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5 引出しから
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どのくらいの時間がたったのでしょうか?引き出しがひらいたのです。
でも、引き出しをあけたのは、お兄ちゃんではありません。カナです。カナの大きな二つの目が引き出しの中をのぞきました。
「あった、やっぱりここにいた!」
そう言ったカナは、ニッコリと笑い、手を入れるとミラクルだけをつかみとりました。
「よかったね、ミラクル。やっと出られたね」と、鉄人がミラクルに声をかけました。
「ガンバレよ。ミラクル」とけん玉も声を出し、「ミラクル、元気でね」とネジまわしが言いました。
「ありがとう、みんな。みんなも早くそこを出られるといいね!」
すぐに、カナは、机の引き出しをしめてしまいました。でも、それもしかたがありません。早くお兄ちゃんの部屋からでていかないと、カナが部屋に入っているところを、お兄ちゃんに見られてしまうからです。
お兄ちゃんの部屋から出たカナは、ろうかでキョロキョロとまわりを見まわしながら、ミラクルをカナの部屋につれて行きました。さっそく、自分の机のまん中の引き出しからマジックをとりだすと、ミラクルの右足のうらにカナと名前を書いたのです。
「もうこれで、小さいミラクルは、わたしの物よ!お兄ちゃんにいじめられることはないわね」
そう言って、カナは自分のおもちゃ箱の一番上にそっとミラクルをおきました。
「やあ、いらっしゃい」
「なかよくしてね」
「ミラクル、よろしく」
おもちゃ箱のあっちこっちから、おもちゃたちの声が聞こえてきました。おもちゃ箱には、人形のキティちゃん、クマのぬいぐるみ、ゴムまり、お祭りで買ったうでわ、おはじき、たくさんのおもちゃたちが入っていました。
しばらくの間、カナはおもちゃ箱を見ながら考えていました。
「でも、ほかの人に見つかったら、まずいわね。とくに、お兄ちゃんには!」
そう言って、カナはキティちゃん人形の下にミラクルをかくしたのです。そのおかげで、ミラクルはキティちゃんとチュをしてしまいました。
でも、引き出しをあけたのは、お兄ちゃんではありません。カナです。カナの大きな二つの目が引き出しの中をのぞきました。
「あった、やっぱりここにいた!」
そう言ったカナは、ニッコリと笑い、手を入れるとミラクルだけをつかみとりました。
「よかったね、ミラクル。やっと出られたね」と、鉄人がミラクルに声をかけました。
「ガンバレよ。ミラクル」とけん玉も声を出し、「ミラクル、元気でね」とネジまわしが言いました。
「ありがとう、みんな。みんなも早くそこを出られるといいね!」
すぐに、カナは、机の引き出しをしめてしまいました。でも、それもしかたがありません。早くお兄ちゃんの部屋からでていかないと、カナが部屋に入っているところを、お兄ちゃんに見られてしまうからです。
お兄ちゃんの部屋から出たカナは、ろうかでキョロキョロとまわりを見まわしながら、ミラクルをカナの部屋につれて行きました。さっそく、自分の机のまん中の引き出しからマジックをとりだすと、ミラクルの右足のうらにカナと名前を書いたのです。
「もうこれで、小さいミラクルは、わたしの物よ!お兄ちゃんにいじめられることはないわね」
そう言って、カナは自分のおもちゃ箱の一番上にそっとミラクルをおきました。
「やあ、いらっしゃい」
「なかよくしてね」
「ミラクル、よろしく」
おもちゃ箱のあっちこっちから、おもちゃたちの声が聞こえてきました。おもちゃ箱には、人形のキティちゃん、クマのぬいぐるみ、ゴムまり、お祭りで買ったうでわ、おはじき、たくさんのおもちゃたちが入っていました。
しばらくの間、カナはおもちゃ箱を見ながら考えていました。
「でも、ほかの人に見つかったら、まずいわね。とくに、お兄ちゃんには!」
そう言って、カナはキティちゃん人形の下にミラクルをかくしたのです。そのおかげで、ミラクルはキティちゃんとチュをしてしまいました。
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