大人の絵本・おじさま

矢野 零時

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 私がおじさまに会いに行った日から、半年がすぎた頃でした。
 その日、老人ホームから、おじさまが亡くなったことを知らせる連絡が入りました。やがて、おじさまを知る近しい人たちが集まり、静かな葬儀が行われました。
 私も集まった一人でした。

 最後のお別れである献花の時がやってきました。
 おじさまの入ったお棺に近づき、ユリの花を手に私はおじさまの顔をみつめました。
「おじさま、どうして、ずっとお一人だったのですか?」
 おじさまは何も言いません。
「おじさま、私もまだ一人でいるのですよ」と言って、私はユリの花をおじさまの胸の上におきました。


         
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