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3 グレイト
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ある日のこと。
お兄ちゃんは、机の前のかべにはられていたミラクルのポスターをはがして、新しいポスターにはりかえたのです。そのポスターには、背中に羽を持っているロボットがえがかれ、大きな文字で最強ロボ・グレイトと書かれていました。
「やっぱり、グレイト。かっこいいよなあ」と言って、お兄ちゃんはうでを組んで、ポスターを見あげました。でも、お兄ちゃんは、本箱のたなの方を見ないで、部屋を出ていってしまったのです。こんなことは、今までに一度もなかったことでした。
お兄ちゃんが部屋から出ていった後、ミラクルたちだけになりました。
「グレイト、そんなロボットあるの?」と、小さいミラクルが聞きました。
「知らないね。ミラクルしか、地球をまもることはできないよ!」と、大きなミラクルはおこったように言いました。
「そうだよ。ほかのだれも、地球をまもることなんか、できないよね」
「そうだとも!」
しばらく、二人のミラクルは顔を見あわせていました。でも、その静かさにたえられなくなったように、小さなミラクルが、「でも、グレイトは羽を持っているよ。羽があれば、どこにでも行けるね。空だって、宇宙だって・・・」と言いました。
「何を言っているんだい!ぼくらには、足にロケット・エンジンがついている。羽なんかいらないんだよ。ロケット・エンジンさえあれば、どこだって、飛んでいける。空だって、宇宙だって!」
「そうだよ。ぼくらは、どこへでも飛んでいけるよね。宇宙だって、どこだって・・・」
そう言った小さなミラクルと大きなミラクルは、もう一度、顔を見あわせて、うなずきあいました。
グレイトのポスターがはられた日から三日後。
お兄ちゃんの友だち、正太くんが遊びにきました。正太くんはお兄ちゃんとグレイトの話をしています。どうやら、テレビでやっていたアニメのミラクルは終わってしまったようです。そして、新しくはじまったアニメが、最強ロボ・グレイトでした。どうやら、前のアニメよりも人気が出ているようです。
ミラクルたちはお兄ちゃんと正太くんをじっと見つめているのに、この部屋にミラクルなんか、おいてないかのように、二人は一度もミラクルたちの方に顔をあげません。やがて、二人は部屋から出てグレイトが出ているアニメを見るために階段をおりて行きました。下から、グレイトのテーマ曲が聞こえてきます。
ミラクルたちは、ただ黙って前を見ていました。
お兄ちゃんは、机の前のかべにはられていたミラクルのポスターをはがして、新しいポスターにはりかえたのです。そのポスターには、背中に羽を持っているロボットがえがかれ、大きな文字で最強ロボ・グレイトと書かれていました。
「やっぱり、グレイト。かっこいいよなあ」と言って、お兄ちゃんはうでを組んで、ポスターを見あげました。でも、お兄ちゃんは、本箱のたなの方を見ないで、部屋を出ていってしまったのです。こんなことは、今までに一度もなかったことでした。
お兄ちゃんが部屋から出ていった後、ミラクルたちだけになりました。
「グレイト、そんなロボットあるの?」と、小さいミラクルが聞きました。
「知らないね。ミラクルしか、地球をまもることはできないよ!」と、大きなミラクルはおこったように言いました。
「そうだよ。ほかのだれも、地球をまもることなんか、できないよね」
「そうだとも!」
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「何を言っているんだい!ぼくらには、足にロケット・エンジンがついている。羽なんかいらないんだよ。ロケット・エンジンさえあれば、どこだって、飛んでいける。空だって、宇宙だって!」
「そうだよ。ぼくらは、どこへでも飛んでいけるよね。宇宙だって、どこだって・・・」
そう言った小さなミラクルと大きなミラクルは、もう一度、顔を見あわせて、うなずきあいました。
グレイトのポスターがはられた日から三日後。
お兄ちゃんの友だち、正太くんが遊びにきました。正太くんはお兄ちゃんとグレイトの話をしています。どうやら、テレビでやっていたアニメのミラクルは終わってしまったようです。そして、新しくはじまったアニメが、最強ロボ・グレイトでした。どうやら、前のアニメよりも人気が出ているようです。
ミラクルたちはお兄ちゃんと正太くんをじっと見つめているのに、この部屋にミラクルなんか、おいてないかのように、二人は一度もミラクルたちの方に顔をあげません。やがて、二人は部屋から出てグレイトが出ているアニメを見るために階段をおりて行きました。下から、グレイトのテーマ曲が聞こえてきます。
ミラクルたちは、ただ黙って前を見ていました。
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