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16籠城(ろうじょう)

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 ダランガ国をでてから二日は経っていた。
 トムがムチをふり幌馬車を走らせていると、遠くで争っている者たちが見えてきたのだ。
 荷物を積んだ五台の荷馬車の周りをケンタウロスたちが走り廻っていた。荷馬車を守っている者たちは、紺色の制服を着たムガール帝国の兵士だ。おそらく、ムガール帝国に戻ることができた兵士たちから、北砦にリカードが閉じ込められていることを知り、送られた援軍であるに違いなかった。
「助けてあげなければ、ならないわ」
 シルビアは腰にさげていた剣を鞘からぬいて念を込めると、ケンタウロスにむかって火柱をはなった。火柱にあたったケンタウロスは燃え出し倒れていった。さらに念をこめて、立て続けに火をはなった。次々とケンタウロスは燃え上がり、倒れていった。
 幌馬車が敵であることを知ったケンタウロスの一群が、幌馬車にむかってきた。ロダンはすぐに戦いやすいように幌をおろしていた。
 真っ先に走ってきたケンタウロスのふりおろした剣の前にロビンは飛び出した。相手の剣がシルビアを狙っていたからだ。ロビンの剣はケンタウロスの剣先をはじいた。その後、ロビンの剣は弓なりに弧をえがいていた。まるで空に三日月をえがくように剣をふったのだ。剣にあたったケンタウロスは肩から胸にかけ切断され馬である下半身から滑り落ちっていた。
 シルビアもすぐに荷馬車から飛びおりた。ケンタウロスたちを自分の方にひきつけるためだ。大地にたつと走ってくるケンタウロスたちに左手にもった杖をむけた。念をこめて大風を彼らにふきつけると、彼らは枯葉のように空を舞いあがっていた。次に剣をつきあげ、空にいるケンタウロスたちにむけて火柱を放し続けた。やがて、ケンタウロスのこげた遺体が渇いた土の上にふっていた。

 幌馬車の方へもケンタウロスたちは襲っていった。近づいてくるケンタウロスたちにトムは次から次へと弓で矢を放った。だが、矢の間を縫って近づいてくるケンタウロスたちがいる。ロダンは魔法袋から取り出した槍を使ってそばにきたケンタウロスを刺し貫いていた。ロビンは馬車に飛んで戻り、ジョアンナの前に立った。そして彼女に近づくケンタウロスたちを居合で次から次へと切り倒していた。白魔法師を守ることがパーティーでどれだけ重要であるかを知っていたからだ。
 空から降ってくる遺体を見守っていたケンタウロスたちは、勝てない相手だと気がついたのだろう。
 ケンタウロスの大将と思える者から「撤退だ」との声があがった。するとケンタウロスたちは、砂埃をたてて一斉に逃げ出していった。

 遠くなるケンタウロスたちの背を見送りながら、ロダンは「シルビアさまの火力は、やはり威力がありますな」と言ってあご髭をなぜていた。
 ケンタウロスの姿がまったく見えなくなると、ムガール帝国の兵士の一人が、シルビアの元にやってきた。
「有難うございました。冒険者の方々ですね。私らはムガール帝国の食料輸送部隊。そして私は隊長をしているネグレスと申します。これを奪われたら砦の兵士たちは飢えるしかなくなるところでした」
「いやいや、ちょうどいい時にくることができたようですな。私らはただの冒険者ではない。こちらにいる方は、魔法王女シルビアさまですぞ」
 ロダンがそう言うと、「本当でございますか。魔法王女さまでなければ、あれだけの魔法を使うことができなかった。改めて、助けていただいたこと、お礼を申し上げます」と言ってネグレスは腰をおとして片膝をついていた。
「ケンタウロスは、人というよりは魔獣と言える者。リカードさまが苦境に陥っていると知り、お助けをしなければと思ってやってきたのですよ」
「ほんとうに有難うございます」

 その後、輸送部隊の兵士たちは荷馬車を動けるように修理をして体制を整えると、砦にむかってふたたび動き出した。当然、シルビアたちは、輸送部隊の後について行く。
 草もまばらにしか生えていない大地を進んで行くと、小山のような石作りの建物が見えてきた。小山に近づいて見ると、細長い大石を並べてはりつけた塀がめぐらされていて、その高さ七メートルはあったのだ。
 ネグレスは片手をあげて、荷馬車をとめた。
「シルビアさま、ここが砦でございます」と言ってネグレスはシルビアの方に顔をむけた。
「これは岩城ですな」と、ロダンは顔をあげて塀を見ている。
「ここにリカードさまがおられるのですね?」
 シルビアは、ネグレスに聞いていた。
「はい」と言った後、ネグレスは輸送隊に指示を出して荷馬車を動かし、裏にまわった。そこにも高い岩塀があり、塀の上から見張り役の兵士たちが顔をのぞかせていた。彼らにむかってネグレスは手をふり「食料をお持ちいたしましたぞ」と叫んだ。すると、木を並べて作った平台が吊るされ、おりてきたのだ。 
 平台は大きく荷馬車一台を簡単にのせることができる大きさだった。平台が地面までおりてくると、輸送隊の者たちは、それに荷馬車をのせる。上に知らせると荷馬車をのせた平台を砦にいる兵士たちは水車のような車輪をまわして引きあげ出したのだ。やがて、平台が岩塀の頂上と同じ高さになると、荷馬車の綱をひいて平台から砦の頂上におろしていた。
「なるほど、これを繰り返せば、ここにある物はすべて上に運ぶことができますな。これではケンタウロスも入ることができないはずだ」と、ロダンは感心をしていた。

 シルビアがのっていた幌馬車が引き上げられるまでには、まだ時間があった。
「ロダン、相談があるの?」
「シルビアさま、なんでしょうか?」
「王女である私が、この姿でリカードさまにお会いできると思います?」
「なるほど、着替えは幌馬車にも積んできております。幌の中ならば、人に見られずに着変えることもできると思いますが」
「だめよ。あの服は旅の間に着ていて汚れてしまっているわ。それにおしゃれじゃない。リカードさまの前に着ていく服ではないと思うの」
「そうもうされても、ここには他に服を持ってきてはおりませんぞ」
「方法はあるじゃない」と言って、シルビアは笑い声をたてた。
「方法ともうしますと?」
 すると、シルビアはロダンの腰にさげた魔法袋を指さした。
「その中に入れば、私の城に戻ることができるのでしょう。そこから入って最近買ったばかりのドレスに着替えてきたいわ」
「たしかに、それはできますな。しかし、早くしなければなりせん。私らを上にあげるための番がすぐにきてしまいますぞ」
 そう言ったロダンはあきらめたように、魔法袋の口を大きく開けた。さっそくシルビアは右足を魔法袋に入れた。次に左足も入れる。その足もすぐに入り、シルビアの体は魔法袋にひっかかることもなく中に入っていたのだ。

 そこは食材置き場だった。天井まで階段がつくられている。だから、シルビアは階段をおりていけば、床につくことができた。また階段の最上段は踊り場のように広くなっていたので、物を置くこともできる。ロダンが魔法袋から取り出したいと思う物は前もってここに置いていたのだった。
 ともかく、シルビアが現れたので、食材置き場に野菜を取りに来ていた調理人たちは驚いていた。
「王女さま、どうして、ここに?」
 その問いには答えずにシルビアは「私の部屋に行くのには、どちらにむかえばいいのかしら?」と聞いていた。
「ここを出て左に曲がって通路をまっすぐに行ってください。その後、通路を右に曲がり、さらに左に曲がり、二つ目の角を右に曲がって見える大理石の柱の陰にある出入口が王女さまの部屋でございます」
「そうだったわね。有難う」
 シルビアは大股で歩き出し、自分の部屋に行った。部屋で清掃を行っていた侍女もシルビアが現れたので驚いていた。
「一番新しいドレスに着替えたいわ」
 シルビアがそう言うと、すぐに侍女はシルビアを衣服室に連れていった。そこにあるクローゼットに吊り下げてあるドレスの中から、シルビアの言った服を持ってくると他の侍女にも手伝わせシルビアの服を着替えた。真正面には等身大の自分を写すことができる鏡が置かれている。シルビアは、それに自分を写して見た。そしてすぐに顔をこわばらせた。
「なによ。この顔はなに!」
 土の埃で顔や髪が汚れているのに気づいたのだ。
「時間がないことは分かっているつもりよ。でも、シャワーだけでも浴びて、体の汚れをとらないといけないわ」
 そう言ったシルビアは着ていた物をすぐに脱ぎ出した。侍女はすばやくシルビアにガウンを着せると、王女専用の浴室に連れていった。そこでバスタブに体をひたし、シャボンを使い、体中からの汚れをとった。その後、タオルで体を拭いて衣服室に戻ってきた。
 着付けのやり直しだ。
 シルビアは、新しい服を着ると胸にバラの花を飾ってみた。これはいい。だが、頭の方はどうするかだ。カチューシャをつけるのも、戦場にはふさわしくないように思えた。そこで、孔雀の羽飾りがついた帽子をかぶることにしたのだった。
 もう一度鏡に自分を写して、シルビアは納得を覚えると食材置き場に戻った。階段を登って天井の真下に立ってみたが、砦に戻る方法がわからない。
「ロダン、私はここよ。袋から出してちょうだい」
 シルビアは大声をあげた。だが、天井に変化はうまれない。シルビアは何度も声をあげてみた。シルビアの声はロダンには聞こえないのだ。輸送部隊の人たちはすべて砦の上にあげられているに違いなかった。シルビアは目に涙が溜まり出していた。
 そんな時に、天井に裂け目が生まれ、そこから光が差し込んできた。
「王女さま、戻っておられましたな?」
 ロダンの顔が見えた。次にしわがれた手が裂け目から入り込んできた。
「シルビアさま、おつかまりくだされ」
 言われるままに、シルビアはその手をつかんだ。ロダンの手に力が入り、シルビアは魔法袋の外に出ることができた。だが、辺りの風景が変わっていた。
「ここは、どこかしら?」
「シルビアさまがお戻りにならないので、幌馬車とパーティーの面々は台にのせてもらい、砦の上に運びあげてもらっております」
「そうなの」
 シルビアは砦のふちまで行って眼下を見た。遠くに河が見え、荒れはてた荒涼な平原が広がっている。

 そんな時に、ネグレスがリカードを連れてやってきたのだ。リカードはシルビアを見つけると笑顔になり、すぐに話しかけてきた。
「シルビアさま、この度は、ダランガ国の兵団をおかしいただき、有難うございました。その上、みずからこの砦まで来てくだされるとは思ってもおりませんでした。お礼を申し上げるしだいです」
「帝国の危機が訪れた時、リカードさまには、いつも活躍をしていただいております。そんなリカードさまが、たいへんな時は、連合国である私たちがお手伝いをするのは当然のことですわ」
「待っていた食料が届きましたので、今晩は贅沢な晩餐会を開催できます。ご一緒に食事をしていただけますか?」 
「よろしくお願いいたします」と言って、シルビアは微笑んでいた。


 ケンタウロスたちは、補給の食材は届けられたが、そのうちに砦にある食料がつきて中にいるムガール帝国の兵士たちは白旗をあげるのでないかと思っていた。だが、シルビアがここに来たことで、砦の食料がなくなることはなくなった。それは、魔法袋をとおしてダランガ国で集めた食料をいつでも砦に届けることができるからだ。

 やがて、ケンタウロスたちは砦の兵士たちが籠城をしても根をあげないでいられることが分かってきた。そこで、ケンタウロスたちは、直接砦を襲うことにしたのだ。
 その方法は、長い梯子を作ってきて、それを強引に石塀にたてかけて、それを登って入り込もうとした。だが、ケンタウロスの体は馬だ。ひづめで梯子を登ることはうまくできない。不器用な登り方をしてくるケンタウロスは、ムガール帝国の兵士たちの槍襖にさえぎられ、梯子から落とされていった。さらにかけられた梯子に火をつけられ、梯子は燃え落ちていった。
 次にケンタウロスが考えたことは、多人数で並んで石塀の見張り台にむかって矢を無数に放つことだ。たくさんの矢を放てば、砦からでてきている者すべての頭の上に矢が落ちていく。シルビアは砦の端に立って火力で一気に矢を焼き払おうとした。だが、シルビアの持つ魔法の威力を知っているケンタウロスたちは、シルビアが砦の端に姿を見せるだけで、一斉にシルビアを狙って矢を放つのだ。だから、シルビアが魔法を使うことができなくなっていた。
 一方、シルビアたちは白魔法師のジョアンナを連れてきている。矢で傷ついた兵士たちを彼女は持ってきた薬ですぐに治療を始め、死にそうな兵士にはポーションを多く与えて元の兵士に戻していた。それに薬も足りなくなることはなかった。必要とする薬は魔法袋をとおしてダランガ国から運び込めばよかったからだ。

 優位に立ちだしたムガール帝国の兵士たちは戦術を変えた。
 砦に近づきケンタウロスたちが並んで矢を放つ前に、こちらの兵士の方から先にケンタウロスにむかって矢を雨のように放つことにしたのだ。やがて石塀の前にケンタウロスの遺体がるいるいと並ぶことになった。もちろん、兵士たちが放つための矢がなくなることもなかった。なぜなら、魔法袋をとおして、ダランガ国で作られた矢をいくらでも手に入れることができたからだ。
 これを繰り返せば、ケンタウロスの数が減り続けるだけだ。やがて、ムガール帝国は勝ち、ケンタウロスたちは帝国から逃げ出していく。シルビアたちはそうなると思い始めていた。だが、これで終わらないのではないかという不安も消えてはいなかったのだ。

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