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選挙は砂の器
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お母さんがコンビニに出かけて行った後、すぐにぼくは南公園にいきました。
哲学者は詩人と向かい合って、サンドイッチを食べていました。コヒーも紙カップで飲んでいましたので、どうやらコンビニに行って買ってきたのでしょう。
「きっときてくれると思っていたので、君のぶんもありますよ。はい」と言って、詩人はぼくにシーチキンの入ったサンドイッチと缶ジュースを手渡してくれました。
「民主主義がどんなものなのか、わかりましたか?」と哲学者。
「人はいろんなことをしています。お金を稼ぐ経済活動、絵をかいたり、詩を作たりする文化活動、他にもいろんなことやっています。政治はその一つでしかないのですが、それを国民で決めることができる制度が民主主義です」
ぼくがとうとうと話をすると哲学者は笑っていました。
「ずいぶん勉強をされたようですね。理路整然と話をされる。では、民衆が政治を行う民主主義はちゃんと行われているのでしょうか?」
「たしかに、すべての国民が集まって政治を行うことができません。なぜなら国民みんなで集まって決めるには、人数が多すぎるからです。そのために自分と同じ考えをもった代表者に決めてもらうしかない。だから選挙により国民が代表者を選ぶことになっています」
「本当に、よく勉強をされていますね。国によって、いろいろ違いはありますが、まず選挙を行うことだけは、どこの民主主義国家もあるべき原点でしょう。それならば、選挙というものを考えてみましょう?」
「考えることなんかあるのですか?」
「ありますよ。それもたくさんあります。代表者を選ぶ方法についてどうですか?」
「それは、違う考えの人たちが何人かいて、その人たちが立候補して、その中から国民つまりぼくたちが選ぶ方法ですね」
「だが、違う考えの人が立候補してこなければ、ある特定の人が必ず選ばれますよ。それでは、実質的に独裁者を選んだのと同じになるのではありませんか?」
「違う意見の人がいない場合はあるかもしれません。でも、それはしょうがないと思いますけどね?」
「そうですか~。違う考えの人に立候補をやめさせた場合はどうですか。悪人ならば、その人を脅かしなり、暴力を使ったり、殺してしまったりするかもしれない」
「そんなことが!」
ぼくは言葉がでなくなっていました。
「選挙制度その物をいじることも、やっている国がある。一度代表者になった者が生きている間は、選挙を行わないように改正をする。さらに、選挙そのものに不正を行う。投票用紙を書き換えたり、差し替えたりする」
ぼくはつらくなって、詩人の方に顔を向けました。詩人は肩をすぼめていました。
「これ以上ないと思われるのでしょうが、まだあるのでお話しをしますよ。選挙の日に、自分に投票しない者を選挙に行けないようにする。また、行きたくないようにする。そのためには脅しをかけり、殺したりする」
「日本ではそんなことは行われていない。素晴らしい国ですよ」
「少年、あなたは、やはり、日本の国に花を見ていられるようだ」
そこで、哲学者は大きなため息をつきました。でも、すぐに話を続けます。
「この前の衆議院選挙。国民の53パーセント程度しか投票していない。そして、政権をとった人たちの投票数はその6割だったから32パーセントしか政権をとった党に投票されていない。それは7割の人たちが政権をとった党を指示していないことですよ。だが、そんな人たちが国民から信任を得たと言って、好きなように政治をしている。不思議でしょう。それなのに、若い人ほど投票に行っていない。政権をとった党が絶対におかしな政治をしないと思っているのでしょうか?」
今度は、ぼくがため息をついていました。そんなぼくの顔を見た哲学者は、
「これで、選挙制度は、いつでも壊れてしまいそうな砂の器だと分かってくれたと思いますよ」と言って空を見上げていました。
詩人は、ぼくに水飴をなめているブタの絵がかかれた紙をさしだしました。
「これは、きみにあげる。もちろん、無料だよ」
哲学者は詩人と向かい合って、サンドイッチを食べていました。コヒーも紙カップで飲んでいましたので、どうやらコンビニに行って買ってきたのでしょう。
「きっときてくれると思っていたので、君のぶんもありますよ。はい」と言って、詩人はぼくにシーチキンの入ったサンドイッチと缶ジュースを手渡してくれました。
「民主主義がどんなものなのか、わかりましたか?」と哲学者。
「人はいろんなことをしています。お金を稼ぐ経済活動、絵をかいたり、詩を作たりする文化活動、他にもいろんなことやっています。政治はその一つでしかないのですが、それを国民で決めることができる制度が民主主義です」
ぼくがとうとうと話をすると哲学者は笑っていました。
「ずいぶん勉強をされたようですね。理路整然と話をされる。では、民衆が政治を行う民主主義はちゃんと行われているのでしょうか?」
「たしかに、すべての国民が集まって政治を行うことができません。なぜなら国民みんなで集まって決めるには、人数が多すぎるからです。そのために自分と同じ考えをもった代表者に決めてもらうしかない。だから選挙により国民が代表者を選ぶことになっています」
「本当に、よく勉強をされていますね。国によって、いろいろ違いはありますが、まず選挙を行うことだけは、どこの民主主義国家もあるべき原点でしょう。それならば、選挙というものを考えてみましょう?」
「考えることなんかあるのですか?」
「ありますよ。それもたくさんあります。代表者を選ぶ方法についてどうですか?」
「それは、違う考えの人たちが何人かいて、その人たちが立候補して、その中から国民つまりぼくたちが選ぶ方法ですね」
「だが、違う考えの人が立候補してこなければ、ある特定の人が必ず選ばれますよ。それでは、実質的に独裁者を選んだのと同じになるのではありませんか?」
「違う意見の人がいない場合はあるかもしれません。でも、それはしょうがないと思いますけどね?」
「そうですか~。違う考えの人に立候補をやめさせた場合はどうですか。悪人ならば、その人を脅かしなり、暴力を使ったり、殺してしまったりするかもしれない」
「そんなことが!」
ぼくは言葉がでなくなっていました。
「選挙制度その物をいじることも、やっている国がある。一度代表者になった者が生きている間は、選挙を行わないように改正をする。さらに、選挙そのものに不正を行う。投票用紙を書き換えたり、差し替えたりする」
ぼくはつらくなって、詩人の方に顔を向けました。詩人は肩をすぼめていました。
「これ以上ないと思われるのでしょうが、まだあるのでお話しをしますよ。選挙の日に、自分に投票しない者を選挙に行けないようにする。また、行きたくないようにする。そのためには脅しをかけり、殺したりする」
「日本ではそんなことは行われていない。素晴らしい国ですよ」
「少年、あなたは、やはり、日本の国に花を見ていられるようだ」
そこで、哲学者は大きなため息をつきました。でも、すぐに話を続けます。
「この前の衆議院選挙。国民の53パーセント程度しか投票していない。そして、政権をとった人たちの投票数はその6割だったから32パーセントしか政権をとった党に投票されていない。それは7割の人たちが政権をとった党を指示していないことですよ。だが、そんな人たちが国民から信任を得たと言って、好きなように政治をしている。不思議でしょう。それなのに、若い人ほど投票に行っていない。政権をとった党が絶対におかしな政治をしないと思っているのでしょうか?」
今度は、ぼくがため息をついていました。そんなぼくの顔を見た哲学者は、
「これで、選挙制度は、いつでも壊れてしまいそうな砂の器だと分かってくれたと思いますよ」と言って空を見上げていました。
詩人は、ぼくに水飴をなめているブタの絵がかかれた紙をさしだしました。
「これは、きみにあげる。もちろん、無料だよ」
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