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イバラの森大戦
14 宿泊
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「じゃ、ぼくは自分の部屋に戻るよ」とトムが言いました。
「トムの部屋はどこにあるのかしら?」とカオルが聞きました。
「小屋の後ろに、ぼくの家があるんだよ。そこで、ぼくは城の見回り役をしているネコたちの世話もしているんだ」
「小屋の後ろにそんな家なんかあったかしら?」
カオルが首をかしげると、トムが笑い出しました。
「サラが作ってくれた家だよ。大きくも小さくもなってくれる家なのさ」
片手をあげて、トムはカオルたちから離れて行きました。角を曲がるとトムの姿は見えなくなっていました。
ニーナは二人をつれて螺旋階段をのぼりベランダにあがると三人は通路を歩き出しました。
「ほら、そこがレイモンドの部屋よ」
確かにニーナの言うように、その部屋の黄色いドアにはレイモンドと名前が書かれていたのです。
レイモンドは、恐る恐るドアを開けました。隙間からカオルも部屋の中をのぞくことができました。ベッドや小さなテーブルとイスが置かれ、それに窓もあって素適な部屋でした。
「じゃ、今夜はぐっすり寝ることにするよ。明日は旅立たないといけないからね、じゃ、おやすみ」と言って、レイモンドはドアを閉めました。
「カオルの部屋は、こっちよ」と言って、ニーナは再び歩き出しました。しばらく歩くと、オレンジ色のドアにカオルと書かれた部屋が見えてきました。
「ちゃんと、予約されていたんだ」
カオルも恐る恐る部屋のドアを開けました。部屋の中はレイモンドの部屋と同じようにベッドと小さなテーブルがおかれていました。そして、窓にはイチゴをたくさん描かれたカーテンが吊り下げられていました。
「ここなら、ぐっすり眠れるわね。でも、パジャマがないわ」
すると、ニーナが部屋の中に入ってきてニヤッと笑いました。
「ベッドの上にある戸棚にパジャマは入っているはずよ」
すぐに、カオルはサンダルをぬいでベッドの上にのり、壁についている棚を見ました。すると、そこには縦じま模様のパジャマが入っていたのでした。ベッドからおりると、きれいな部屋でしたので裸足で歩くことにしました。
「ところで、ニーナの部屋はどこなの?」
「どうして?」
「遊びに行きたくなるかもしれないでしょう?」
「私の部屋はここにはないのよ。私はママと一緒に住んでいるからよ。ほら、ドナ・レストランのそばに部屋があったでしょう。これから下におりたら、皿洗いでもしようかなと思っているの。よ。じゃ、おやすみ」と言って、ニーナは部屋の外を出るとドアを閉めたのでした。
ニーナの足音が聞こえていましたが、やがて遠ざかって聞こえなくなっていきました。
部屋に残されたカオルは背中からホウキをおろし、壁のホックにかけて吊るしました。次に胸ポケットからシラカバ模様のついた魔法の杖を出してベッドの枕元にある台の上に置きました。次にリュックもおろして、その中にあったぬいぐるみのクマをだして魔法の杖と並べました。そしてリュックも又壁にさげられたホックに吊るしました。
その後、洗面台に行くと、ホテルと同じように歯磨き粉と歯ブラシが置いてありました。
いつものように、カオルは洗面台の鏡を見ながら、寝る前に歯を磨きました。それが終ると、ベッド上の棚からパジャマを出してきて、それを着てカオルはベッドに横になりました。
布団に入ったのですが、なれない場所ですので、すぐに眠ることはできません。頭をあげると棚の上にすわっているぬいぐるみのクマが目に入ってきました。
思わず、カオルは声を出してみました。
「クマさん、立って」
すると、クマは立ち上がり出しました。
「挨拶は」
クマは、すぐに頭をさげていました。
「クマさん、踊って」
すると、クマはクルリとまわって踊ってみせたのです。カオルはベッドから上半身を起こすと思わずクマを抱きしめていました。
「トムの部屋はどこにあるのかしら?」とカオルが聞きました。
「小屋の後ろに、ぼくの家があるんだよ。そこで、ぼくは城の見回り役をしているネコたちの世話もしているんだ」
「小屋の後ろにそんな家なんかあったかしら?」
カオルが首をかしげると、トムが笑い出しました。
「サラが作ってくれた家だよ。大きくも小さくもなってくれる家なのさ」
片手をあげて、トムはカオルたちから離れて行きました。角を曲がるとトムの姿は見えなくなっていました。
ニーナは二人をつれて螺旋階段をのぼりベランダにあがると三人は通路を歩き出しました。
「ほら、そこがレイモンドの部屋よ」
確かにニーナの言うように、その部屋の黄色いドアにはレイモンドと名前が書かれていたのです。
レイモンドは、恐る恐るドアを開けました。隙間からカオルも部屋の中をのぞくことができました。ベッドや小さなテーブルとイスが置かれ、それに窓もあって素適な部屋でした。
「じゃ、今夜はぐっすり寝ることにするよ。明日は旅立たないといけないからね、じゃ、おやすみ」と言って、レイモンドはドアを閉めました。
「カオルの部屋は、こっちよ」と言って、ニーナは再び歩き出しました。しばらく歩くと、オレンジ色のドアにカオルと書かれた部屋が見えてきました。
「ちゃんと、予約されていたんだ」
カオルも恐る恐る部屋のドアを開けました。部屋の中はレイモンドの部屋と同じようにベッドと小さなテーブルがおかれていました。そして、窓にはイチゴをたくさん描かれたカーテンが吊り下げられていました。
「ここなら、ぐっすり眠れるわね。でも、パジャマがないわ」
すると、ニーナが部屋の中に入ってきてニヤッと笑いました。
「ベッドの上にある戸棚にパジャマは入っているはずよ」
すぐに、カオルはサンダルをぬいでベッドの上にのり、壁についている棚を見ました。すると、そこには縦じま模様のパジャマが入っていたのでした。ベッドからおりると、きれいな部屋でしたので裸足で歩くことにしました。
「ところで、ニーナの部屋はどこなの?」
「どうして?」
「遊びに行きたくなるかもしれないでしょう?」
「私の部屋はここにはないのよ。私はママと一緒に住んでいるからよ。ほら、ドナ・レストランのそばに部屋があったでしょう。これから下におりたら、皿洗いでもしようかなと思っているの。よ。じゃ、おやすみ」と言って、ニーナは部屋の外を出るとドアを閉めたのでした。
ニーナの足音が聞こえていましたが、やがて遠ざかって聞こえなくなっていきました。
部屋に残されたカオルは背中からホウキをおろし、壁のホックにかけて吊るしました。次に胸ポケットからシラカバ模様のついた魔法の杖を出してベッドの枕元にある台の上に置きました。次にリュックもおろして、その中にあったぬいぐるみのクマをだして魔法の杖と並べました。そしてリュックも又壁にさげられたホックに吊るしました。
その後、洗面台に行くと、ホテルと同じように歯磨き粉と歯ブラシが置いてありました。
いつものように、カオルは洗面台の鏡を見ながら、寝る前に歯を磨きました。それが終ると、ベッド上の棚からパジャマを出してきて、それを着てカオルはベッドに横になりました。
布団に入ったのですが、なれない場所ですので、すぐに眠ることはできません。頭をあげると棚の上にすわっているぬいぐるみのクマが目に入ってきました。
思わず、カオルは声を出してみました。
「クマさん、立って」
すると、クマは立ち上がり出しました。
「挨拶は」
クマは、すぐに頭をさげていました。
「クマさん、踊って」
すると、クマはクルリとまわって踊ってみせたのです。カオルはベッドから上半身を起こすと思わずクマを抱きしめていました。
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