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イバラの森大戦
21 エンゼルヘア
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おばあさんから、レイモンドの両親がオードリに生贄にされたことを聞いた白魔女の先生たちは、オードリの命が増えて二つになったことを知りました。これでオードリは安心をして、シズカ王国を攻めてくるにきまっています。
すぐにでもシズカ王国のために戦ってくれる者を増やす必要がありました。そこで、エルザはニワトリが生んだ卵をふ化させ、生まれたヒヨコたちを兵士に変えたのでした。それに、魔法学校にきていた生徒たちの中でオードリを相手に戦ってもいいと言ってくれる者たちも出てきました。生徒たちは、すすんで人ネコたちが行っていた見回りに参加してくれるようになったのです。
ヒヨコから生まれた兵士や魔法学校を卒業した生徒たちを受け入れたので、彼らの食事もドナが用意することになりました。また、おばあさんは、この者たちが寝泊まりするための部屋を小屋の中に作ってあげました。
城をまもる者たちが増えたので、もっと多くの飲み水が必要になりました。そこで、エルザは、小屋のそばに井戸をもう一本掘りました。
その井戸から汲み上げた水をグリスはイバラにかけてまわりました。シズカ王国に入ってくる者は、オーロラ姫や王さま夫婦の命を奪いに来る者たちです。それを防ぐためにイバラに棘の多い葉をたくさんしげらせました。これで、誰もが外から城の中に入ることができません。
グリスから、城の周りをイバラが塞いでいるので、攻めてくるとすれば空からではないかと言う意見が出されました。また、シンドから、オードリが攻めてきたことをできる限り早く知る必要があるとの意見も出されました。
そこで、おばあさんは、オードリが空から攻めてきたら、すぐに知ることができるように城の東西南北に高い塔を創成魔法で建てたのでした。顔をあげなければ、一番上の見張り台を見ることができないほどの高さです。
建てた東西南北の塔の上に、魔法学校の生徒だった者の中でも炎を作ることが上手な者たちに見張り役に立ってもらいました。
でも、いくら待っても、空を飛んでくる者の姿はありません。上から見ていますと、城周りもよく見えますが、攻め寄せてくる者たちの姿もありませんでした。それに、弓矢などで火を城やイバラに向かって放つ者がいた場合、水の精霊使いであるエルザがそこに向かって雨を降らせることになっていました。
万全の体制をしいているので、ここを調べにきたオードリのスパイたちから話を聞いて、オードリは攻めることを諦めたかもしれないと、塔の上の生徒たちが勝手に思い出していました。
そんな時に、たくさんの細い糸が空を流れて来たのです。光を受けて、きらきら輝いた金髪のように見えました。
「まるで、天使の髪のようだ」と、塔の上の生徒たちは喜びの声をあげていました。
でも、これを見上げていたおばあさんは大声をあげたのです。
「クモだよ。クモたちが襲ってくる」
エンゼルヘアはクモが吐き出した糸だったのです。
空に向かって糸をはきだすと、凧と同じように風が糸を引いてくれます。ひかれた糸のおかげでクモは空を飛ぶことができるのです。
城の中にたくさんのエンゼルヘアが落ちていき、糸についていたクモはたちまち大きくなりました。大きくなったクモたちは、城の中にいた者たちを次から次へと襲い出したのです。
ヒヨコの兵士たちは鋭いクチバシでクモたちをつつき、トムはクモたちに向かって雷を落とし、人ネコたちは剣を振って戦いました。また、生徒たちは炎を杖にともすと、それをクモたちにぶつけていました。さらに、レイモンドは神剣を抜いてクモたちを次から次へと切り倒していました。
それにしても、クモの数は多すぎます。
大きくなったクモの中に一つ目の巨人に変わっていく者が出てきたのです。
巨人たちは、塔に近づくとよじのぼり、体ごと塔にぶつかる者が出てきました。やがて、四つの塔すべてが倒されてしまったのです。
塔を倒した巨人たちは、今度は城の中にいる者たちを襲い出しました。それをさせないために、おばあさんは、巨人たちの周りに岩壁を作り、巨人のいる大地をへこませ、次々と地下深く沈めていったのでした。
やがて、四つの塔すべてが無くなったのを見定めたのか、遠くから飛んでくる物が見え出しました。
真っ黒い鳥、カラスでした。
それは、二羽の大ガラスだったのです。
すぐにでもシズカ王国のために戦ってくれる者を増やす必要がありました。そこで、エルザはニワトリが生んだ卵をふ化させ、生まれたヒヨコたちを兵士に変えたのでした。それに、魔法学校にきていた生徒たちの中でオードリを相手に戦ってもいいと言ってくれる者たちも出てきました。生徒たちは、すすんで人ネコたちが行っていた見回りに参加してくれるようになったのです。
ヒヨコから生まれた兵士や魔法学校を卒業した生徒たちを受け入れたので、彼らの食事もドナが用意することになりました。また、おばあさんは、この者たちが寝泊まりするための部屋を小屋の中に作ってあげました。
城をまもる者たちが増えたので、もっと多くの飲み水が必要になりました。そこで、エルザは、小屋のそばに井戸をもう一本掘りました。
その井戸から汲み上げた水をグリスはイバラにかけてまわりました。シズカ王国に入ってくる者は、オーロラ姫や王さま夫婦の命を奪いに来る者たちです。それを防ぐためにイバラに棘の多い葉をたくさんしげらせました。これで、誰もが外から城の中に入ることができません。
グリスから、城の周りをイバラが塞いでいるので、攻めてくるとすれば空からではないかと言う意見が出されました。また、シンドから、オードリが攻めてきたことをできる限り早く知る必要があるとの意見も出されました。
そこで、おばあさんは、オードリが空から攻めてきたら、すぐに知ることができるように城の東西南北に高い塔を創成魔法で建てたのでした。顔をあげなければ、一番上の見張り台を見ることができないほどの高さです。
建てた東西南北の塔の上に、魔法学校の生徒だった者の中でも炎を作ることが上手な者たちに見張り役に立ってもらいました。
でも、いくら待っても、空を飛んでくる者の姿はありません。上から見ていますと、城周りもよく見えますが、攻め寄せてくる者たちの姿もありませんでした。それに、弓矢などで火を城やイバラに向かって放つ者がいた場合、水の精霊使いであるエルザがそこに向かって雨を降らせることになっていました。
万全の体制をしいているので、ここを調べにきたオードリのスパイたちから話を聞いて、オードリは攻めることを諦めたかもしれないと、塔の上の生徒たちが勝手に思い出していました。
そんな時に、たくさんの細い糸が空を流れて来たのです。光を受けて、きらきら輝いた金髪のように見えました。
「まるで、天使の髪のようだ」と、塔の上の生徒たちは喜びの声をあげていました。
でも、これを見上げていたおばあさんは大声をあげたのです。
「クモだよ。クモたちが襲ってくる」
エンゼルヘアはクモが吐き出した糸だったのです。
空に向かって糸をはきだすと、凧と同じように風が糸を引いてくれます。ひかれた糸のおかげでクモは空を飛ぶことができるのです。
城の中にたくさんのエンゼルヘアが落ちていき、糸についていたクモはたちまち大きくなりました。大きくなったクモたちは、城の中にいた者たちを次から次へと襲い出したのです。
ヒヨコの兵士たちは鋭いクチバシでクモたちをつつき、トムはクモたちに向かって雷を落とし、人ネコたちは剣を振って戦いました。また、生徒たちは炎を杖にともすと、それをクモたちにぶつけていました。さらに、レイモンドは神剣を抜いてクモたちを次から次へと切り倒していました。
それにしても、クモの数は多すぎます。
大きくなったクモの中に一つ目の巨人に変わっていく者が出てきたのです。
巨人たちは、塔に近づくとよじのぼり、体ごと塔にぶつかる者が出てきました。やがて、四つの塔すべてが倒されてしまったのです。
塔を倒した巨人たちは、今度は城の中にいる者たちを襲い出しました。それをさせないために、おばあさんは、巨人たちの周りに岩壁を作り、巨人のいる大地をへこませ、次々と地下深く沈めていったのでした。
やがて、四つの塔すべてが無くなったのを見定めたのか、遠くから飛んでくる物が見え出しました。
真っ黒い鳥、カラスでした。
それは、二羽の大ガラスだったのです。
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