友だち

矢野 零時

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 ぼくがいえかえると、すぐに「忠幸ただゆきが、まだかえってきていないの。公園こうえんにいるはずだからむかえにって!」と、ははわれた。
 まえかされた忠幸ただゆき公園こうえんからもどってこないことがあったからだ。
 
 ぼくが公園こうえんくと、たしかにははったとおり忠幸ただゆき公園こうえんにいた。
 だが、いてはいなかった。
 忠幸ただゆきは、こうふんでかおあかくしてジャングルジムの一番上いちばんうえ鉄棒てつぼうこしをかけ、えだをふりまわしていた。
 したにいるおとこたちは忠幸ただゆき面白おもしろくなさそうに見上みあげていた。
 すきがあれば、忠幸ただゆきをジャングルジムから、ひきずりおろそうとおとこたちはかんがえているのだ。
 それなのに何故なぜか、おとこたちは、忠幸ただゆき背後はいごからジャングルジムをのぼろうとはしていなかった?

今日きょうは、いつものぼくとはちがうぞ」と、忠幸ただゆき大声おおごえい、ジャングルジムをのぼってきたおとこあたまうええだをふりおろしていた。あたまたれたあたましたにころげちていった。
「なにをやっているんだ!」と、ぼくはさけんだ。
 忠幸ただゆきたいしてったつもりだったが、したにいたおとこたちは自分じぶんたちがおこられたとおもったのだろう。四方しほうはし公園こうえんからでていった。
「おにいちゃん、かったよ。やっぱり、ともだちをもつとちがうね」
ともだち?」
「おにいちゃん、ひろしくんだよ」とって、忠幸ただゆきよこいた。だが、忠幸ただゆきいたさきにはだれもいない。
だれのことをっているのかな?」と、ぼくはいた。
ひろしくん、ぼくとともだちになるとってくれたんだ」
 忠幸ただゆきは、あかるい笑顔えがおをぼくのほうけてきた。
「ともかく、おりておいでよ。いえかえろう。おかあさんが心配しんぱいをしているぞ」 
 忠幸ただゆきは、うなずくと、ジャングルジムをおりてきた。

「おにいちゃん、ひろしくんだよ」
 忠幸ただゆきは、正式せいしきひろしをぼくに紹介しょうかいしてくれた。だが、ぼくにはだれえない。すことおくにある公園こうえんのすべりだいえただけだ。
 ぼくが忠幸ただゆきだれもいないよとおうとしたとき、忠幸ただゆきこえをあげた。
「もう、かえるのかい? じゃ、明日あしたまたあおうね!」
 ぼくは忠幸ただゆき視線しせんった。忠幸ただゆき公園こうえんそばの道路どうろている。ひろし公園こうえんからでてったのだろう。
 だが、ぼくには、なにもえなかった。

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