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17帰還
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その日の朝。
迎賓館の自分の部屋にいたアーサーとジョージは出かけるための用意を始めました。
持ってきた物の多くは、セリーヌ姫たちのための衣裳ばかりでしたので、荷箱の中は空になっています。空箱を荷車にのせて、ロバにひかせる準備をしていると、そこにオローラ姫がやってきたのでした。
オローラ姫もこざっぱりした町娘、リンダの姿に変えておりました。
アーサーは自分たちだけで一足先にデル王国に戻ることになった話を警備隊長や騎士団長に伝えました。騎士団長には、城郭都市から出る時に門を開けてくれるようにお願いをしたのでした。。
空になった荷台にリンダをのせ、アーサーとジョージは荷車の前にすわり、ロバたちにひかせました。
まず行った所は、街にある市場でした。
城郭都市から出る前に市場により、ベーコンとハム、それに固焼きパンをたくさん買って食料の確保をはかっておく必要があったからです。リンダはリンゴやナシなどの果物を買っていました。
買い物が終ったので、小公園に台座のある場所をみつけ、そこで三人で朝の食事を始めたのでした。少し早めに食べ終わったアーサーが、ふと台座を見ると、台座に剣がささっていたのです。
そして、台座には、
人でない者、神に加護をされている者、さらに王になるべき天命を与えられた者ならば、必ず剣をぬくことができよう。
と、書かれていたのです。
「じゃ、私に抜けるわけがないな」と言ったアーサーは剣に手をかけて上にひきあげてみました。すると、簡単に剣はぬけてしまったのです。
「あれ、ぬけちゃった!」
「そうでしょう。アーサーは、今だに、耳がロバっぽい。つまり、人でないですからね」
「なるほど」と、アーサーは納得をしていました。
すると、まずいことが起きたのです。剣をもつアーサーを見ていた人々がひざまづき、畏敬のまなざしを向け出したのです。 アーサーはあわてて、台座の上に剣を投げ捨てました。
「真の王さま、どこに行かれようとされる!」
「私たちをお導きください」
人々がアーサーのもとに集まり出そうとしていました。
すぐに三人は荷車に飛び乗り、アーサーはロバの手綱をひいて走らせ出しました。しかし、ロバはのんびりとした足取りです。このままでは、人々にかこまれてしまいます。
そんな時に、馬のかけてくる音が聞こえ出しました。
アーサーが顔を向けると、そこには馬にのった騎士団の騎士たちがいたのです。
「門までお送りをいたしますぞ」と言って、騎士団長は先導をしてくれました。団長は城郭都市の門につくと、手をあげて、開門を命じました。
門の鉄柵はきしむ音と共に、左右に大きく開きました。広い門の間を、ロバにひかれた荷車は、あまりにものんびりと走っていきます。
追いついてきた人々は叫んでいました。
「真の王よ。どこに行かれるのじゃ」
「いつか、貴殿のもとに、かけさんじますぞ」
荷車を追って城の外へ出ようとする者たちを騎士団の騎士たちが押さえてくれています。
やがて、門が閉まり、城の中にいる者たちの声が聞こえなくなりました。
アーサーが声をあげてロバをせかすのですが、相変わらずのんびりと走っています。
仕方がないと思ったのか、アーサーは苦笑いを浮かべていました。
「早く、デル王国に戻り、アーサーが入れた紅茶を飲みたいものですね」
「はい、ジョージさま。私もアーサーさまの入れた紅茶を飲みとうございます」と、オローラ姫は楽しげに笑い声をたてていました。
終
(後記)
最後まで、読んでくださった方、本当にありがとうございました。
迎賓館の自分の部屋にいたアーサーとジョージは出かけるための用意を始めました。
持ってきた物の多くは、セリーヌ姫たちのための衣裳ばかりでしたので、荷箱の中は空になっています。空箱を荷車にのせて、ロバにひかせる準備をしていると、そこにオローラ姫がやってきたのでした。
オローラ姫もこざっぱりした町娘、リンダの姿に変えておりました。
アーサーは自分たちだけで一足先にデル王国に戻ることになった話を警備隊長や騎士団長に伝えました。騎士団長には、城郭都市から出る時に門を開けてくれるようにお願いをしたのでした。。
空になった荷台にリンダをのせ、アーサーとジョージは荷車の前にすわり、ロバたちにひかせました。
まず行った所は、街にある市場でした。
城郭都市から出る前に市場により、ベーコンとハム、それに固焼きパンをたくさん買って食料の確保をはかっておく必要があったからです。リンダはリンゴやナシなどの果物を買っていました。
買い物が終ったので、小公園に台座のある場所をみつけ、そこで三人で朝の食事を始めたのでした。少し早めに食べ終わったアーサーが、ふと台座を見ると、台座に剣がささっていたのです。
そして、台座には、
人でない者、神に加護をされている者、さらに王になるべき天命を与えられた者ならば、必ず剣をぬくことができよう。
と、書かれていたのです。
「じゃ、私に抜けるわけがないな」と言ったアーサーは剣に手をかけて上にひきあげてみました。すると、簡単に剣はぬけてしまったのです。
「あれ、ぬけちゃった!」
「そうでしょう。アーサーは、今だに、耳がロバっぽい。つまり、人でないですからね」
「なるほど」と、アーサーは納得をしていました。
すると、まずいことが起きたのです。剣をもつアーサーを見ていた人々がひざまづき、畏敬のまなざしを向け出したのです。 アーサーはあわてて、台座の上に剣を投げ捨てました。
「真の王さま、どこに行かれようとされる!」
「私たちをお導きください」
人々がアーサーのもとに集まり出そうとしていました。
すぐに三人は荷車に飛び乗り、アーサーはロバの手綱をひいて走らせ出しました。しかし、ロバはのんびりとした足取りです。このままでは、人々にかこまれてしまいます。
そんな時に、馬のかけてくる音が聞こえ出しました。
アーサーが顔を向けると、そこには馬にのった騎士団の騎士たちがいたのです。
「門までお送りをいたしますぞ」と言って、騎士団長は先導をしてくれました。団長は城郭都市の門につくと、手をあげて、開門を命じました。
門の鉄柵はきしむ音と共に、左右に大きく開きました。広い門の間を、ロバにひかれた荷車は、あまりにものんびりと走っていきます。
追いついてきた人々は叫んでいました。
「真の王よ。どこに行かれるのじゃ」
「いつか、貴殿のもとに、かけさんじますぞ」
荷車を追って城の外へ出ようとする者たちを騎士団の騎士たちが押さえてくれています。
やがて、門が閉まり、城の中にいる者たちの声が聞こえなくなりました。
アーサーが声をあげてロバをせかすのですが、相変わらずのんびりと走っています。
仕方がないと思ったのか、アーサーは苦笑いを浮かべていました。
「早く、デル王国に戻り、アーサーが入れた紅茶を飲みたいものですね」
「はい、ジョージさま。私もアーサーさまの入れた紅茶を飲みとうございます」と、オローラ姫は楽しげに笑い声をたてていました。
終
(後記)
最後まで、読んでくださった方、本当にありがとうございました。
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