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11クマさん親子
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この日も、オオカミさんはおばあさんの家の庭にでて手入れをしていました。
こんどは、親子のクマさんたちがやってきました。
「こんにちは」と、子供のクマさんが言いました。
クマのおとうさんとおかあさんも「こんにちは」と言いました。
突然、挨拶をされたので、オオカミさんは立ちあがりながら「こんにちは」と言いました。
でも、すぐにクマのおとうさんとおかあさんは家の中に入って行ってしまったのです。
家の出入口のドアをあけっぱなしにしていましたので、中から話す声がよく聞こえてきました。
「この家には、ほんとうに誰も住んでいないぞ」
「いいおうちね。きれいにかたづいているわ」と、クマのおかあさんが言いました。
きれいなのは、オオカミさんが掃除したばっかりだったからです。
「ヒグマさんの言うとおりだったね」と、クマのおとうさんが言っています。
どうもヒグマさんというのは、前にきたおおきなクマさんのことのようでした。
とにかく、なんとしても、クマさん親子におばあさんの家から出て行ってもらわなければとオオカミさんは思ったのでした。
「小麦粉があるので、パンケーキを焼くことができるわよ」
そう言って、クマのおかあさんは、とだなに残っていた袋から、小麦粉をとりだしボールに入れてこねだしました。聞こえてくる話では、クマのおかあさんは子供のころ山の木こりに育てられていたので、お料理もできるようになったそうです。
やがて、家の外までレンジで焼ける香ばしい匂いがしてきました。その匂いつられて、オオカミさんも家の中に入っていきました。
クマのおかあさんは、パンケーキをちゃんと四つにわけて、それぞれの皿にのせていたのです。
「さあ、オオカミさんもどうぞ」
クマさん親子といっしょにオオカミさんもパンケーキをごちそうになってしまいました。これでは、クマさん親子に、この家から出て行ってくださいとは、オオカミさんは言えなくなってしまいました。
それなのに「おかあさん、ここにいつまでも住んでいたいね」と、子供のクマさんは言っています。それを聞いたクマのおとうさんとおかあさんは、にっこりと笑ってうなずいていました。
オオカミさんは、暗い顔をして立ちあがりました。
「ごちそうさま。おやすみなさい」と言って、オオカミさんはおばあさんの家を出たのでした。
いつもなら、このままオオカミさんは自分の家に帰るのですが、今晩はそれができそうにありません。
空にお月さまが出ていました。
「お月さま。ぼくは、どうしたらいいんだろう?」
「そうだね。クマさん親子におばあさんの家から出て行ってもらうためには、他に家をさがしてあげなければならないね」
「ぼくに、そんな家、見つけることができないよ」
オオカミさんは、涙を浮かべていました。
「山の中を流れている川近くに洞穴があるんだが、そこなら、クマさんが住むことができそうだよ。行ってみるかい?」
そこで、オオカミさんは月の明かりに導かれて山の中に入っていきました。しばらく歩きまわると岩場ばかりのところにやってきて、おおきな洞穴をみつけることができました。そこは、近くに川もあってすぐに魚がとれるところです。さっそく、オオカミさんは、洞穴の前に木のとびらをつくり、とびらにクマさんたちの絵をかいた板をつりさげておきました。
ここを教えたら、クマさん親子は、きっとおばあさんの家から出て行ってくれるはずです。
「お月さま、ありがとう」と、オオカミさんは月に声をかけると、月はえみを浮かべていました。
オオカミさんは、あくびを一つすると山をくだって行きました。
こんどは、親子のクマさんたちがやってきました。
「こんにちは」と、子供のクマさんが言いました。
クマのおとうさんとおかあさんも「こんにちは」と言いました。
突然、挨拶をされたので、オオカミさんは立ちあがりながら「こんにちは」と言いました。
でも、すぐにクマのおとうさんとおかあさんは家の中に入って行ってしまったのです。
家の出入口のドアをあけっぱなしにしていましたので、中から話す声がよく聞こえてきました。
「この家には、ほんとうに誰も住んでいないぞ」
「いいおうちね。きれいにかたづいているわ」と、クマのおかあさんが言いました。
きれいなのは、オオカミさんが掃除したばっかりだったからです。
「ヒグマさんの言うとおりだったね」と、クマのおとうさんが言っています。
どうもヒグマさんというのは、前にきたおおきなクマさんのことのようでした。
とにかく、なんとしても、クマさん親子におばあさんの家から出て行ってもらわなければとオオカミさんは思ったのでした。
「小麦粉があるので、パンケーキを焼くことができるわよ」
そう言って、クマのおかあさんは、とだなに残っていた袋から、小麦粉をとりだしボールに入れてこねだしました。聞こえてくる話では、クマのおかあさんは子供のころ山の木こりに育てられていたので、お料理もできるようになったそうです。
やがて、家の外までレンジで焼ける香ばしい匂いがしてきました。その匂いつられて、オオカミさんも家の中に入っていきました。
クマのおかあさんは、パンケーキをちゃんと四つにわけて、それぞれの皿にのせていたのです。
「さあ、オオカミさんもどうぞ」
クマさん親子といっしょにオオカミさんもパンケーキをごちそうになってしまいました。これでは、クマさん親子に、この家から出て行ってくださいとは、オオカミさんは言えなくなってしまいました。
それなのに「おかあさん、ここにいつまでも住んでいたいね」と、子供のクマさんは言っています。それを聞いたクマのおとうさんとおかあさんは、にっこりと笑ってうなずいていました。
オオカミさんは、暗い顔をして立ちあがりました。
「ごちそうさま。おやすみなさい」と言って、オオカミさんはおばあさんの家を出たのでした。
いつもなら、このままオオカミさんは自分の家に帰るのですが、今晩はそれができそうにありません。
空にお月さまが出ていました。
「お月さま。ぼくは、どうしたらいいんだろう?」
「そうだね。クマさん親子におばあさんの家から出て行ってもらうためには、他に家をさがしてあげなければならないね」
「ぼくに、そんな家、見つけることができないよ」
オオカミさんは、涙を浮かべていました。
「山の中を流れている川近くに洞穴があるんだが、そこなら、クマさんが住むことができそうだよ。行ってみるかい?」
そこで、オオカミさんは月の明かりに導かれて山の中に入っていきました。しばらく歩きまわると岩場ばかりのところにやってきて、おおきな洞穴をみつけることができました。そこは、近くに川もあってすぐに魚がとれるところです。さっそく、オオカミさんは、洞穴の前に木のとびらをつくり、とびらにクマさんたちの絵をかいた板をつりさげておきました。
ここを教えたら、クマさん親子は、きっとおばあさんの家から出て行ってくれるはずです。
「お月さま、ありがとう」と、オオカミさんは月に声をかけると、月はえみを浮かべていました。
オオカミさんは、あくびを一つすると山をくだって行きました。
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