34 / 40
第13話ダンジョン突入 1 会議は踊る
しおりを挟む
犬顏の獣人は、医者サムソンのおかげで、どんどんと人に近づいていった。名前も村人の時の名前を思い出すことできた。その名前は、ソラン。前に住んでいた村はハチカタ村だった。
忠司が顏を見に行くとソランは、「王子様、命を助けていただいたのだから、そのお礼をさせてもらいたい。それにグールを倒すことができれば、国を元に戻すことができ、私も生まれた村に帰ことができる」と言っていた。
ソランは、すっかりまともになっている。これはサムソンの精神的なケアーによるものだったのかもしれない。
ともかく情報が欲しい。忠司はさらに聞いてみた。
「私のようなしたっぱの兵士に、大事なことを教えてくれませんよ。しかし、耳にできたことを思い出しますと、ダンジョンの入口は地下ではなく、うんと高い所にあるそうですよ」
「高い所?」
「つまり、たんなる洞窟ではない。そこに信じられない怪物がいて、臭いにおいがすると聞いております。ともかく、私ができることは行動あるのみです」
そう言った後、ソランは親衛隊の若い者をつれて、山の中に入ってダンジョン探しを続けてくれたのだ。そして、ついに彼は大山の頂上に三角形の岩があって、そこに穴が掘られているのを見つけた。穴は、奥に入れば洞穴になっていた。その中に入ったソランは鼻を鳴らしてにおいをかぎ「臭い生き物のにおいがする。ここに間違いはない」と言っていた。
そのことを彼は隠れ里に戻るとすぐに親衛隊長ルソーに伝えた。ルソーは忠司の部屋に飛び込んでいった。
「王子様、ついにダンジョンが見つかりましたぞ。ダンジョンにどのように入っていくか、さっそく会議を開いてくだされ」
「分かった。開こう。役職の者たちを集めてよ」
晩餐会で使っている大広間に、役職者たちが集められた。忠司の右前には親衛隊長のルソーが、花音は忠司の左前にすわっていた。
まず、ソランがダンジョン発見の経過をふたたび話した。
「なるほど、ダンジョンには、まず魔物がいると思って対処しなければなりませんな」と、ルソーが腕を組んでいる。
「まったく、そのとおりじゃ」、「予備隊も含めて、4部隊はダンジョンそばに待機させなくてはならないぞ」と、他の親衛隊員たちが言っていた。
「それだけの人数を待機させると食べ物や水も運ばなければなりませんな」と、フロイトが言葉をそえる。
すると、花音が手をあげた。
「兵隊を集めるのもいいけれど、ダンジョンの中は暗いわ。明るくしないと兵隊をいくら連れて行ってもやられてしまうわよ」
「そうじゃ、その通りじゃ、明るくするにはどうすればいいかのう?」
「ロウソクを持って行き、ダンジョンの中に置いておく」
「それはいい。だが、ダンジョンは長くて深いぞ」
「ハチがつくった蜜蝋を集めさせてロウソクをもっと作らせよう」とルソーが言い、忠司は「明かり付け隊を組織して配置する必要があるな」と言っていた。
忠司が顏を見に行くとソランは、「王子様、命を助けていただいたのだから、そのお礼をさせてもらいたい。それにグールを倒すことができれば、国を元に戻すことができ、私も生まれた村に帰ことができる」と言っていた。
ソランは、すっかりまともになっている。これはサムソンの精神的なケアーによるものだったのかもしれない。
ともかく情報が欲しい。忠司はさらに聞いてみた。
「私のようなしたっぱの兵士に、大事なことを教えてくれませんよ。しかし、耳にできたことを思い出しますと、ダンジョンの入口は地下ではなく、うんと高い所にあるそうですよ」
「高い所?」
「つまり、たんなる洞窟ではない。そこに信じられない怪物がいて、臭いにおいがすると聞いております。ともかく、私ができることは行動あるのみです」
そう言った後、ソランは親衛隊の若い者をつれて、山の中に入ってダンジョン探しを続けてくれたのだ。そして、ついに彼は大山の頂上に三角形の岩があって、そこに穴が掘られているのを見つけた。穴は、奥に入れば洞穴になっていた。その中に入ったソランは鼻を鳴らしてにおいをかぎ「臭い生き物のにおいがする。ここに間違いはない」と言っていた。
そのことを彼は隠れ里に戻るとすぐに親衛隊長ルソーに伝えた。ルソーは忠司の部屋に飛び込んでいった。
「王子様、ついにダンジョンが見つかりましたぞ。ダンジョンにどのように入っていくか、さっそく会議を開いてくだされ」
「分かった。開こう。役職の者たちを集めてよ」
晩餐会で使っている大広間に、役職者たちが集められた。忠司の右前には親衛隊長のルソーが、花音は忠司の左前にすわっていた。
まず、ソランがダンジョン発見の経過をふたたび話した。
「なるほど、ダンジョンには、まず魔物がいると思って対処しなければなりませんな」と、ルソーが腕を組んでいる。
「まったく、そのとおりじゃ」、「予備隊も含めて、4部隊はダンジョンそばに待機させなくてはならないぞ」と、他の親衛隊員たちが言っていた。
「それだけの人数を待機させると食べ物や水も運ばなければなりませんな」と、フロイトが言葉をそえる。
すると、花音が手をあげた。
「兵隊を集めるのもいいけれど、ダンジョンの中は暗いわ。明るくしないと兵隊をいくら連れて行ってもやられてしまうわよ」
「そうじゃ、その通りじゃ、明るくするにはどうすればいいかのう?」
「ロウソクを持って行き、ダンジョンの中に置いておく」
「それはいい。だが、ダンジョンは長くて深いぞ」
「ハチがつくった蜜蝋を集めさせてロウソクをもっと作らせよう」とルソーが言い、忠司は「明かり付け隊を組織して配置する必要があるな」と言っていた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
はずれ職である魔法戦士に転生した僕はなぜかクリティカルヒットを出しまくるのでとりあえず異世界で無双します!
闇夜
ファンタジー
前世での事故により死んでしまった主人公は、女神ハーティの情けにより、彼女が造った世界「フルスティア」に転生することになった。
どんな人生が待っているのかとワクワクして目覚めたら、なぜか荒野に捨てられていた…。
偶然通りかかった神父に拾われ、ワークとして生きることになった。ワークは職業適正の儀式でこの世界では「はずれ職」である魔法戦士の適正をもらい、村のものから馬鹿にされていた。
しかし彼は転生ボーナスにより、相手に必ずクリティカルダメージを与えることができるスキルを持っていたため、暇があれば魔物たちを狩りまくっていた。
いつものようにダンジョンで魔物を倒していたある日、隠し部屋を見つけて宝箱に入っていた宝石を気に入ったワークはその石を持って帰ることにした。石を拾ったことにより、ワークの運命は大きく動き出す。
君と旅をするために
ナナシマイ
ファンタジー
大切なものはすべて、夕焼け色に染まっていました。
「お前は、魔力を暴走させるだけの危険物だ」
赤い髪を持って生まれた子供は“忌み子”と呼ばれ、
魔力を上手く操れない危険な存在として
人々に忌避されていました。
その忌み子でありながら、
魔法が大好きで、魔法使いとして生きる少女 リル。
彼女は、剣士の少年 フレッドとともに旅をしています。
楽しいことにも、危険なことにも出会う中で、
次第に明らかになっていく旅の目的。
そして、リルの抱える秘密とは――――
これは、とある小さな魔法使いの、後悔をたどる物語。
◇◇◇
※小説家になろう様、カクヨム様、エブリスタ様、ノベルアップ+様、ノベリズム様にも掲載しています。
※自サイトにも掲載しています。↓
https://www.nanashimai.com
クズ聖王家から逃れて、自由に生きるぞ!
梨香
ファンタジー
貧しい修道女見習いのサーシャは、実は聖王(クズ)の王女だったみたい。私は、何故かサーシャの中で眠っていたんだけど、クズの兄王子に犯されそうになったサーシャは半分凍った湖に転落して、天に登っちゃった。
凍える湖で覚醒した私は、そこでこの世界の|女神様《クレマンティア》に頼み事をされる。
つまり、サーシャ《聖女》の子孫を残して欲しいそうだ。冗談じゃないよ! 腹が立つけど、このままでは隣国の色欲王に嫁がされてしまう。こうなったら、何かチートな能力を貰って、クズ聖王家から逃れて、自由に生きよう! 子どもは……後々考えたら良いよね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる