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星がふってきた
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ぼくは学校でいじめられたので、学校に行くのをやめました。つまり、引きこもりを始めたのです。
お母さんも、始めは学校に行きなさいとぼくに言っていましたが、今ではもうあきらめたようで、何も言わなくなりました。
お父さんは死んでいないので、お父さんの代わりに、お母さんが働いてくれています。
職場は、昼間はコンビニ、夜は居酒屋でした。
夕方がくると、お母さんはぼくにカレーウドンを食べさせ居酒屋に出かけて行きました。ぼくは、居間にいて、テレビを見ていました。そんな時に、夜なのに外が明るくなったのです。
ぼくはすぐにガラス戸に近づき、外をながめました。空を長い尾をつけた星が流れていました。
流れ星だな。
星が消える前に、三度願いをとなえることができれば、願いごとがかなう。そんな話を聞いていたので、ぼくは願いごとを三度となえようと口を動かしました。でも、願いごとをとなえ終る前に、星が飛んできて、ぼくの庭に落ちてしまったのです。
庭で光る星は五角形で、五つの先はとがっていました。
とがった先の一つがおれて曲がり、そこから小さな人が出てきたのです。髪は金髪で、ぼくよりも歳が若い子供のように見えました。
小さな人は手にスコップのような道具を持っていて、庭をほり出したのです。
ぼくはガラス戸を開けて庭に出て行きました。すると、小さな人は、びっくりをしたように顔をぼくのほうに向けたのです。
「きみは、何をやっているのかな?」と、ぼくは聞きました。
「地球を征服しにきたんだ。じゃまをするきだな?」
「じゃま? そこは、ぼくの家の庭だよ。勝手に、穴をほられてもね~」
「地球をまもりたいなら。ぼくと勝負しろ」と言って、小さな人は立ちあがっていました。
「そんな~。ぼくは地球を守る立場じゃないしな。きみと勝負できることも持っていないと思うな?」
「よし、それなら、勝負できる得意なことを、お前に選ばせてやるよ」
「勝負することを、選ばせてくれるの?」
そこで、ぼくは腕をくんで、しばらく考えていました。
「じゃあ、オセロはどうだろう?」
「オセロ、教えてくれれば、それで戦うよ」
「そうなの。じゃあオセロゲームをとってくるよ。待っててね」
「待っているよ」
ぼくは家の中に入り、階段をあがって自分の部屋からオセロゲームのボードを手にすると、小さな人のそばに戻りました。
すぐに、ぼくは小さな人にオセロのやりかたを説明しました。
「かんたんだね」
「そうだろう。すぐできるよ」
「じゃ、ぼくからやるね」と言って、ぼくは黒の石を選んで始めました。
十分後、小さな人は両手で頭をかかえていました。ぼくが勝ってしまったからです。
「ぼくたちの星はこれで終わりだ」
「何を言っているの。ぼくは何もしないよ。そのかわり、地球を攻撃なんかしないでね」
「ほんとうなの? でも、ぼくは戻ることはできなくなった」
「ともかく、まず庭で光っている星をかたづけて欲しいんだ。行くところがなかったら、ここにいてもいいんだよ。でも、家の中に入れることはできないな。お母さんを驚かせてしまうからね」
すると、小さな人は悲しそうな顔をしていました。
「じゃ、どうすればいいのだろう?」
「この家の縁の下が空いているから、そこに住んでくれてもいいよ」と、ぼくが言うと、小さな子は嬉しそうに笑っていました。
やがて、五角形の星の明かりを消すと、星をひきずって、小さな人は縁の下に入って行きました。
お母さんも、始めは学校に行きなさいとぼくに言っていましたが、今ではもうあきらめたようで、何も言わなくなりました。
お父さんは死んでいないので、お父さんの代わりに、お母さんが働いてくれています。
職場は、昼間はコンビニ、夜は居酒屋でした。
夕方がくると、お母さんはぼくにカレーウドンを食べさせ居酒屋に出かけて行きました。ぼくは、居間にいて、テレビを見ていました。そんな時に、夜なのに外が明るくなったのです。
ぼくはすぐにガラス戸に近づき、外をながめました。空を長い尾をつけた星が流れていました。
流れ星だな。
星が消える前に、三度願いをとなえることができれば、願いごとがかなう。そんな話を聞いていたので、ぼくは願いごとを三度となえようと口を動かしました。でも、願いごとをとなえ終る前に、星が飛んできて、ぼくの庭に落ちてしまったのです。
庭で光る星は五角形で、五つの先はとがっていました。
とがった先の一つがおれて曲がり、そこから小さな人が出てきたのです。髪は金髪で、ぼくよりも歳が若い子供のように見えました。
小さな人は手にスコップのような道具を持っていて、庭をほり出したのです。
ぼくはガラス戸を開けて庭に出て行きました。すると、小さな人は、びっくりをしたように顔をぼくのほうに向けたのです。
「きみは、何をやっているのかな?」と、ぼくは聞きました。
「地球を征服しにきたんだ。じゃまをするきだな?」
「じゃま? そこは、ぼくの家の庭だよ。勝手に、穴をほられてもね~」
「地球をまもりたいなら。ぼくと勝負しろ」と言って、小さな人は立ちあがっていました。
「そんな~。ぼくは地球を守る立場じゃないしな。きみと勝負できることも持っていないと思うな?」
「よし、それなら、勝負できる得意なことを、お前に選ばせてやるよ」
「勝負することを、選ばせてくれるの?」
そこで、ぼくは腕をくんで、しばらく考えていました。
「じゃあ、オセロはどうだろう?」
「オセロ、教えてくれれば、それで戦うよ」
「そうなの。じゃあオセロゲームをとってくるよ。待っててね」
「待っているよ」
ぼくは家の中に入り、階段をあがって自分の部屋からオセロゲームのボードを手にすると、小さな人のそばに戻りました。
すぐに、ぼくは小さな人にオセロのやりかたを説明しました。
「かんたんだね」
「そうだろう。すぐできるよ」
「じゃ、ぼくからやるね」と言って、ぼくは黒の石を選んで始めました。
十分後、小さな人は両手で頭をかかえていました。ぼくが勝ってしまったからです。
「ぼくたちの星はこれで終わりだ」
「何を言っているの。ぼくは何もしないよ。そのかわり、地球を攻撃なんかしないでね」
「ほんとうなの? でも、ぼくは戻ることはできなくなった」
「ともかく、まず庭で光っている星をかたづけて欲しいんだ。行くところがなかったら、ここにいてもいいんだよ。でも、家の中に入れることはできないな。お母さんを驚かせてしまうからね」
すると、小さな人は悲しそうな顔をしていました。
「じゃ、どうすればいいのだろう?」
「この家の縁の下が空いているから、そこに住んでくれてもいいよ」と、ぼくが言うと、小さな子は嬉しそうに笑っていました。
やがて、五角形の星の明かりを消すと、星をひきずって、小さな人は縁の下に入って行きました。
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