33 / 40
3 事後処理
しおりを挟む
親衛隊長のルソーは、危機を脱したいまこそ、攻撃に転じるべきだと思っていた。
「川に行くぞ」と声をかけ配下の者たちを連れて、洪水を起こした川原におりていった。
川原にはいたる所に獣人たちが倒れていた。おぼれて死んだ者たちばかりで、恐怖にひきつった顔を見るだけで、見る方も苦しくなる。
「隊長、息がある者がいます」
「なに、本当か?」
すぐにルソーは声をあげた隊員のもとにかけつけた。
隊員の足元には、水を吐いている獣人がいた。犬顏の男だ。
「ダンジョンの場所を知っているかね? もし、教えてくれるならば、手当てをして命を助けてあげてもいいぞ」
「本当に、本当に助けてくれるのか?」
「そうだ。ダンジョンへの道を教えて案内をしてくれるならばな」
「助けてくれたら、それをしてやるよ」と言った獣人は気力が途絶えたのか、目を閉じ出した。
「やばいな。もう一度伏せて、水を出さすんだ」
ルソーに言われて、隊員は獣人の背を上に向かすと背中を押し出した。すると、口から胃に残っていた水が吐き出されていく。水が抜けたと思った隊員は次に獣人の胸を上に向けさせ、胸を押し出した。心臓マッサージを行っているのだ。
20分も、規則的にマッサージを続けていたおかげだろう。どうやら、獣人は規則的な呼吸を始めていた。
「どうやら息をふきかえしましたよ」と、隊員はルソーの方に顔をあげた。
「ともかく、そいつを隠れ里に連れて行くんだ! これまでも獣人を捕まえて、ダンジョンへの道を聞き出そうとしたのだが、捕まった獣人はすぐに自害をしてしまった。だいぶ前に捕まえた獣人から聞き出せそうになったが、飛んできた矢で殺されてしまった。今度は周りに獣人がいない。間違いなくダンジョンへ行く道を聞くことができるかもしれない」
ルソーに言われて、隊員は獣人を背負っていた。
「サルタン王子様の働きがなければ、私たちは生きていることはできなかった。そのお礼のためにも王子様のお役に立つことをして、恩返しをしなければならないぞ」と言ったルソーは強く口を閉じていた。
「そうですね。王がいるダンジョンへの道がわかれば、サルタン王子様へのお礼ができます」
ルソーは獣人を背負った隊員を引き連れて、隠れ里に戻っていった。
「川に行くぞ」と声をかけ配下の者たちを連れて、洪水を起こした川原におりていった。
川原にはいたる所に獣人たちが倒れていた。おぼれて死んだ者たちばかりで、恐怖にひきつった顔を見るだけで、見る方も苦しくなる。
「隊長、息がある者がいます」
「なに、本当か?」
すぐにルソーは声をあげた隊員のもとにかけつけた。
隊員の足元には、水を吐いている獣人がいた。犬顏の男だ。
「ダンジョンの場所を知っているかね? もし、教えてくれるならば、手当てをして命を助けてあげてもいいぞ」
「本当に、本当に助けてくれるのか?」
「そうだ。ダンジョンへの道を教えて案内をしてくれるならばな」
「助けてくれたら、それをしてやるよ」と言った獣人は気力が途絶えたのか、目を閉じ出した。
「やばいな。もう一度伏せて、水を出さすんだ」
ルソーに言われて、隊員は獣人の背を上に向かすと背中を押し出した。すると、口から胃に残っていた水が吐き出されていく。水が抜けたと思った隊員は次に獣人の胸を上に向けさせ、胸を押し出した。心臓マッサージを行っているのだ。
20分も、規則的にマッサージを続けていたおかげだろう。どうやら、獣人は規則的な呼吸を始めていた。
「どうやら息をふきかえしましたよ」と、隊員はルソーの方に顔をあげた。
「ともかく、そいつを隠れ里に連れて行くんだ! これまでも獣人を捕まえて、ダンジョンへの道を聞き出そうとしたのだが、捕まった獣人はすぐに自害をしてしまった。だいぶ前に捕まえた獣人から聞き出せそうになったが、飛んできた矢で殺されてしまった。今度は周りに獣人がいない。間違いなくダンジョンへ行く道を聞くことができるかもしれない」
ルソーに言われて、隊員は獣人を背負っていた。
「サルタン王子様の働きがなければ、私たちは生きていることはできなかった。そのお礼のためにも王子様のお役に立つことをして、恩返しをしなければならないぞ」と言ったルソーは強く口を閉じていた。
「そうですね。王がいるダンジョンへの道がわかれば、サルタン王子様へのお礼ができます」
ルソーは獣人を背負った隊員を引き連れて、隠れ里に戻っていった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】君の世界に僕はいない…
春野オカリナ
恋愛
アウトゥーラは、「永遠の楽園」と呼ばれる修道院で、ある薬を飲んだ。
それを飲むと心の苦しみから解き放たれると言われる秘薬──。
薬の名は……。
『忘却の滴』
一週間後、目覚めたアウトゥーラにはある変化が現れた。
それは、自分を苦しめた人物の存在を全て消し去っていたのだ。
父親、継母、異母妹そして婚約者の存在さえも……。
彼女の目には彼らが映らない。声も聞こえない。存在さえもきれいさっぱりと忘れられていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる