笑っていられるんですか？

裁判員制度に伴う考察その１

　平成16年5月21日に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が制定され、平成21年5月21日に、裁判員制度が実施された。
　その内容は、「日本の司法・裁判制度の一部で制定の刑事裁判において、満１８歳以上の国民が事件ごとに選ばれた裁判員が裁判官とともに審議に参加する制度である」と言っている。
　対象となっている事件は、殺人、強盗致死傷、傷害致死、危険運転致死、現存建造物等放火、身の代金目的誘拐、保護責任者遺棄致死、覚せい剤取締法違反などである。

　これをマスコミ等で知ることになった国民（民衆）は、
「なんで、素人の私がこんなことをしなければならないんだ。法律で決められているから仕方がないから参加しなければならないけど」と思っている。
　他方、裁判所関係の人たちは、国が決めたことだから、選ばれた人たちも知識がないので、事件を整理してあげるし、いろいろ指導して、無事にすませてあげますよと、言ってくれている。裁判官たちなどは、笑顔（？）で親切にやっておられるように見える。

　だが、まったく大きな勘違いをしている。だから、私から、きつい言葉で書き直しますよ。

（１）民主主義では、裁判も民衆（国があれば国民）が行わなければならない。

（２）いま行われている裁判が、妥当な判断をしているとはいえない。民衆からのチエックが必要である。

　この二つを解決するために生まれた制度なのです。
　
　まず民主主義を実施するには直接民主制と間接民主制がある。
　民主主義は直接民主制で行うべきものであり、それができない事情がある場合に間接民主制を採用しているにしかすぎない。
　つまり間接民主制は、暫定的なもので、いつかは直接民衆制にしなければならない。
　そもそも裁判も直接民主制で行わなければならない。物理的に、また専門的知識が国民にないと思われるので、裁判所が生れ、専門家として裁判官が生れていった。だが国民全員が集まらなくてもいい間接民主制を採用できるのであれば、裁判を行う者はランダムに選ばれた国民であってもいいはずだ。その考え方にのって生まれたのが、この制度なのだ。
　　
　これができるようになったのは、国民たちの生活の経済レベルや知識水準があがり、裁判に関わる時間等の余裕が生まれているからだ。
　さらに、未来を見ると、技術レベルがあがりネット接続等により、全国民参加の裁判ができるようになるかもしれない。知識がないことが問題だと裁判関係者は思っているのだろうが、それは各国民がAIを使って、必要な知識を簡単に手に入れることができるようになっている。もっと科学が進むと必要な知識は前もって人（国民）の記憶中に入れておくことができるようになるはずだ。

　それなのに、マスコミ関係者の扱いも、制度としてできたので、やもうえないことができたと、笑いながら話をするだけだ。それはいいことを進めているとは思っていないようにしか見えない。

　ちなみに、AIでは、この制度の趣旨は、　１国民の司法参加、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２裁判の内容に国民の感覚を反映、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３司法へ理解と信頼の向上
と書いてあった。

　１は、私と同じ考えで、３は、この趣旨を深めてもらうことに異義をとなえるものではないが、司法こそが国民の考えを理解し、国民の理性に信頼をおいていただきたい。
　２については、裁判員が審議した死刑判決（地方裁判所）を高等裁判所で死刑判決を廃棄し、別の刑を付与している。
　これは、裁判員制度の趣旨を破壊し、本来的な法の目的から外れていることを指摘して置く。