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イバラの森大戦
6 イバラに守られた城
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おばあさんが手を振ると、小さなバッグを手に持っていました。次にバッグからドアのノブを取り出し、それを手に持って白い壁に近づき押しつけると木枠のドアが壁に浮かびあがったのです。
おばあさんがドアを引いて開けると、開けられた場所に青い空とその下にあるお城が見えていました。
「さあ、ここは魔法が力を持っている世界だよ。ここでならカオルは魔法の勉強ができる」と言って、おばあさんは戸口に立ち笑っています。
でも、カオルは不安です。そうだ。一緒に来てくれる者がいれば、こころづよいよね。そう思うと、テーブルにのっているぬいぐるみのクマが目に入ってきました。
「一緒に行こう」と言って、カオルはクマを抱きしめ、おばあさんの後に続いて城のある世界に入って行きました。
「おばあさん、もしかしたら、ドラえもんのどこでもドアを持っているのかしら?」
「ドラえもんはマンガの話だけど未来からきたロボットということになっているんだろう。科学も進むと、魔法と同じことができるようになると私も思うよ。でも、まだ科学は魔法の領域に達成してはいないね。どこでもドアは、まだ空想の話だろう。だが、私のは違うよ。念じれば、すぐにそこに本物のドアを作り出してしまう。創成魔法じゃよ。でも、時間を超え、異空間へも行けるドアを作り出せるのは私だけかもしれないけどね」と言って、おばあさんは片眉をあげていました。
イバラの森に囲まれた城の中には庭園が見え、そこには花壇や畑が作られていました。庭園の前にはロッジ風の家が建てられていました。でも山の中にある小屋にしか見えません。
「ここはデズニーランドじゃないよ。あんたらが物語の世界だと思っていたことが実在する世界なんだよ」
「私たちが物語と思っていた世界って、どんな世界なのかしら?」
「そうだね。いろんな物話が伝わっていたようだが、カオルも眠り姫と言ったら、だいたい話が分かるんじゃないかな」
「眠り姫?」
おばあさんに言われたので、カオルは記憶をまさぐり始めました。
カオルが思い出した眠り姫の話はこんな話です。
ある国に十三人の魔法使いがいました。その国にお姫さまが生まれ、その誕生のお祝いに呼ばれた魔法使いは十二人だけだったのです。呼ばれた魔法使いたちは祝福の恵みを生まれたお姫さまに授けるためにやってきたのですが、一人の魔法使いだけは呼ばれていませんでした。その魔法使いがお祝いの場にやってきて、十五歳になったらお姫さまは死んでしまうと呪いをかけたのです。まだお姫様への祝福の恵みを授けていなかった魔方使いは、死ぬことではなく十五歳になったら百年間の眠りにつくことに変えたのでした。さらに、その魔法使いは、王さまの願いを聞いてお姫さまが眠り出した時に、王様を始め城に働いている人たちみんなを一緒に眠らせたのでした。百年が経って王子さまがやってきて、お姫さまに口づけをするとお姫さまは眼をさまし、二人は結婚をして、幸せに暮らしました。もちろん、お姫さまが目をさましたので、王様たちも目をさまし眠る前と変わらない活動を始めたのでした。
「だいたいは間違いないようだね。でも、少し補足させてもらわなければならないね」と、おばあさんは言いました。
カオルは頭で思っただけで、声に出してはいません。それなのに、おばあさんは、カオルが思い出した記憶を読み取っていたのです。
「ここはシズカ王国。生まれたのはオーロラ姫。誕生会で、かけられた死の呪いから百年の眠りに変えたのは、私じゃよ。だけど、最初から私がその場にいたわけではない。呪いをかけられた後に、何とかしてほしいと相談をされて呼ばれたんじゃよ。それにオーロラ姫が十五歳になった時に、王様をはじめ、城にいた者たちを眠りにいざなったのも、この私だよ。だから、オーロラ姫さまが目をさますまで、私はみんなを守らなければならないことになってしまった」
「思い出したわ。眠りについたお姫さまは、たしかにオーロラという名前だったわね。オーロラ姫を殺そうとした魔法使いは、なんて言う名前だったのかしら? それに、どうしてオーロラ姫を殺そうとした魔法使いは誕生会に呼ばれなかったのかしら?」
「殺そうとしたのはオードリ。オードリを呼ばなかったのは、明らかな理由があったからさ」
「どんな理由?」
「その前に、カオルにはあいまいに使っている言葉をちゃんと覚えてもらう必要があるので、説明をさえてもらうよ。魔法を使える人は誰でも魔法使いだよ。生まれつき魔法としか思えない力を持っていて使える人たちがいる。超能力者だね。だから超能力者は魔法使いなんだよ。カオルのいる科学で割り切ろうとする世界でも、超能力を認めているだろう。だが、人ではない物たちの力を借りて魔法を使う者たちがいる。それをすれば、大きな魔法を手にすることができるからだよ。私らはその仲間なんだよ、神や精霊と心を通わせて頂いた力で魔法を使っている。これを白魔法または白魔術とも呼ばれているようだが」
「白魔術?」
「だが、オードリたちは悪魔やその配下の魔人たちに服従を約束して魔力をもらっている。この魔法を黒魔法または黒魔術と呼んでいるがね」
「悪魔や魔人に服従?」
「オードリは魔人グールに服従を結び、グールの支配地にいる人々を捕まえてグールに命を食べさせていたんだよ。それを知った国王はオードリと付き合わないようにしていたのさ」
「そうだったんだ」
「黒魔術を使う者を黒魔女、白魔術を使う者を白魔女と呼ばれている。もう少し言葉の話をしておくとね。魔法を使う者であれば、誰でも、そう男でも魔女と言われてしまっているようだね」
カオルは思わす、眉を八の字に寄せていました。おばあさんの言ったことをちゃんと覚えようと思ったからです。
「ともかく、オーロラ姫を殺そうと思ったオードリをカオルの世界で伝えられているお話では甘く見ているね。大人になる前にオーロラ姫を殺そうとしたくらいだよ。ただの眠りに変えられたと知ったら、黙っていると思うかい?」
「きっと黙っていないと思うわ」
「そうだろう。オーロラ姫が死なないと知ったオードリは、巨人たちを連れて、攻めてきたんだよ」
「そんなことがあったんですか?」
「そうだよ。だから、私たち白魔女も集まって、オードリたちを向かえうったのさ」
「それは、いつのことですか?」
おばあさんは、笑い声をたてていました。
「ここの時間でいえば、一週間前のことだが、オードリを相手に魔法大戦をやっていたんだよ」
カオルは再びイバラの森に囲まれた城の中を見渡しました。別に戦争で壊れたとか、焼け焦げたと思える所は見えません。
「戦いの後なんて、見ただけでは分かりづらいからね。それにひどいところはすでに私が直してしまっている。ともかく、次のオーロラ姫の誕生日までには、また襲ってくるつもりなんだよ」
「悪い魔女のオードリは倒したのでしょう?」と、カオルは聞きました。
「倒したよ。だから、逃げ出していった」
「えっ、どういうこと?」
「そうそう、最も重要なことを教えてなかったね。オードリは命を三つ持っていたんだよ。大昔に命を一つ亡くしていたのだが、今度でまた一つを亡くしてしまったね。でも、残っている命を使って逃げ出したということさ」
「魔女って命を三つも持っていられるの?」
「そうだよ」
「でも、いまは命一つになったのだから、もう襲ってこないのじゃないかしら?」
「また、やってくると、オードリは言っていたからね。だから、襲ってくると思うよ。こんな時だから、魔法学校を開いて、魔法を使える者たちを養成しておくことにしたのさ。危機に陥っている人たちはたくさんいる。その人たちは魔法を習いたくて仕方がないはずさ」
そう、私も危機に陥っている。だから、魔法を使えるようになりたいと思っていたんだと、カオルは気づきました。
おばあさんがドアを引いて開けると、開けられた場所に青い空とその下にあるお城が見えていました。
「さあ、ここは魔法が力を持っている世界だよ。ここでならカオルは魔法の勉強ができる」と言って、おばあさんは戸口に立ち笑っています。
でも、カオルは不安です。そうだ。一緒に来てくれる者がいれば、こころづよいよね。そう思うと、テーブルにのっているぬいぐるみのクマが目に入ってきました。
「一緒に行こう」と言って、カオルはクマを抱きしめ、おばあさんの後に続いて城のある世界に入って行きました。
「おばあさん、もしかしたら、ドラえもんのどこでもドアを持っているのかしら?」
「ドラえもんはマンガの話だけど未来からきたロボットということになっているんだろう。科学も進むと、魔法と同じことができるようになると私も思うよ。でも、まだ科学は魔法の領域に達成してはいないね。どこでもドアは、まだ空想の話だろう。だが、私のは違うよ。念じれば、すぐにそこに本物のドアを作り出してしまう。創成魔法じゃよ。でも、時間を超え、異空間へも行けるドアを作り出せるのは私だけかもしれないけどね」と言って、おばあさんは片眉をあげていました。
イバラの森に囲まれた城の中には庭園が見え、そこには花壇や畑が作られていました。庭園の前にはロッジ風の家が建てられていました。でも山の中にある小屋にしか見えません。
「ここはデズニーランドじゃないよ。あんたらが物語の世界だと思っていたことが実在する世界なんだよ」
「私たちが物語と思っていた世界って、どんな世界なのかしら?」
「そうだね。いろんな物話が伝わっていたようだが、カオルも眠り姫と言ったら、だいたい話が分かるんじゃないかな」
「眠り姫?」
おばあさんに言われたので、カオルは記憶をまさぐり始めました。
カオルが思い出した眠り姫の話はこんな話です。
ある国に十三人の魔法使いがいました。その国にお姫さまが生まれ、その誕生のお祝いに呼ばれた魔法使いは十二人だけだったのです。呼ばれた魔法使いたちは祝福の恵みを生まれたお姫さまに授けるためにやってきたのですが、一人の魔法使いだけは呼ばれていませんでした。その魔法使いがお祝いの場にやってきて、十五歳になったらお姫さまは死んでしまうと呪いをかけたのです。まだお姫様への祝福の恵みを授けていなかった魔方使いは、死ぬことではなく十五歳になったら百年間の眠りにつくことに変えたのでした。さらに、その魔法使いは、王さまの願いを聞いてお姫さまが眠り出した時に、王様を始め城に働いている人たちみんなを一緒に眠らせたのでした。百年が経って王子さまがやってきて、お姫さまに口づけをするとお姫さまは眼をさまし、二人は結婚をして、幸せに暮らしました。もちろん、お姫さまが目をさましたので、王様たちも目をさまし眠る前と変わらない活動を始めたのでした。
「だいたいは間違いないようだね。でも、少し補足させてもらわなければならないね」と、おばあさんは言いました。
カオルは頭で思っただけで、声に出してはいません。それなのに、おばあさんは、カオルが思い出した記憶を読み取っていたのです。
「ここはシズカ王国。生まれたのはオーロラ姫。誕生会で、かけられた死の呪いから百年の眠りに変えたのは、私じゃよ。だけど、最初から私がその場にいたわけではない。呪いをかけられた後に、何とかしてほしいと相談をされて呼ばれたんじゃよ。それにオーロラ姫が十五歳になった時に、王様をはじめ、城にいた者たちを眠りにいざなったのも、この私だよ。だから、オーロラ姫さまが目をさますまで、私はみんなを守らなければならないことになってしまった」
「思い出したわ。眠りについたお姫さまは、たしかにオーロラという名前だったわね。オーロラ姫を殺そうとした魔法使いは、なんて言う名前だったのかしら? それに、どうしてオーロラ姫を殺そうとした魔法使いは誕生会に呼ばれなかったのかしら?」
「殺そうとしたのはオードリ。オードリを呼ばなかったのは、明らかな理由があったからさ」
「どんな理由?」
「その前に、カオルにはあいまいに使っている言葉をちゃんと覚えてもらう必要があるので、説明をさえてもらうよ。魔法を使える人は誰でも魔法使いだよ。生まれつき魔法としか思えない力を持っていて使える人たちがいる。超能力者だね。だから超能力者は魔法使いなんだよ。カオルのいる科学で割り切ろうとする世界でも、超能力を認めているだろう。だが、人ではない物たちの力を借りて魔法を使う者たちがいる。それをすれば、大きな魔法を手にすることができるからだよ。私らはその仲間なんだよ、神や精霊と心を通わせて頂いた力で魔法を使っている。これを白魔法または白魔術とも呼ばれているようだが」
「白魔術?」
「だが、オードリたちは悪魔やその配下の魔人たちに服従を約束して魔力をもらっている。この魔法を黒魔法または黒魔術と呼んでいるがね」
「悪魔や魔人に服従?」
「オードリは魔人グールに服従を結び、グールの支配地にいる人々を捕まえてグールに命を食べさせていたんだよ。それを知った国王はオードリと付き合わないようにしていたのさ」
「そうだったんだ」
「黒魔術を使う者を黒魔女、白魔術を使う者を白魔女と呼ばれている。もう少し言葉の話をしておくとね。魔法を使う者であれば、誰でも、そう男でも魔女と言われてしまっているようだね」
カオルは思わす、眉を八の字に寄せていました。おばあさんの言ったことをちゃんと覚えようと思ったからです。
「ともかく、オーロラ姫を殺そうと思ったオードリをカオルの世界で伝えられているお話では甘く見ているね。大人になる前にオーロラ姫を殺そうとしたくらいだよ。ただの眠りに変えられたと知ったら、黙っていると思うかい?」
「きっと黙っていないと思うわ」
「そうだろう。オーロラ姫が死なないと知ったオードリは、巨人たちを連れて、攻めてきたんだよ」
「そんなことがあったんですか?」
「そうだよ。だから、私たち白魔女も集まって、オードリたちを向かえうったのさ」
「それは、いつのことですか?」
おばあさんは、笑い声をたてていました。
「ここの時間でいえば、一週間前のことだが、オードリを相手に魔法大戦をやっていたんだよ」
カオルは再びイバラの森に囲まれた城の中を見渡しました。別に戦争で壊れたとか、焼け焦げたと思える所は見えません。
「戦いの後なんて、見ただけでは分かりづらいからね。それにひどいところはすでに私が直してしまっている。ともかく、次のオーロラ姫の誕生日までには、また襲ってくるつもりなんだよ」
「悪い魔女のオードリは倒したのでしょう?」と、カオルは聞きました。
「倒したよ。だから、逃げ出していった」
「えっ、どういうこと?」
「そうそう、最も重要なことを教えてなかったね。オードリは命を三つ持っていたんだよ。大昔に命を一つ亡くしていたのだが、今度でまた一つを亡くしてしまったね。でも、残っている命を使って逃げ出したということさ」
「魔女って命を三つも持っていられるの?」
「そうだよ」
「でも、いまは命一つになったのだから、もう襲ってこないのじゃないかしら?」
「また、やってくると、オードリは言っていたからね。だから、襲ってくると思うよ。こんな時だから、魔法学校を開いて、魔法を使える者たちを養成しておくことにしたのさ。危機に陥っている人たちはたくさんいる。その人たちは魔法を習いたくて仕方がないはずさ」
そう、私も危機に陥っている。だから、魔法を使えるようになりたいと思っていたんだと、カオルは気づきました。
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