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16結婚式
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皇帝とセシール姫の結婚式は、城の中にある宮殿で行われました。
ジョージが作りコンテストで優勝した花嫁衣裳は優雅でセシール姫が妖精になったようでした。その傍に立つ皇帝は黄金の刺繍をした紫のマントをはおり、大きな鷲を思わせていました。その服を用意したのも、ジョージでした。
式が終わったことを国民に披露するために二人はテラスを前に並んで立ちました。テラスの下に集まった国民たちは拍手をし、歓喜の声をあげています。そんな国民に向かって皇帝とセシール姫は手を振ってこたえていました。
その時、オローラ姫とサマンサたちはテラスの真下に立っていたのです。もちろん、不穏な動きをする者がいたら、すぐに阻止するためです。
セシール姫は国民に手をふった後、左手に抱えていたブーケを国民に向かって投げてよこしました。ブーケは高く飛んで国民の方に飛んでいったのですが、その時に風が起きて、ブーケは風におされて、オローラ姫の上に落ちて行ったのです。
ブーケを手にしたオローラ姫は満面の笑みを浮かべていました。
今度は、私の番だわと、思っていたのでした。
宮殿にいた人たちも笑いあって喜びに満ち満ちていました。夕刻が来れば、宮殿の広間で舞踊会が開かれる運びになっています。
ジョージは、もうひと仕事しなければなりません。宮殿の控室にいて、舞踊会に出る皇帝、セシール姫、さらにデル国王夫妻の服を準備し、着替えさせなければならなかったのです。
皇帝は、上から下まで赤い色で整えました。それに、相応しいように、セシール姫には、薄い水色の服でまとめたのです。さらにデル王国夫妻には、白い色の服を着てもらいました。
舞踊会に集まった公爵、伯爵の皆さまも、自分なりに一番すてきな装いをしてきましたので、皇帝たちの服装はその人たちに負けないだけの華やかさや豪華さが必要だったのです。どうやら、その任を果たしたようで、ジョージは舞踊会で踊る人たちを見て、胸をなでおろしていました。
アーサーは警備兵や皇帝の親衛隊である騎士団と一緒に舞踊会で騒動が起きないように、大広間のすみにいて、見張りを続けていたのでした。
やがて、高齢な皇帝はセシール姫と一緒に舞踊会を退席していきました。騎士団の者たちは二人を警護して大広間から一緒に退席をしていきました。二人を見送った後、デル王国夫妻が、今度は自分らが退席をしたいと言い出したのです。
「皇帝と娘の結婚式が、無事に終えることができたのは、皆さまのおかげじゃ。わしらは、部屋に戻りますが、お集まりになられた皆さまは、残られてすばらしい今日を楽しんでください」
二人が、大広間から出て行ったので、アーサーは二人を警護して、お部屋まで護衛をしていきました。
部屋の入口につくと、アーサーは「国王さま、只今で、顧問の役をといていただきとう存じます。できますれば、明日はデル王国に戻ろうかと思っております」と言ったのです。
「そうじゃのう。すべてうまく行き、わしは満足をしている。そちのしたいようにするがよい」
「はは~、ありがたき幸せ」
アーサーが頭を下げている間に、国王夫妻は部屋の中に戻って行きました。
アーサーが大広間に戻ると、残されたみんなは再び舞踊を始めていました。やはり、誰もがいなくなるまで、ここにいなければと思いアーサーが大広間のすみに立っていました。
するとオローラ姫が優雅なドレスを着てアーサーに近づいてきました。
「踊りの相手をしていただけませんか? それとも、踊ることができません?」
挑戦的な言い方にアーサーはむっとしていました。前は王だったことがあるアーサーです。当然、お作法の一つとして、ダンスの仕方も学んでいました。
「私でよろしければ」
アーサーは、オローラ姫の手を取ると、踊り出しました。踊りのうまさに思わず、オローラ姫は笑顔になっていました。
二人は何曲、踊ったでしょうか? かなりの時間が経っていました。
意を決したように、オローラ姫は言い出しました。
「アーサーさま、私を嫁にもらっていただけないでしょうか?」
「私がどんな者であるかはご存知でしょう。城に住む生活はしておりませんよ。そんな私のような喫茶店のオーナーでよろしければ、お受けいたします」
「はい、わかっております」
二人は、笑顔で見つめ合い、さらに踊り続けておりました。
ジョージが作りコンテストで優勝した花嫁衣裳は優雅でセシール姫が妖精になったようでした。その傍に立つ皇帝は黄金の刺繍をした紫のマントをはおり、大きな鷲を思わせていました。その服を用意したのも、ジョージでした。
式が終わったことを国民に披露するために二人はテラスを前に並んで立ちました。テラスの下に集まった国民たちは拍手をし、歓喜の声をあげています。そんな国民に向かって皇帝とセシール姫は手を振ってこたえていました。
その時、オローラ姫とサマンサたちはテラスの真下に立っていたのです。もちろん、不穏な動きをする者がいたら、すぐに阻止するためです。
セシール姫は国民に手をふった後、左手に抱えていたブーケを国民に向かって投げてよこしました。ブーケは高く飛んで国民の方に飛んでいったのですが、その時に風が起きて、ブーケは風におされて、オローラ姫の上に落ちて行ったのです。
ブーケを手にしたオローラ姫は満面の笑みを浮かべていました。
今度は、私の番だわと、思っていたのでした。
宮殿にいた人たちも笑いあって喜びに満ち満ちていました。夕刻が来れば、宮殿の広間で舞踊会が開かれる運びになっています。
ジョージは、もうひと仕事しなければなりません。宮殿の控室にいて、舞踊会に出る皇帝、セシール姫、さらにデル国王夫妻の服を準備し、着替えさせなければならなかったのです。
皇帝は、上から下まで赤い色で整えました。それに、相応しいように、セシール姫には、薄い水色の服でまとめたのです。さらにデル王国夫妻には、白い色の服を着てもらいました。
舞踊会に集まった公爵、伯爵の皆さまも、自分なりに一番すてきな装いをしてきましたので、皇帝たちの服装はその人たちに負けないだけの華やかさや豪華さが必要だったのです。どうやら、その任を果たしたようで、ジョージは舞踊会で踊る人たちを見て、胸をなでおろしていました。
アーサーは警備兵や皇帝の親衛隊である騎士団と一緒に舞踊会で騒動が起きないように、大広間のすみにいて、見張りを続けていたのでした。
やがて、高齢な皇帝はセシール姫と一緒に舞踊会を退席していきました。騎士団の者たちは二人を警護して大広間から一緒に退席をしていきました。二人を見送った後、デル王国夫妻が、今度は自分らが退席をしたいと言い出したのです。
「皇帝と娘の結婚式が、無事に終えることができたのは、皆さまのおかげじゃ。わしらは、部屋に戻りますが、お集まりになられた皆さまは、残られてすばらしい今日を楽しんでください」
二人が、大広間から出て行ったので、アーサーは二人を警護して、お部屋まで護衛をしていきました。
部屋の入口につくと、アーサーは「国王さま、只今で、顧問の役をといていただきとう存じます。できますれば、明日はデル王国に戻ろうかと思っております」と言ったのです。
「そうじゃのう。すべてうまく行き、わしは満足をしている。そちのしたいようにするがよい」
「はは~、ありがたき幸せ」
アーサーが頭を下げている間に、国王夫妻は部屋の中に戻って行きました。
アーサーが大広間に戻ると、残されたみんなは再び舞踊を始めていました。やはり、誰もがいなくなるまで、ここにいなければと思いアーサーが大広間のすみに立っていました。
するとオローラ姫が優雅なドレスを着てアーサーに近づいてきました。
「踊りの相手をしていただけませんか? それとも、踊ることができません?」
挑戦的な言い方にアーサーはむっとしていました。前は王だったことがあるアーサーです。当然、お作法の一つとして、ダンスの仕方も学んでいました。
「私でよろしければ」
アーサーは、オローラ姫の手を取ると、踊り出しました。踊りのうまさに思わず、オローラ姫は笑顔になっていました。
二人は何曲、踊ったでしょうか? かなりの時間が経っていました。
意を決したように、オローラ姫は言い出しました。
「アーサーさま、私を嫁にもらっていただけないでしょうか?」
「私がどんな者であるかはご存知でしょう。城に住む生活はしておりませんよ。そんな私のような喫茶店のオーナーでよろしければ、お受けいたします」
「はい、わかっております」
二人は、笑顔で見つめ合い、さらに踊り続けておりました。
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