに遊びにいきました。
「やあ、よくきてくれたね」といって、おじさんは、ルナにココアをいれてくれました。そこで、ココアを一口飲むと、「お話をして」と、いつものように、ルナは、おねだりをしました。
「そうだね。じゃ、王さまの話をしてあげるよ。王さまは、とても美しいお洋服を作らせて、それを着ることが好きな人だったのです。それがね…」
「おじさん、だいぶ前に、その話は聞いてしまったわ。王さまは、悪い仕立て屋さんにだまされて、裸で街を行進してしまい、男の子に裸だよと言われて笑い者なってしまう話でしょう」
「あれ、そうだったかね」
そこで、おじさんは、少しの間、顔を左にむけて、何か考えているようでした。
「それからの話をしてあげようと思っていたんだよ」
「それからって?」
「その時から王さまは美しい服を作らせることも、そんな服を着ることもなくなってしまったそうだよ」
「じゃ、何を着るようになったの?」
「そうだね。軍服だよ。それも色のない黒だった。それに、自分を裸にさせた仕立屋を警備兵たちに捜させ捕まえて、死刑にしてしまったそうだ」
「死刑って、あの死刑よね」
そこで、おじさんは仕方がなさそうに目を落としていた。
「ともかく王さまは、自分で笑わなくなったそうだよ。それに、いつも兵隊と一緒に狩りをするようなった」
「狩りって、服を着ることよりも楽しいことなの?」
「さあ、それは私にはわからない。兵隊が鹿やイノシシを捕まえるのがうまくなると、隣の国と戦争を始めたそうだ」
「戦争なんて、たくさんの人たちが殺したり殺されたりすることになるわ」
おじさんは、困ったような顔になり、しばらくの間、天井をにらんでいました。
「だけど、兵士たちが死ぬ時には、国のために、王のためにと言って死んだそうだよ」
「男の子はどうなったのかしら?」
「その頃には、男の子は青年になっていたからね。だから、兵隊として戦場にいっているよ」
「戦場にいって、どうなったのかしら?」
「死んでしまったそうだ」
おじさんは、いつも部屋にいて、外にでかけることは、めったにありません。そこで、ルナは、よくおじさんの部屋に遊びにいっていました。
今日も、昼下がり、おじさんのところに遊びにいきました。
「やあ、よくきてくれたね」といって、おじさんは、ルナにココアをいれてくれました。そこで、ココアを一口飲むと、「お話をして」と、いつものように、ルナは、おねだりをしました。
「そうだね。じゃ、王さまの話をしてあげるよ。王さまは、とても美しいお洋服を作らせて、それを着ることが好きな人だったのです。それがね…」
「おじさん、だいぶ前に、その話は聞いてしまったわ。王さまは、悪い仕立て屋さんにだまされて、裸で街を行進してしまい、男の子に裸だよと言われて笑い者なってしまう話でしょう」
「あれ、そうだったかね」
そこで、おじさんは、少しの間、顔を左にむけて、何か考えているようでした。
「それからの話をしてあげようと思っていたんだよ」
「それからって?」
「その時から王さまは美しい服を作らせることも、そんな服を着ることもなくなってしまったそうだよ」
「じゃ、何を着るようになったの?」
「そうだね。軍服だよ。それも色のない黒だった。それに、自分を裸にさせた仕立屋を警備兵たちに捜させ捕まえて、死刑にしてしまったそうだ」
「死刑って、あの死刑よね」
そこで、おじさんは仕方がなさそうに目を落としていた。
「ともかく王さまは、自分で笑わなくなったそうだよ。それに、いつも兵隊と一緒に狩りをするようなった」
「狩りって、服を着ることよりも楽しいことなの?」
「さあ、それは私にはわからない。兵隊が鹿やイノシシを捕まえるのがうまくなると、隣の国と戦争を始めたそうだ」
「戦争なんて、たくさんの人たちが殺したり殺されたりすることになるわ」
おじさんは、困ったような顔になり、しばらくの間、天井をにらんでいました。
「だけど、兵士たちが死ぬ時には、国のために、王のためにと言って死んだそうだよ」
「男の子はどうなったのかしら?」
「その頃には、男の子は青年になっていたからね。だから、兵隊として戦場にいっているよ」
「戦場にいって、どうなったのかしら?」
「死んでしまったそうだ」
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