ご一緒に お茶でも

矢野 零時

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14花嫁衣裳コンテスト準備

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 次の日。
 帝国の総務理事がジョージの所にやってきました。理事はヤギのような長いあごひげをはやした人で、十日後に衣裳コンテストを野外劇などで使っている演技場で行うことを伝えてくれたのです。
「ほう、そちがコンテストに参加者される方ですか。あなたが作られた服を始めコンテストのために作られた服すべてをセシール姫に着てもらうわけにはいかんでしょう。それで、姫さまと同じ体型の者たちを集めて、その者たちに服をきてもらいコンテストで披露してもらうことになっております。それで、貴殿の作られた服を着てもらう者として、そこにいる娘ルナにお願いをしている。コンテストの日まで、ジョージ殿にルナをお預けをしたい」
「えっ」と、驚きの声をジョージはあげました。どこか意地悪な感じがします。ともかく、ルナを置く部屋をすぐに見つけなければならない話です。
 改めて、ジョージはルナを見つめました。たしかに、体型や顔立ちはセシール姫にそっくりです。そう言う意味では、問題はありません。
「ちょっと、しばらくの間、お待ちください」と言って、アーサーはジョージといた部屋から飛び出して行きました。そういう問題ならば、侍女頭に相談するしかありません。
 
 すぐに侍女頭の部屋をアーサーは訪ねました。
「それなら、私の部屋はどうですか? もちろん、私もここに居なければなりませんので、つまり同居ですね。それで娘さんがよろしければの話ですが」
「あなたの部屋には、リンダが一緒に泊まっていたはずですが」

「大丈夫ですわ。リンダは、一緒にきていたサマンサさまの所にお世話になることにしたそうですよ」
「サマンサの所?」
「ええ、サマンサさまは、こちらの方にも別宅をお持ちとか。リンダの話では、ここにも同じ血筋の人がいて貴族をやっているそうですよ」
「へ~、そうなんですか」
「そう言えば、リンダがアーサーさまにお伝えして欲しいと言っていたことを思い出しましたよ」
「どんなことですか?」
「コンテストで優勝したい人が、暗躍をしているそうで、ジョージさまを守ることはお任せくださいとのことでした」
 リンダたちは何をやっているのだろうか?
 それを聞いたアーサーの胸の中で不安の煙が立ち上がっていました。

 でも、ともかく今はルナのための部屋をどうするかが問題です。侍女頭と同居をする条件では確保できました。それでいいのかどうか、ルナに聞いてみる必要があります。アーサーはジョージのいる部屋に戻って行きました。
 
 アーサーが戻ってくるまでの間、ジョージはコンテストについて、いろいろと理事に聞いていました。
「コンテストに参加する人たちはどんな人たちなのですか?」
「あなた以外に4つの衣裳が出されることになっております。私も直接の担当者ではないので、人づてに聞いた話になってしまいますが。北の国からバイキングの衣服作り、中国から絹糸の生産業者、インドから王族の衣裳屋、帝国内にある衣服店が参加しております。もちろん、そちらの方々にも先ほど申し上げましたように、セシール姫と似た者をモデルとして送ることになっております」

「そうですか。それでは、審査員はどんな方がおられるのですか?」
「帝国の公爵、伯爵の方々でございます。地位もあり、見識もある人たちですので、一番いい方々ではないかと思っております」

 戻ってきたアーサーは、すぐにルナに侍女頭がいっしょの部屋でもよいかどうか聞いていることを伝えました。
「私はかまいません。ともかく、コンテストのモデルをさせてもらえばいいだけですので」
 ルナのその言葉を聞いてジョージは安堵をしたのか、何度もうなずいていました。

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