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第7話深追い 1 北東はどっちだ!
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ビルは、鞭をふるい、軽快に馬車を走らせていた。その隣に忠司がすわり、後ろの荷台に、花音がすわった。
花音の後ろには、水の入った樽が積まれ、ベーコンや燻製にされたソーセジ、それにチーズは木箱に入れておかれている。またフライパン、包丁などの調理器具も積まれている。さらに、フランスパンが20本近く、袋に入れてつまれていた。フランスパンは表面が固くなって、日持ちが良いパンだ。
積まれている品々はハルカ村の店々をビルが走り回って買ってくれたものだ。もちろん、お金は村長が全部出してくれている。本当にありがたいことだった。
手持ちぶたさのせいか。小腹がすいたせいか。花音は、フランスパンを一つ袋から出して食べ出ていた。
「食べ物は大切しないといけない。だから。食べるのは半分にしとけよ」と、忠司は声を荒げた。
「王子様も、食べたいだけでしょう。はい」と言って、花音はフランスパンを半分にちぎり、忠司の方に投げてよこした。
「しょうがないな」
忠司は受け取ったフランスパンを手にしたが、まず「ビル、たべるかい?」と聞いてみた。
「いえ、そんな暇はありません」と、ビルは怒ったように言っている。無理はない。ビルは、少しでも早く、第三駐屯地につこうと、馬を走らせていたからだ。
しかたなく、忠司は手にしたフランスパンにかじりついた。歯ごたえがありすぎる。だが、何べんもかんでいると、口の中にフランスパン特有のうまみが口の中に広がってくる。
俺には、分かっている。未知の世界にきて、次から次へと現れる獣人を前にして、恐怖を感じないわけがない。本当は怖いのだ。だが、物を食べていると、なぜか落ち着いてくる。それは食べ物が俺のエネルギーや血肉になってくれるからかもしれない。
なんとか、フランスパンを食べ終えたころだ。やがて、周りから木々がなくなり、草地になった。その草も短かくなり、平原と化していた。
「本当に、獣人がいる場所なんてあるのかい?」
「王子、やってきましたよ」と、ビルが忠司に声をかけた。たしかに、遠くで砂ほこりが立っている。ビルは遠眼が利く。
砂埃がだんだんと大きくなり、こちらに近づいてくるのが忠司にも分かるようになった。
「馬の群れだな。野生の馬かな?」
「いや、王子違いますよ。敵です」
「敵?」
たしかに群れは、馬だった。だが、普通の馬ではなかった。体は馬なのに、顔だけは人の者がいる。反対に体は人なのに、貌だけが馬の者。さらに、普通の馬なのに、人間の両手が付いている者、人間の姿をしているのにその後ろに馬の体が付いている者だっている。
それらの馬たちが、大声を上げて、こちらに向かってくる。そして、馬の獣人たちは手に剣や槍を持っていたのだ。
「俺が、ここで、こいつらを、やつけてやるよ。その間、ビルは馬車を走らせて、少しの間、逃げ回ってくれ」と言って、忠司は馬車から飛び降りた。ビルは鞭を激しく振って馬を走らせ、忠司から離れていった。
オリハルコンの剣をかまえている忠司に馬の化け物たちは近づいてくる。彼らは、忠司に向かって持っている槍をつきだし、剣を振り下ろしてくるのだ。忠司は、それらを受けて青竜刀と化していた剣を振っていたが重すぎる。化け物の馬たちは、奇声をあげながら、忠司の周りをグルグルと回り出していた。忠司のスキをみて、少しづつ傷をつけて、倒そうと考えているのだ。
剣よ。もっと軽くなってほしい。と、忠司は思った。すると、オリハルコンの剣から、声が聞こえてきたのだ。
それでは、切れもよくした斬馬(ざんばけん)に変えましょう。
やはり、オリハルコンは只者ではない。
すぐにオリハルコンの剣は軽くなり、薄い剣になっていた。忠司はまるで踊るように体を回転させながら、剣を振った。剣に触れた馬たちの首は切られ、馬たちの体から離れていく。まるで、馬たちの首は、ばらまれた花のように忠司の周りに散らばっていた。
怪馬たちは数頭になると、逃げだそうとしだした。
「逃がすか!」
忠司は、生き残っていた怪馬の一頭に飛びついた。その怪馬は、人の上体が馬の背についている。馬の背にのると、背後から首を絞め、首に剣をつきつけた。
「俺をのせて、逃げた奴らの後をおえ」
「わかった。わかった」
怪馬の首に忠司は剣をつきつけ続けている。
「さあ、走れ」
忠司がいうと、怪馬は走り出した。すごい早さだ。勢いで忠司を振り落とそうと思っているからだ。
いままでやったことのない裸馬にのることなど、俺にできるわけがない。本来ならば俺は落ちていたと思う。だが、筋力が増強している。そのおかげで、馬に乗り続けていられる。これは守護神ヘラが俺を守ってくれているからだ。
やがて、遠くにいくつも並ぶテント小屋が見えてきた。それは、モンゴル遊牧民が作って暮らしているゲルに似ていた。テント小屋を前に、忠司たちがのってきた馬車がとまっていた。どうやら、逃げるつもりが追われて、ビルは馬車を第三駐屯地に向かって走らせてしまったのだ。
その馬車の上に立ってビルが斧をふり、馬車から少し離れた場所で花音が二刀の剣を振ってたくさんの怪馬たちを相手に戦っていた。
花音の後ろには、水の入った樽が積まれ、ベーコンや燻製にされたソーセジ、それにチーズは木箱に入れておかれている。またフライパン、包丁などの調理器具も積まれている。さらに、フランスパンが20本近く、袋に入れてつまれていた。フランスパンは表面が固くなって、日持ちが良いパンだ。
積まれている品々はハルカ村の店々をビルが走り回って買ってくれたものだ。もちろん、お金は村長が全部出してくれている。本当にありがたいことだった。
手持ちぶたさのせいか。小腹がすいたせいか。花音は、フランスパンを一つ袋から出して食べ出ていた。
「食べ物は大切しないといけない。だから。食べるのは半分にしとけよ」と、忠司は声を荒げた。
「王子様も、食べたいだけでしょう。はい」と言って、花音はフランスパンを半分にちぎり、忠司の方に投げてよこした。
「しょうがないな」
忠司は受け取ったフランスパンを手にしたが、まず「ビル、たべるかい?」と聞いてみた。
「いえ、そんな暇はありません」と、ビルは怒ったように言っている。無理はない。ビルは、少しでも早く、第三駐屯地につこうと、馬を走らせていたからだ。
しかたなく、忠司は手にしたフランスパンにかじりついた。歯ごたえがありすぎる。だが、何べんもかんでいると、口の中にフランスパン特有のうまみが口の中に広がってくる。
俺には、分かっている。未知の世界にきて、次から次へと現れる獣人を前にして、恐怖を感じないわけがない。本当は怖いのだ。だが、物を食べていると、なぜか落ち着いてくる。それは食べ物が俺のエネルギーや血肉になってくれるからかもしれない。
なんとか、フランスパンを食べ終えたころだ。やがて、周りから木々がなくなり、草地になった。その草も短かくなり、平原と化していた。
「本当に、獣人がいる場所なんてあるのかい?」
「王子、やってきましたよ」と、ビルが忠司に声をかけた。たしかに、遠くで砂ほこりが立っている。ビルは遠眼が利く。
砂埃がだんだんと大きくなり、こちらに近づいてくるのが忠司にも分かるようになった。
「馬の群れだな。野生の馬かな?」
「いや、王子違いますよ。敵です」
「敵?」
たしかに群れは、馬だった。だが、普通の馬ではなかった。体は馬なのに、顔だけは人の者がいる。反対に体は人なのに、貌だけが馬の者。さらに、普通の馬なのに、人間の両手が付いている者、人間の姿をしているのにその後ろに馬の体が付いている者だっている。
それらの馬たちが、大声を上げて、こちらに向かってくる。そして、馬の獣人たちは手に剣や槍を持っていたのだ。
「俺が、ここで、こいつらを、やつけてやるよ。その間、ビルは馬車を走らせて、少しの間、逃げ回ってくれ」と言って、忠司は馬車から飛び降りた。ビルは鞭を激しく振って馬を走らせ、忠司から離れていった。
オリハルコンの剣をかまえている忠司に馬の化け物たちは近づいてくる。彼らは、忠司に向かって持っている槍をつきだし、剣を振り下ろしてくるのだ。忠司は、それらを受けて青竜刀と化していた剣を振っていたが重すぎる。化け物の馬たちは、奇声をあげながら、忠司の周りをグルグルと回り出していた。忠司のスキをみて、少しづつ傷をつけて、倒そうと考えているのだ。
剣よ。もっと軽くなってほしい。と、忠司は思った。すると、オリハルコンの剣から、声が聞こえてきたのだ。
それでは、切れもよくした斬馬(ざんばけん)に変えましょう。
やはり、オリハルコンは只者ではない。
すぐにオリハルコンの剣は軽くなり、薄い剣になっていた。忠司はまるで踊るように体を回転させながら、剣を振った。剣に触れた馬たちの首は切られ、馬たちの体から離れていく。まるで、馬たちの首は、ばらまれた花のように忠司の周りに散らばっていた。
怪馬たちは数頭になると、逃げだそうとしだした。
「逃がすか!」
忠司は、生き残っていた怪馬の一頭に飛びついた。その怪馬は、人の上体が馬の背についている。馬の背にのると、背後から首を絞め、首に剣をつきつけた。
「俺をのせて、逃げた奴らの後をおえ」
「わかった。わかった」
怪馬の首に忠司は剣をつきつけ続けている。
「さあ、走れ」
忠司がいうと、怪馬は走り出した。すごい早さだ。勢いで忠司を振り落とそうと思っているからだ。
いままでやったことのない裸馬にのることなど、俺にできるわけがない。本来ならば俺は落ちていたと思う。だが、筋力が増強している。そのおかげで、馬に乗り続けていられる。これは守護神ヘラが俺を守ってくれているからだ。
やがて、遠くにいくつも並ぶテント小屋が見えてきた。それは、モンゴル遊牧民が作って暮らしているゲルに似ていた。テント小屋を前に、忠司たちがのってきた馬車がとまっていた。どうやら、逃げるつもりが追われて、ビルは馬車を第三駐屯地に向かって走らせてしまったのだ。
その馬車の上に立ってビルが斧をふり、馬車から少し離れた場所で花音が二刀の剣を振ってたくさんの怪馬たちを相手に戦っていた。
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