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第2話旅立ち 1 いやだ、いやだ!
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マリアは、いつの間にかリュックを出してきて、見聞録を箱に戻し、箱ごとリュックの中に入れると、忠司の椅子のそばにおいていた。
次に、マリアは、食卓テーブルの上の皿を置き直し、「王子様、どうして、いつまでも暗い顔をなさっておられるのですか?まずは、腹がへっては、戦はできぬで、ございますよ。十分な食事をとって、旅立っていただきたいと存じます」と言った。
理由をつけてことわるしかないと、忠司は腹をきめた。そう思うと、空腹感がよみがえってくる。
そこで、稲荷寿司を左手でつかみ、それを頬張りながらマリアが取り皿に取ってくれたハンバーグを右手でつついた。サンドイッチにも手をだしたころ、お腹のすいた感じはなくなりだしていた。でも、まだ食べられる。
「ヒューム王国は外国だろう?行くとすれば、パスポートをまずとる必要あるよね。とるのに、どのくらい時間がかかるのかな?半月っくらいかい」
忠司は、行かなくてもいい理由をさがそうと思って、話をしていた。
「いいえ、そんな必要はございません。申し上げましたように、ヒューム国は異境の地です。別の世界にある国でございます。そこに戻ることになるだけでございますよ」
「えっ、別世界!そんなところにどうやって行けるのさ? 行けるわけがない」
「私たちがこられたのですから、大丈夫です」
「じゃ、父さん、いやアンリーが一緒に行ってくれるんだね?」
「それが」
「どうしたのさ?」
「私、腰をいためておりまして。強い敵を相手に王子様をお守りすることはできかねますので」
たしかに、ぎっくり腰で父であった男、アンリーは整形外科にかよってはいる。だが、それは、接待ゴルフは仕事だよ、とか理由をつけて、日曜日がくるたびにゴルフに行ったせいだと忠司は思っている。
「じゃ、母さん、いやマリアが一緒に行ってくれるんだ?」
「もうしわけございません。妻は夫とともにいるべきものです。ましてや、腰をいためた夫のそばにいてあげるのが妻の務めでございます。それに他の理由もございます。王子様が、いつでも、この世界、日本に戻れるようにこの場所を確保しておかなければなりません」
じゃ、俺は一人で行き方も分からない、どんな国かもわからない所に行くことになるのか?
「馬鹿な、そんなの、ありえないしょ」と声をだし、忠司が顔をこわばらせた。
次に、マリアは、食卓テーブルの上の皿を置き直し、「王子様、どうして、いつまでも暗い顔をなさっておられるのですか?まずは、腹がへっては、戦はできぬで、ございますよ。十分な食事をとって、旅立っていただきたいと存じます」と言った。
理由をつけてことわるしかないと、忠司は腹をきめた。そう思うと、空腹感がよみがえってくる。
そこで、稲荷寿司を左手でつかみ、それを頬張りながらマリアが取り皿に取ってくれたハンバーグを右手でつついた。サンドイッチにも手をだしたころ、お腹のすいた感じはなくなりだしていた。でも、まだ食べられる。
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忠司は、行かなくてもいい理由をさがそうと思って、話をしていた。
「いいえ、そんな必要はございません。申し上げましたように、ヒューム国は異境の地です。別の世界にある国でございます。そこに戻ることになるだけでございますよ」
「えっ、別世界!そんなところにどうやって行けるのさ? 行けるわけがない」
「私たちがこられたのですから、大丈夫です」
「じゃ、父さん、いやアンリーが一緒に行ってくれるんだね?」
「それが」
「どうしたのさ?」
「私、腰をいためておりまして。強い敵を相手に王子様をお守りすることはできかねますので」
たしかに、ぎっくり腰で父であった男、アンリーは整形外科にかよってはいる。だが、それは、接待ゴルフは仕事だよ、とか理由をつけて、日曜日がくるたびにゴルフに行ったせいだと忠司は思っている。
「じゃ、母さん、いやマリアが一緒に行ってくれるんだ?」
「もうしわけございません。妻は夫とともにいるべきものです。ましてや、腰をいためた夫のそばにいてあげるのが妻の務めでございます。それに他の理由もございます。王子様が、いつでも、この世界、日本に戻れるようにこの場所を確保しておかなければなりません」
じゃ、俺は一人で行き方も分からない、どんな国かもわからない所に行くことになるのか?
「馬鹿な、そんなの、ありえないしょ」と声をだし、忠司が顔をこわばらせた。
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