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竜人をさがして!
8発見
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安心をしたカオルは玲子に「おばあちゃんが描いた絵をリードに見てもらおう」と言いました。すぐに玲子は「うん」とうなずき、手提げバッグから絵をとりだし、リードに見せたのでした。
「ちょっと、ぼくはわからないな」
「おばあちゃんの絵、あまりうまくないからな」と、玲子は落ち込んだ顔をしています。
「おばあちゃんの絵のせいじゃないよ。ぼくは、たくさんの人と会いすぎているからね。ここには希望達製隊員の人たちがたくさん集まっているから、聞き回ってみるといいよ」
すると、玲子の顔がすぐに明るくなっていました。
さっそく、ベッドの間をぬうように歩き、玲子は顔を合わせた人すべてに絵を見せて聞き回りました。
やがて、絵に描かれた竜人に心当たりのある人が出てきました。
「もしかしたら、七坂神社の出入口を担当しているピノじゃないかな」という希望達成隊員に出会うことができたのです。
「そうです。そうです。おばあちゃんと出会ったのは、七坂神社なんです」
「彼なら、向こうの壁際にいるよ。ほら」
指さした先には、一人の男の子が年寄りの女性の腕に包帯を巻いていたのでした。すぐに、二人で彼のそばに行きました。
「すいません。あなたは七坂神社の出入口を担当している希望達成隊員ですか?」
「えっ」と言って、ピノは驚いたように顔をあげました。
「私のおばあちゃんに白血病になったお兄ちゃんの薬をくれると約束をした人ですよね?」
「そうだけど、よく、ここにこられたね!」
そこで、カオルは前に出ました。
「私がここにこられるように手伝いました」
ピノはじろじろとカオルを見ていました。
「もしかしたら、きみは魔女なのかい?」
「そうです。私は魔法使い、カオルと呼んでください。玲子ちゃんに薬を持たせてください」
「確かに、おばあちゃんに渡そうと思っていたからね。今も薬を持っているんだよ。ほら」と言って、ピノは上着の胸ポケットから、紙袋に入れた薬を出して見せました。
「君に渡せば、これでおばあちゃんに届くと思えるので、気が楽になるよ。でも、竜国から出ていくためには、願い受付対応所が再開できなければだめなんだよ」と言いながら、ピノは玲子に薬の入った紙袋を渡していました。
玲子はそれを自分のバッグの中に入れていました。
「ちょっと、ぼくはわからないな」
「おばあちゃんの絵、あまりうまくないからな」と、玲子は落ち込んだ顔をしています。
「おばあちゃんの絵のせいじゃないよ。ぼくは、たくさんの人と会いすぎているからね。ここには希望達製隊員の人たちがたくさん集まっているから、聞き回ってみるといいよ」
すると、玲子の顔がすぐに明るくなっていました。
さっそく、ベッドの間をぬうように歩き、玲子は顔を合わせた人すべてに絵を見せて聞き回りました。
やがて、絵に描かれた竜人に心当たりのある人が出てきました。
「もしかしたら、七坂神社の出入口を担当しているピノじゃないかな」という希望達成隊員に出会うことができたのです。
「そうです。そうです。おばあちゃんと出会ったのは、七坂神社なんです」
「彼なら、向こうの壁際にいるよ。ほら」
指さした先には、一人の男の子が年寄りの女性の腕に包帯を巻いていたのでした。すぐに、二人で彼のそばに行きました。
「すいません。あなたは七坂神社の出入口を担当している希望達成隊員ですか?」
「えっ」と言って、ピノは驚いたように顔をあげました。
「私のおばあちゃんに白血病になったお兄ちゃんの薬をくれると約束をした人ですよね?」
「そうだけど、よく、ここにこられたね!」
そこで、カオルは前に出ました。
「私がここにこられるように手伝いました」
ピノはじろじろとカオルを見ていました。
「もしかしたら、きみは魔女なのかい?」
「そうです。私は魔法使い、カオルと呼んでください。玲子ちゃんに薬を持たせてください」
「確かに、おばあちゃんに渡そうと思っていたからね。今も薬を持っているんだよ。ほら」と言って、ピノは上着の胸ポケットから、紙袋に入れた薬を出して見せました。
「君に渡せば、これでおばあちゃんに届くと思えるので、気が楽になるよ。でも、竜国から出ていくためには、願い受付対応所が再開できなければだめなんだよ」と言いながら、ピノは玲子に薬の入った紙袋を渡していました。
玲子はそれを自分のバッグの中に入れていました。
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