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イバラの森大戦
4 不思議なおばあさん
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隣の庭にもきれいな花が咲いています。それは大きな花でダリアやヒマワリでした。カオルが見とれていると、隣の白い家から、白いドレスをきたおばあさんが出てきました。おばあさんの肌は色白で、ほりの深い顔をしています。頭の髪は真っ白でしたが、頭の後ろに丸めてかんざしでとめていました。顔の作りを見ていると、どこか外国の人の血が混じっているように思えました。
おばあさんは、細いホースを手にとり庭の花たちに水をかけだしました。ホースの先には小さな穴がたくさんあるじゃ口がついています。そのじゃ口から水が細くシャワーのようにふき出し庭に虹がかかっていたのでした。
虹にひかれるようにカオルはおばあさんに近づきました。
「こんにちは。おばあさん」と、カオルは声をかけてから、まだ昼前なので、おはようございますと、言ったほうがよかったのかなと思いました。
「おや、こんにちは。お隣さんは変わったようだね」
「はい、昨日、引っ越してきたばかりなんです。私は加藤カオル」
「そうかい、そうかい。わたしはサラ。仲良くしてくださいね」と言って、おばあさんは笑っていました。
「おばあさん、窓から見えていたぬいぐるみのクマさん、動いていたようでしたけど、あれは機械仕掛けになっているんですか?」
「ほう、クマが動いたのかい?」
おばあさんは、カオルをのぞき込むように見つめ出していました。
あまり、しげしげと見つめられるので、思わずカオルは顔を赤くしてしまいました。
「どうだい。陽にあたってばかりも疲れるからね。喉もかわいただろう。おやつの時間にでもしないかい。それに、ちょうど美味しいケーキがあるんだよ」
「本当ですか?」
「じゃ、そのさくが壊れている所から、こちらに入っておいでよ」
先ほど見た時には、竹さくに壊れた所などなかったはずです。でも、たしかに壊れてすき間ができていましたので、スカートをひっかけずに通ることができました。カオルが隣の庭に入るとダリアの強い匂いがしてきました。
おばあさんの家に近づくと庭に向かってドアがついていました。でも、先ほどまでは、カオルにはそのドアは見えていなかったのです。そのドアも白い色をしていましたので、見えにくいだけだったのかもしれません。
おばあさんはドアを開けて、「さあ、どうぞ」と言ってくれましたので、カオルはおばあさんの後について家の中に入りました。
家の中へは、外国風な家でしたので、サンダルを脱がなくてよかったのです。
家の真ん中には螺旋階段があって、そこだけ吹き抜けになっています。その階段からは二階の部屋にいけるようになっていました。下からカオルがのぞくと、三階もあるように見えました。
一階は仕切りがなく、ひとつの部屋になっていました。東側の壁は白くしっくいが塗ってあるためか少しでこぼこになっていました。また、西側はキッチンになっていて、そこにはオーブンがおかれ、食器入れや冷蔵庫も並んでいました。さらに、キッチンには、丸い食卓テーブルがおかれ、テーブルをはさむようにイスが二つおかれていました。
「まあ、おすわりなさい」
カオルはうなずきながら、イスの一つに腰をおろしました。おばあさんは、チューリップのような形のグラスを選び出し、その二つを食卓テーブルの上におきました。
「サイダーはおすき?」
カオルはうなずきました。
「こんな日はやっぱりサイダーだよね」
おばあさんは、冷蔵庫からサイダーの入った瓶を出すと、二つのグラスにあわがはじける音をたてさせながら、すきとおった液体をついでくれました。
カオルは喉がかいていたので、すぐにグラスを手に取ると冷たいサイダーを喉に流し込んでいました。おばあさんは笑みを浮かべながら、カオルが空にしたグラスに瓶からサイダーをついでいました。
おばあさんは、再び冷蔵庫を開けて、中から紙の小箱を出してきて、食卓テーブルの上におきました。箱を開けて、おばあさんは中をカオルに見せました。中に赤いイチゴがのったショートケーキが四つ入っていたのです。
「わあ、ショートケーキ」
思わず、カオルは声をあげました。おばあさんは、小皿の上にトンクで二つのショートケーキをのせフォークをそえるとカオルの前においてくれました。
「食べてくださいね」
「いただきます」
声をあげると、すぐにカオルは食べ出しました。美味しいケーキです。ほおばり過ぎて途中で喉をつまらしてしまい、あわててサイダーを飲んでケーキを胃に流し込みました。食べ始めてから食べ終わるまで十分はかかりませんでした。食べ終わると、カオルは思わずホ~と声を出しました。
「どうやら、満足をしてくれたようだね」
カオルはうなずいてみせました。
「そうだね。カオルには、能力があると思うよ」
「能力?」と言って、カオルは思わず首を右にかしげました。
「すこし、待っておいでよ」
おばあさんは、イスから立ちあがりクルリと後ろを向くと螺旋階段をのぼりだしました。
おばあさんが何をするつもりなのか、まるで分からないカオルは、階段をあがるおばあさんを見つめ続けました。でも、おばあさんが二階にあがるとその姿がすぐに見えなくなっていました。
おばあさんは、細いホースを手にとり庭の花たちに水をかけだしました。ホースの先には小さな穴がたくさんあるじゃ口がついています。そのじゃ口から水が細くシャワーのようにふき出し庭に虹がかかっていたのでした。
虹にひかれるようにカオルはおばあさんに近づきました。
「こんにちは。おばあさん」と、カオルは声をかけてから、まだ昼前なので、おはようございますと、言ったほうがよかったのかなと思いました。
「おや、こんにちは。お隣さんは変わったようだね」
「はい、昨日、引っ越してきたばかりなんです。私は加藤カオル」
「そうかい、そうかい。わたしはサラ。仲良くしてくださいね」と言って、おばあさんは笑っていました。
「おばあさん、窓から見えていたぬいぐるみのクマさん、動いていたようでしたけど、あれは機械仕掛けになっているんですか?」
「ほう、クマが動いたのかい?」
おばあさんは、カオルをのぞき込むように見つめ出していました。
あまり、しげしげと見つめられるので、思わずカオルは顔を赤くしてしまいました。
「どうだい。陽にあたってばかりも疲れるからね。喉もかわいただろう。おやつの時間にでもしないかい。それに、ちょうど美味しいケーキがあるんだよ」
「本当ですか?」
「じゃ、そのさくが壊れている所から、こちらに入っておいでよ」
先ほど見た時には、竹さくに壊れた所などなかったはずです。でも、たしかに壊れてすき間ができていましたので、スカートをひっかけずに通ることができました。カオルが隣の庭に入るとダリアの強い匂いがしてきました。
おばあさんの家に近づくと庭に向かってドアがついていました。でも、先ほどまでは、カオルにはそのドアは見えていなかったのです。そのドアも白い色をしていましたので、見えにくいだけだったのかもしれません。
おばあさんはドアを開けて、「さあ、どうぞ」と言ってくれましたので、カオルはおばあさんの後について家の中に入りました。
家の中へは、外国風な家でしたので、サンダルを脱がなくてよかったのです。
家の真ん中には螺旋階段があって、そこだけ吹き抜けになっています。その階段からは二階の部屋にいけるようになっていました。下からカオルがのぞくと、三階もあるように見えました。
一階は仕切りがなく、ひとつの部屋になっていました。東側の壁は白くしっくいが塗ってあるためか少しでこぼこになっていました。また、西側はキッチンになっていて、そこにはオーブンがおかれ、食器入れや冷蔵庫も並んでいました。さらに、キッチンには、丸い食卓テーブルがおかれ、テーブルをはさむようにイスが二つおかれていました。
「まあ、おすわりなさい」
カオルはうなずきながら、イスの一つに腰をおろしました。おばあさんは、チューリップのような形のグラスを選び出し、その二つを食卓テーブルの上におきました。
「サイダーはおすき?」
カオルはうなずきました。
「こんな日はやっぱりサイダーだよね」
おばあさんは、冷蔵庫からサイダーの入った瓶を出すと、二つのグラスにあわがはじける音をたてさせながら、すきとおった液体をついでくれました。
カオルは喉がかいていたので、すぐにグラスを手に取ると冷たいサイダーを喉に流し込んでいました。おばあさんは笑みを浮かべながら、カオルが空にしたグラスに瓶からサイダーをついでいました。
おばあさんは、再び冷蔵庫を開けて、中から紙の小箱を出してきて、食卓テーブルの上におきました。箱を開けて、おばあさんは中をカオルに見せました。中に赤いイチゴがのったショートケーキが四つ入っていたのです。
「わあ、ショートケーキ」
思わず、カオルは声をあげました。おばあさんは、小皿の上にトンクで二つのショートケーキをのせフォークをそえるとカオルの前においてくれました。
「食べてくださいね」
「いただきます」
声をあげると、すぐにカオルは食べ出しました。美味しいケーキです。ほおばり過ぎて途中で喉をつまらしてしまい、あわててサイダーを飲んでケーキを胃に流し込みました。食べ始めてから食べ終わるまで十分はかかりませんでした。食べ終わると、カオルは思わずホ~と声を出しました。
「どうやら、満足をしてくれたようだね」
カオルはうなずいてみせました。
「そうだね。カオルには、能力があると思うよ」
「能力?」と言って、カオルは思わず首を右にかしげました。
「すこし、待っておいでよ」
おばあさんは、イスから立ちあがりクルリと後ろを向くと螺旋階段をのぼりだしました。
おばあさんが何をするつもりなのか、まるで分からないカオルは、階段をあがるおばあさんを見つめ続けました。でも、おばあさんが二階にあがるとその姿がすぐに見えなくなっていました。
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