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3 事後処理

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 親衛隊長のルソーは、危機を脱したいまこそ、攻撃に転じるべきだと思っていた。
「川に行くぞ」と声をかけ配下の者たちを連れて、洪水を起こした川原におりていった。
 川原にはいたる所に獣人たちが倒れていた。おぼれて死んだ者たちばかりで、恐怖にひきつった顔を見るだけで、見る方も苦しくなる。

「隊長、息がある者がいます」
「なに、本当か?」
 すぐにルソーは声をあげた隊員のもとにかけつけた。
 隊員の足元には、水を吐いている獣人がいた。犬顏の男だ。
「ダンジョンの場所を知っているかね? もし、教えてくれるならば、手当てをして命を助けてあげてもいいぞ」
「本当に、本当に助けてくれるのか?」
「そうだ。ダンジョンへの道を教えて案内をしてくれるならばな」
「助けてくれたら、それをしてやるよ」と言った獣人は気力が途絶えたのか、目を閉じ出した。
「やばいな。もう一度伏せて、水を出さすんだ」
 ルソーに言われて、隊員は獣人の背を上に向かすと背中を押し出した。すると、口から胃に残っていた水が吐き出されていく。水が抜けたと思った隊員は次に獣人の胸を上に向けさせ、胸を押し出した。心臓マッサージを行っているのだ。
 20分も、規則的にマッサージを続けていたおかげだろう。どうやら、獣人は規則的な呼吸を始めていた。
「どうやら息をふきかえしましたよ」と、隊員はルソーの方に顔をあげた。
「ともかく、そいつを隠れ里に連れて行くんだ! これまでも獣人を捕まえて、ダンジョンへの道を聞き出そうとしたのだが、捕まった獣人はすぐに自害をしてしまった。だいぶ前に捕まえた獣人から聞き出せそうになったが、飛んできた矢で殺されてしまった。今度は周りに獣人がいない。間違いなくダンジョンへ行く道を聞くことができるかもしれない」
 ルソーに言われて、隊員は獣人を背負っていた。

「サルタン王子様の働きがなければ、私たちは生きていることはできなかった。そのお礼のためにも王子様のお役に立つことをして、恩返しをしなければならないぞ」と言ったルソーは強く口を閉じていた。

「そうですね。王がいるダンジョンへの道がわかれば、サルタン王子様へのお礼ができます」

 ルソーは獣人を背負った隊員を引き連れて、隠れ里に戻っていった。

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