友だち

矢野 零時

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 忠幸ただゆきひろしいえれてきた。そのうえひろしといっしょに夕食ゆうしょくべたいとしたのだ。
 
 夕食ゆうしょくはスパゲッティだった。
 はは忠幸ただゆきわれるままにひろしのぶんもスパゲッティをさらにもって食卓しょくたくテーブルのうえにおいた。
 おなかがすいていたので、ぼくはべることに専念せんねんをしていたし、忠幸ただゆきともだちといっしょにべられるよろこびのなかでスパゲッティをべていた。

 だが、ひろしさらからスパゲッティはることはなく、湯気ゆげつづけていた。
忠幸ただゆきひろしくんのさらてごらん。スパゲッティはっていないだろう」
 ちちわれて、忠幸ただゆきおおきくしてひろしさらつめた。たしかにスパゲッティはってはいない。
「おとうさん、ひろしくん、べるのがおそいだけだよ」
「いや、ちがうな」
「そうだ。ひろしくん、スパゲッティがきらいだったんだ」
「それもちがうな。ひろしくんなんか、いないんだよ」
「いるよ。ひろしくんは」
忠幸ただゆきつらいからとって、まぼろしなかげてはいけないぞ」
「おとうさん、やっとできたぼくのともだちをすつもりなの!」
「いや、そうじゃない。忠幸ただゆきには、ふつうにきてもらわんとな」
ひろしくん、かないで!」と、忠幸ただゆきがった。不意ふいうごいたので、食卓しょくたくテーブルから忠幸ただゆきさらゆかうえれていた。
ひろしくん、って、ぼくもくよ」
 忠幸ただゆきえないひろしって居間いまからびだしていった。





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