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ぼくは、すぐに忠幸の後を追って家をでた。
「忠幸、待ちなさい。どこへ行くつもりなの!」と、声をかける。だが、忠幸は、ぼくの声など聞こえてはいない。
「博くん、待ってよ。ぼくを置いて行かないで」
泣きながら叫ぶ忠幸の大声が聞こえてくる。
すると、ぼくにも忠幸の前を黒い影のような人が走っているのが見えてきたのだ。
街路灯の明かりの下を黒い人を追って走る忠幸は、逃げられた自分の影を追っているようにしか見えない。
ぼくは走った。
運動不足のぼくは、体じゅうから汗がふきだし、心臓はバクついていた。
やがて、黒い人と忠幸は住宅街から田や畑がある郊外にでていった。
月がでていたので、街明かりがなくても周りがよく見える。前に見えるのは、ため池だった。
黒い人は平然とため池の中に入り込み、体を水の中にしずめたのだ。
「待って、いま行くよ」と、忠幸も岸辺からため池の中に入っていく。
これは、まずい。
ぼくはジャンプをして、池に入った忠幸の背に飛びついた。
「忠幸、目を覚ますんだ。これ以上行ったら、水の中だぞ!」
ぼくは泣き続ける忠幸を後ろから抱いて岸辺までひきあげた。
その後、ぼくは忠幸の着ている物を脱がし、しぼって水をとりのぞいてやった。それらを着せ直してから、ぼくは忠幸の手をしっかりとつかんで家へ帰った。
もちろん、両親は心配をして、玄関口にでてきて、ぼくらを待っていた。両親は、ぼくらを風呂に入れ、汚れを落とさせ体を温めさせてくれた。
「忠幸、待ちなさい。どこへ行くつもりなの!」と、声をかける。だが、忠幸は、ぼくの声など聞こえてはいない。
「博くん、待ってよ。ぼくを置いて行かないで」
泣きながら叫ぶ忠幸の大声が聞こえてくる。
すると、ぼくにも忠幸の前を黒い影のような人が走っているのが見えてきたのだ。
街路灯の明かりの下を黒い人を追って走る忠幸は、逃げられた自分の影を追っているようにしか見えない。
ぼくは走った。
運動不足のぼくは、体じゅうから汗がふきだし、心臓はバクついていた。
やがて、黒い人と忠幸は住宅街から田や畑がある郊外にでていった。
月がでていたので、街明かりがなくても周りがよく見える。前に見えるのは、ため池だった。
黒い人は平然とため池の中に入り込み、体を水の中にしずめたのだ。
「待って、いま行くよ」と、忠幸も岸辺からため池の中に入っていく。
これは、まずい。
ぼくはジャンプをして、池に入った忠幸の背に飛びついた。
「忠幸、目を覚ますんだ。これ以上行ったら、水の中だぞ!」
ぼくは泣き続ける忠幸を後ろから抱いて岸辺までひきあげた。
その後、ぼくは忠幸の着ている物を脱がし、しぼって水をとりのぞいてやった。それらを着せ直してから、ぼくは忠幸の手をしっかりとつかんで家へ帰った。
もちろん、両親は心配をして、玄関口にでてきて、ぼくらを待っていた。両親は、ぼくらを風呂に入れ、汚れを落とさせ体を温めさせてくれた。
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