刑事殺し・リスト・憎悪

矢野 零時

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6第2回捜査報告会議

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 午後6時の捜査本部に出るために、俺たちは赤口署に行き、会議室に入っていった。すでに捜査員たちは集まっていた。顔ぶれがそろっていると思ったひな壇にいる管理官は立ち上がった。
「それでは、会議を始める。まず細野班から報告をしてくれ」
 管理官の指名を受けて、管理官がすわると細野はたちあがった。
「前に報告を申し上げましたが残念ながら、マンションの監視カメラには、犯人と思える者は映っていなかった。そうなると外から拳銃が撃ちこまれたとしか思えない。だが、三〇五室のベランダ側の窓はしまっていた。外から拳銃を撃つと窓ガラスを壊すことになるが窓は壊れていない。また、マンションの周りを中心に監視カメラに写っていた人たちを当ったのですが、撃たれた時点にそれぞれにアリバイが成り立っていた」
「近隣に住んでいる人たちではないのかもしれんな。車できて、銃ですばやく撃って逃げた可能性がある」
「もちろん、車道の検問所で通った車のナンバーをできるだけ押えて、調べさせておりますが、今の所、犯人と思える者が乗った車は発見できない状況にあります」
「山本班からの報告は」
 管理官に言われて、山本が立ちあがった。
「七月六日午後6時頃。パーンと言う乾いた音を聞いたそうです。拳銃の発射音ですね。聞いた人たちが多いのは、隣にあるマンション・レオの住民たちでした。ですが、犯人を見た者がいない。音がした後、住民たちで動き回ったが、見知らぬ者はいなかったそうです。ただこのマンションは古くエレベーターは付いておらず、どこにも監視カメラはついておりません」
「なに、それはまずいな。じゃあ、どこに犯人はいたんだ?」
 管理官は額に縦ジワを作った。だが、誰も答えない。
「次、証拠分析班はどうなんだ?」
「三〇五号室にいた高野の体を銃弾が通った方向を見ると、真っすぐ飛んできたと思うしかない。つまり、部屋の中に犯人がいたとしか思えないのです。また、体を抜けて壁に当たりつぶれていた銃弾を復元してみたんです。やはり、警察拳銃で使う弾丸と同じでした」
 捜査員たちから、どよめきが起きた。
「まずいな。八斗交番から盗まれた拳銃である可能性が高まったということか」
 そう言った管理官は額に縦ジワを作った。
「拳銃捜査班」
 仕方がない。俺はたちあがり、大友署刑事課強行係の結果を報告した。
「やっぱり、誰が盗んでいったか、判らないと言うことだな」
 管理官は、天井の蛍光ランプをにらみつけた。
「なんとしても、拳銃を見つけ出すんだ。警察の威信がかかっている。警察拳銃が使われた連続事件だということになるとマスコミに隠しておけなくなるぞ」
 この管理官の悪い予想がすぐに当たることになる。
 
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