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4捜査本部
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沢田が拳銃を奪われて、四日目。
俺は空き巣を逮捕し、事件の一つを解決していた。ようは、盗犯係の刑事としては、実績をあげ続けていた。俺が刑事として捜査能力があるのは、父の血を受け継いでいるからかもしれない。高揚した気分で、刑事課に戻った。
すぐに高坂課長に呼ばれた。
「なんですか?」
「高野豊治殺害の捜査本部が、赤口署で立ち上がる。君らに参加するように要請が出ている」
昨日の朝刊に大沢市にあるタイガーマンションに住む高野豊治が拳銃で撃たれた記事が載っていた。
その記事では、銃音を聞いた者の知らせで警察が高野の個室に駆けつけると、高野は銃に撃たれて居間の床に倒れていて、浴室で五歳の女の子が水風呂づけにされていたのだ。
大沢市は人口約二十万の市で、品川区の南に位置する。大沢市には大友署の他にもう一つ警察署がある。それが赤口署だった。当然、事件が赤口署の所轄内で起きたので、そこに捜査本部が設けられた。
「俺たちは殺人担当でありませんが?」
「だが、あんたらは、八斗交番で警察拳銃の盗難現場に立ち会っている」
「じゃ高野が拳銃で撃たれたとニュースに流れていたが、警察拳銃が使われていたんですか?」
「それは、私にはわからん。だが、その可能性があるのかもしれんな」
高坂課長はとぼけていた。
俺は竹内の驚く姿を見ながら一緒に夕食をとり、午後6時に間に合うように、俺は竹内の運転で赤口署の駐車場に車を入れた。。
赤口署の五階。
普段は講堂として使われる大会議室には長テーブルが並べられ、テーブルを前にしたパイプ椅子に捜査に参加する刑事たちがすでにすわっていた。事件の解決には、基本的には本庁の刑事と所轄署の刑事が二人一組でコンビを組むことになる。捜査員の組み合わせ分担はすでに決まっていて、周知がなされていた。特別参加の俺と竹内は後部の開いている席に腰をおろした。前方のひな壇を見ると、お偉い方々がすでに俺たちと向き合うようにすわっていた。
ひな壇は左端にすわる赤口警察署長の本山を除くとすべて本庁のお偉方だ。まん中に捜査一課長の石塚、その左隣りには理事官の大橋、右隣には管理官の山口、さらにその右隣に強行犯一係長の神原がすわっていた。
腕時計を見ると定刻を三分ほど過ぎていた。すると捜査一課長が立ち上がった。
「定刻がきているので、捜査会議を始める。所轄内にあるタイガーマンションで高野豊治という者が殺された。それも検視の結果では、殺害には拳銃が使われている。拳銃を持っていれば、それを再び使って別の事件を起こす可能性がある。それを考えると一刻も早く犯人を逮捕しなければならない。だが、まだ公表をされていないが、八斗交番で拳銃が盗まれている。それを使っての事件である可能性も否定できない。今まで、警察拳銃紛失の捜査は本格的に行われていなかったが、その捜査も合わせて行ってもらいたい」
紛失と言うより、強奪の方が適切だろうと、俺は胸の中でつぶやいていた。だが上層部は認めたくないのだ。捜査一課長がすわると、すぐに管理官が立ち上がった。管理官は、ヘッドとなって捜査の指揮をしていかなければならないからだ。
「殺された高野の三〇五号室には、浴室があり、そこからは高野の子供である兄、正夫と妹、珠美の二人が保護された。妹は裸で水風呂に入れられ続け、水から出られないように水に沈めたバーベルに鎖でつながれていた。兄が傍で声をかけ妹の気力を奮い立たせていたからいいものの、低体温症で死んでいたかもしれない。家庭内暴力で妻である淳子がすでに逃げ出していた。一体どうなっていたんだ?」
管理官にそう言われて、捜査一課の山本が立ち上がった。
「ご指摘のように、町内でも高野が子供をいじめているのを見た人、聞いた人たちがおります。その人たちは児童相談所、市の福祉課、そして、警察の相談室にも電話をしてきております」
言い終わると山本は腰を下ろしていた。
「これまで、警察は何をしていたんだ? われわれがしっかりしていれば、こんな事件は起こらなかったのではないか」と、管理官は集まった捜査員たちを見まわした。だが、誰も答える者はいない。だが管理官も殺人事件から離れてしまうこの問題について新たな追及をしなかった。
「まず高野が殺されたマンションに監視カメラが付いているはずだ。犯人と思われる者が映っていなかったのか、どうなんだ?」
管理官は、事件の本筋の質問に入っていた。
すると、通報を受けすぐに現場にかけつけていた赤口署の細野が立ちあがった。彼は捜査本部の地取り班の班長になっていた。
「初動捜査の段階ですが、マンションの管理人にも話を聞き、エントランスとエレベーターについている監視カメラの映像を見せてもらい、そこに映っている者たちへの事情聴取も行っておりますが、犯人と思える者を見つけることはできておりません」
「もう一度、マンションの監視カメラを確認してくれ。非常階段に出るドアはすべてに鍵をかけられていたのだろう。外部からきても内部にいても監視カメラに映っていないことがありえない? また、マンションに近づく時、犯行後マンションから逃げる時。どちらにしても、その地域にある監視カメラにその姿は映っているはずだ。それらの映像の中に犯人がいる。映像解析を行って、それを見つけ出して欲しい。それに、街を歩いている者で犯人を見かけた者がいるかもしれない。聞き取りを続けてくれ。映像解析と地取りの二つを細野班でやってくれ」
「はい、わかりました」そう言って、細野は腰を下ろしていた。
「次に、高野は子供への虐待を続けてきた。これをこのままにしてはおけないと思った者がいたと言うことだ。彼らの中に高野を殺すしかないと思った者がいる可能性がある。いや、その者が殺したかもしれんのだ。山本班は、そういう者たちを探す鑑取りを行ってくれ」
本庁の山本は鑑取り班の班長を命じられていた。管理官の話に山本班の捜査員たちは大きく頷いていた。
「次に証拠分析班を担っている鑑識課から報告をもらおう」
管理官が言うと、本庁の鑑識課の三浦が立ち上がった。三浦は証拠分析班の班長だった。
「高野は真正面から胸を狙って撃たれております。死亡時刻は昨日の午後六時。鉄砲の弾は右肺を通って、背後の壁に銃弾がささっており、その銃弾を鑑定いたしますと、つぶれてはおりますが、警察拳銃で使用している銃弾の可能性があります。玄関口のドアを壊した形跡はありません。三〇五室の位置は三階でありますが、ベランダの窓から入った形跡もありません。ということは、この時は部屋に入るためのドアが開けっぱなしになっていたか、犯人はドアを開ける鍵を持っていたという可能性もあります。また、三〇五号室のすべての部屋から取れるだけの指紋採取を現在行っております。今のところ、ご報告できることは以上です」
三浦が腰を落した。
「いや、その階のすべての個室から指紋をとるようにしてくれ」と、管理官はいい、三浦はすわったままで「わかりました」と言っていた。
すると、ひな壇の右端にすわっていた強行犯一係長が立ち上がった。
「課長からお話があったように八斗交番で警察拳銃を奪われた事件が起きております。今回使われた拳銃は、奪われた拳銃である可能性がありますので、八斗交番の警察拳銃紛失事件の捜査も合わせて行います。大友署の片倉。現状の捜査結果を報告してください」
一番驚いたのは俺だった。一言でいえば、聞いていないようだ! だが、まずは立ちあがるしかない。そして思いついたことを話すしかない。
「銃をうばわれた者は八斗交番勤務の沢田真治巡査であります。奪われた銃はニューナンプM60。銃を奪った者は、時計を拾ったといって、交番に落とし物を届けにきた七十歳代を思わせる男。沢田が親切に紅茶を相手にも出して飲ましてやった。男はどうやったのか分かりませんが。沢田のすきを見て紅茶に睡眠薬を入れて沢田に飲ませて眠らせた。私どもが行って沢田を起こした時には、七十代の男はいなくなり、沢田の腰から拳銃がなくなっていた。したがいまして拳銃を奪ったのは、その男だと思われます。犯人は沢田に気づかれずに睡眠薬を飲ませることができたことから手品などが出来る者であり、睡眠薬を簡単に手に入れることが出来る者。そう言う者を捜していかなければならないと思っております」
「落とし物を届けにきた年寄りがいなくなっていたが、沢田が拳銃をとられる時には、沢田は眠っていた。じゃ、お年寄りが拳銃を取って行ったとはいえないかもしれないぞ?」と管理官がするどい疑問を投げかけてきた。
「私どもは車で品田町への道路を交番に向かって走らせておりました。交番に付くまでの間、五分間でしたが、その通りに見えていた者は一人だけ。沢田が言っていた老人と同じ風体をしておりました」
俺が言い終わると捜査員たちはどよめいていた。それを打ち消すように、管理官は、「犯人が警察官、いやOBである可能性もある。それは調べているのか?」と、聞いてきた。
「ご指摘の点につきましては、大友署の強行犯係は、すぐに沢田にOBの写真などを見せておりました。しかし、その中には該当する者はいなかったようです。さらに、男が落とし物を届けた際に作成した調書なども調べておりますので、詳細は強行犯係から聞いていただきたいと思います」
やはり、公の場だ。俺は丁寧な言葉を選んで話をしていた。
「いや、大友署の強行犯係では、捜査に参加した君らに一任をすると言っている」
おいおい、それはねえだろうと、俺は胸の中でつぶやいていた。だが、俺は何も言わずに腰をおろした。
俺は空き巣を逮捕し、事件の一つを解決していた。ようは、盗犯係の刑事としては、実績をあげ続けていた。俺が刑事として捜査能力があるのは、父の血を受け継いでいるからかもしれない。高揚した気分で、刑事課に戻った。
すぐに高坂課長に呼ばれた。
「なんですか?」
「高野豊治殺害の捜査本部が、赤口署で立ち上がる。君らに参加するように要請が出ている」
昨日の朝刊に大沢市にあるタイガーマンションに住む高野豊治が拳銃で撃たれた記事が載っていた。
その記事では、銃音を聞いた者の知らせで警察が高野の個室に駆けつけると、高野は銃に撃たれて居間の床に倒れていて、浴室で五歳の女の子が水風呂づけにされていたのだ。
大沢市は人口約二十万の市で、品川区の南に位置する。大沢市には大友署の他にもう一つ警察署がある。それが赤口署だった。当然、事件が赤口署の所轄内で起きたので、そこに捜査本部が設けられた。
「俺たちは殺人担当でありませんが?」
「だが、あんたらは、八斗交番で警察拳銃の盗難現場に立ち会っている」
「じゃ高野が拳銃で撃たれたとニュースに流れていたが、警察拳銃が使われていたんですか?」
「それは、私にはわからん。だが、その可能性があるのかもしれんな」
高坂課長はとぼけていた。
俺は竹内の驚く姿を見ながら一緒に夕食をとり、午後6時に間に合うように、俺は竹内の運転で赤口署の駐車場に車を入れた。。
赤口署の五階。
普段は講堂として使われる大会議室には長テーブルが並べられ、テーブルを前にしたパイプ椅子に捜査に参加する刑事たちがすでにすわっていた。事件の解決には、基本的には本庁の刑事と所轄署の刑事が二人一組でコンビを組むことになる。捜査員の組み合わせ分担はすでに決まっていて、周知がなされていた。特別参加の俺と竹内は後部の開いている席に腰をおろした。前方のひな壇を見ると、お偉い方々がすでに俺たちと向き合うようにすわっていた。
ひな壇は左端にすわる赤口警察署長の本山を除くとすべて本庁のお偉方だ。まん中に捜査一課長の石塚、その左隣りには理事官の大橋、右隣には管理官の山口、さらにその右隣に強行犯一係長の神原がすわっていた。
腕時計を見ると定刻を三分ほど過ぎていた。すると捜査一課長が立ち上がった。
「定刻がきているので、捜査会議を始める。所轄内にあるタイガーマンションで高野豊治という者が殺された。それも検視の結果では、殺害には拳銃が使われている。拳銃を持っていれば、それを再び使って別の事件を起こす可能性がある。それを考えると一刻も早く犯人を逮捕しなければならない。だが、まだ公表をされていないが、八斗交番で拳銃が盗まれている。それを使っての事件である可能性も否定できない。今まで、警察拳銃紛失の捜査は本格的に行われていなかったが、その捜査も合わせて行ってもらいたい」
紛失と言うより、強奪の方が適切だろうと、俺は胸の中でつぶやいていた。だが上層部は認めたくないのだ。捜査一課長がすわると、すぐに管理官が立ち上がった。管理官は、ヘッドとなって捜査の指揮をしていかなければならないからだ。
「殺された高野の三〇五号室には、浴室があり、そこからは高野の子供である兄、正夫と妹、珠美の二人が保護された。妹は裸で水風呂に入れられ続け、水から出られないように水に沈めたバーベルに鎖でつながれていた。兄が傍で声をかけ妹の気力を奮い立たせていたからいいものの、低体温症で死んでいたかもしれない。家庭内暴力で妻である淳子がすでに逃げ出していた。一体どうなっていたんだ?」
管理官にそう言われて、捜査一課の山本が立ち上がった。
「ご指摘のように、町内でも高野が子供をいじめているのを見た人、聞いた人たちがおります。その人たちは児童相談所、市の福祉課、そして、警察の相談室にも電話をしてきております」
言い終わると山本は腰を下ろしていた。
「これまで、警察は何をしていたんだ? われわれがしっかりしていれば、こんな事件は起こらなかったのではないか」と、管理官は集まった捜査員たちを見まわした。だが、誰も答える者はいない。だが管理官も殺人事件から離れてしまうこの問題について新たな追及をしなかった。
「まず高野が殺されたマンションに監視カメラが付いているはずだ。犯人と思われる者が映っていなかったのか、どうなんだ?」
管理官は、事件の本筋の質問に入っていた。
すると、通報を受けすぐに現場にかけつけていた赤口署の細野が立ちあがった。彼は捜査本部の地取り班の班長になっていた。
「初動捜査の段階ですが、マンションの管理人にも話を聞き、エントランスとエレベーターについている監視カメラの映像を見せてもらい、そこに映っている者たちへの事情聴取も行っておりますが、犯人と思える者を見つけることはできておりません」
「もう一度、マンションの監視カメラを確認してくれ。非常階段に出るドアはすべてに鍵をかけられていたのだろう。外部からきても内部にいても監視カメラに映っていないことがありえない? また、マンションに近づく時、犯行後マンションから逃げる時。どちらにしても、その地域にある監視カメラにその姿は映っているはずだ。それらの映像の中に犯人がいる。映像解析を行って、それを見つけ出して欲しい。それに、街を歩いている者で犯人を見かけた者がいるかもしれない。聞き取りを続けてくれ。映像解析と地取りの二つを細野班でやってくれ」
「はい、わかりました」そう言って、細野は腰を下ろしていた。
「次に、高野は子供への虐待を続けてきた。これをこのままにしてはおけないと思った者がいたと言うことだ。彼らの中に高野を殺すしかないと思った者がいる可能性がある。いや、その者が殺したかもしれんのだ。山本班は、そういう者たちを探す鑑取りを行ってくれ」
本庁の山本は鑑取り班の班長を命じられていた。管理官の話に山本班の捜査員たちは大きく頷いていた。
「次に証拠分析班を担っている鑑識課から報告をもらおう」
管理官が言うと、本庁の鑑識課の三浦が立ち上がった。三浦は証拠分析班の班長だった。
「高野は真正面から胸を狙って撃たれております。死亡時刻は昨日の午後六時。鉄砲の弾は右肺を通って、背後の壁に銃弾がささっており、その銃弾を鑑定いたしますと、つぶれてはおりますが、警察拳銃で使用している銃弾の可能性があります。玄関口のドアを壊した形跡はありません。三〇五室の位置は三階でありますが、ベランダの窓から入った形跡もありません。ということは、この時は部屋に入るためのドアが開けっぱなしになっていたか、犯人はドアを開ける鍵を持っていたという可能性もあります。また、三〇五号室のすべての部屋から取れるだけの指紋採取を現在行っております。今のところ、ご報告できることは以上です」
三浦が腰を落した。
「いや、その階のすべての個室から指紋をとるようにしてくれ」と、管理官はいい、三浦はすわったままで「わかりました」と言っていた。
すると、ひな壇の右端にすわっていた強行犯一係長が立ち上がった。
「課長からお話があったように八斗交番で警察拳銃を奪われた事件が起きております。今回使われた拳銃は、奪われた拳銃である可能性がありますので、八斗交番の警察拳銃紛失事件の捜査も合わせて行います。大友署の片倉。現状の捜査結果を報告してください」
一番驚いたのは俺だった。一言でいえば、聞いていないようだ! だが、まずは立ちあがるしかない。そして思いついたことを話すしかない。
「銃をうばわれた者は八斗交番勤務の沢田真治巡査であります。奪われた銃はニューナンプM60。銃を奪った者は、時計を拾ったといって、交番に落とし物を届けにきた七十歳代を思わせる男。沢田が親切に紅茶を相手にも出して飲ましてやった。男はどうやったのか分かりませんが。沢田のすきを見て紅茶に睡眠薬を入れて沢田に飲ませて眠らせた。私どもが行って沢田を起こした時には、七十代の男はいなくなり、沢田の腰から拳銃がなくなっていた。したがいまして拳銃を奪ったのは、その男だと思われます。犯人は沢田に気づかれずに睡眠薬を飲ませることができたことから手品などが出来る者であり、睡眠薬を簡単に手に入れることが出来る者。そう言う者を捜していかなければならないと思っております」
「落とし物を届けにきた年寄りがいなくなっていたが、沢田が拳銃をとられる時には、沢田は眠っていた。じゃ、お年寄りが拳銃を取って行ったとはいえないかもしれないぞ?」と管理官がするどい疑問を投げかけてきた。
「私どもは車で品田町への道路を交番に向かって走らせておりました。交番に付くまでの間、五分間でしたが、その通りに見えていた者は一人だけ。沢田が言っていた老人と同じ風体をしておりました」
俺が言い終わると捜査員たちはどよめいていた。それを打ち消すように、管理官は、「犯人が警察官、いやOBである可能性もある。それは調べているのか?」と、聞いてきた。
「ご指摘の点につきましては、大友署の強行犯係は、すぐに沢田にOBの写真などを見せておりました。しかし、その中には該当する者はいなかったようです。さらに、男が落とし物を届けた際に作成した調書なども調べておりますので、詳細は強行犯係から聞いていただきたいと思います」
やはり、公の場だ。俺は丁寧な言葉を選んで話をしていた。
「いや、大友署の強行犯係では、捜査に参加した君らに一任をすると言っている」
おいおい、それはねえだろうと、俺は胸の中でつぶやいていた。だが、俺は何も言わずに腰をおろした。
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