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10山から

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 そのうちに、おばあさんは家に戻ってくると思っていましたので、いつおばあさんが戻ってきてもいいように、オオカミさんは家の中のお掃除や庭の手入れをし続けていたのです。

 今日も、オオカミさんは、家の中のお掃除の後、庭の花に水をやっていました。
 
 突然、真っ黒い物が走ってきました。体のおおきさは、オオカミさんの2倍、いや3倍はありそうでした。森の中には、こんな物はいません。山からおりてきたのでしょう。
 だいぶ後で知ったことですが、これはおおきなクマさんだったのです。
 おおきなクマさんは、オオカミさんにおそいかかってきました。
 これも、後から知ったことなのですが、おおきなクマさんがオオカミさんにのしかかってきたのは、オスモウをとろうと思っていたからでした。
 森の中では、いちばん強いと思っていたオオカミさんは両手で押し返そうとしましたが、投げ飛ばされてしまいました。なんど、やっても投げ飛ばされます。
「たわいもないやつだな」と言って、おおきなクマさんは木によりかかって、はらをつきだしていました。

 そんな時に、しげみの中から、男の子が飛びだしてきました。男の子は、はだかで赤いまいかけ一枚をつけているだけでした。
「ぼくと、しょうぶだ!」と叫ぶと、おおきなクマさんにむかって両手をひろげました。
 おおきなクマさんは「なんだと!」と言って、男の子にぶつかっていきました。
 でも、おおきなクマさんの方が投げ飛ばされていました。それでも、おおきなクマさんはへこたれません。すぐに立ち上がり、ふたたびぶつかっていきました。今度は、男の子が庭の花の上にころがりました。

 つぶれていく花をみて、「あっ」と声を上げオオカミさんは立ちあがってしまいました。
「まだまだ」と言って、男の子はおきなクマさんにむかっていきます。
 そのうちに「あんたもやるか」と、その場に立ちつくしているオオカミさんは声をかけられ、男の子とおおきなクマさんのぶつかりあいに参加させられてしまったのです。
 オオカミさんがへとへとになって、じべたに腰をおろした時には、おおきなクマさんと男の子はむかいあい、笑っていました。
「金太郎さん、そろそろ山に戻りますか?」
「そうだな」
 男の子がおおきなクマさんのせなかにのると、おおきなクマさんは山にむかってゆっくりと歩き出していました。
 そして、オオカミさんは、男の子が金太郎さんと呼ばれていることを知りました。

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