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10旅立ち準備2
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城の正門を前にした通りに馬車が並びだしました。それらには、セシール姫さまと一緒に王さま夫婦も行くことになっていますので王たちがのるりっぱな馬車や貢物だけの荷物をつんだ馬車もありました。王さまたちを守る警護兵が隊列を組んで随行していきます。また馬車には御者がつき、旅の途中の世話をする調理人や侍女たちもついていきます。
ジョージたちは、隊列の後ろについてくれるように言われました。ジョージが作ることがなかった王さまや王女さまの服(婚礼式用、夜会服用)もジョージの手元に届けられたのです。その訳は、まずカサム帝国に行くことは面倒なことですし、王さまや女王さまに着せる服を持っていき、文句がでたら責任をとらされることは間違いがありません。だから、行かないことが最もいいことだと思ったのでしょう。そうならないように、服を作る時に相談にきた仕立屋さんたちにジョージは十分なアドバイスをして服を作ってもらってはいるのですが。
ともかくセシール姫や王さま夫妻に服を着てもらう場合、着付け役が必要です。その役はジョージとアーサーがしなければならないようです。それは公的な場所にジョージやカーターが出ていくことになりですが、その時には、それなりの服を着ていなければなりませんので、その分の服も持って行くことにしました。たくさんの服の他、食料や燃料それにテントも荷車に積まなければなりません。
そこで、アーサーは荷車を大型に改造したのでした。それをロバ一頭に牽かせるのはかわいそうですので、もう一頭ロバを買って二頭に荷車を牽かせることにしました。
たくさん荷物を積んでアーサーとジョージが荷車にのりますとリンダが一緒にのることはできそうにありません。そこでアーサーは店に残るようにリンダに言ったのです。危険なこともありますので、その方がリンダのためになるとアーサーは思ったからでした。
「旦那さま、ご心配なく、いっしょに連れて行ってくれる方を見つけていますから」
「えっ、リンダを連れて行ってくれる人がいるの?」
「はい」
「どんな人なのかな?」
「ミラクル雑技団の人たちです」
「雑技団?」
思わず、アーサーは顔をしかめていました。
ミラクル雑技団はあちらこちらの町でお祭りがあるとそこに行って、人のできないことをやってみせるサーカス団でした。そして、祭りに行かない時は、オローラ姫の乳母サマンサが住んでいたケンド家の領地に住んでいたのでした。
もう皆様もおきづきですね。
リンダいえオローラ姫さまから相談をうけたサマンサはミラクル雑技団をひきいて、カサム帝国に向かう旅に同行することにしたのです。本当は王さまから、ケンド家で城に残って国を守って待機をしてくれないかと頼まれたのですが、それを断ってオローラ姫に同行をすることにしたのでした。おかげで、セシール姫さまの乳母を務めていたブスタ家が城に残り、デル国を守っていることになったのでした。
ミラクル雑技団はりっぱな馬車を二つと馬が引くことができる大きな荷車をもっていたのです。ですから、夜になれば、オローラ姫さまはそちらの馬車の中で眠ることができるのでした。
一行が動き出す前ですが、頭にハンカチーフをまいた男たちが短剣を投げあい、それを受け取っていました。どうやら、サーカスを開いた時に見せる練習をしているように見えました。
雑技団の団長は女性だったのです。リンダと親しそうにいつも話をしていました。この方こそが、乳母のサマンサでした。サマンサは一日二回、地面に木の実のような物をまくとたくさんのサルたちがやってきて、餌をたべていました。このサルたちも、サーカスが始まればいろいろ曲芸をして見せることになっているようです。
ジョージたちは、隊列の後ろについてくれるように言われました。ジョージが作ることがなかった王さまや王女さまの服(婚礼式用、夜会服用)もジョージの手元に届けられたのです。その訳は、まずカサム帝国に行くことは面倒なことですし、王さまや女王さまに着せる服を持っていき、文句がでたら責任をとらされることは間違いがありません。だから、行かないことが最もいいことだと思ったのでしょう。そうならないように、服を作る時に相談にきた仕立屋さんたちにジョージは十分なアドバイスをして服を作ってもらってはいるのですが。
ともかくセシール姫や王さま夫妻に服を着てもらう場合、着付け役が必要です。その役はジョージとアーサーがしなければならないようです。それは公的な場所にジョージやカーターが出ていくことになりですが、その時には、それなりの服を着ていなければなりませんので、その分の服も持って行くことにしました。たくさんの服の他、食料や燃料それにテントも荷車に積まなければなりません。
そこで、アーサーは荷車を大型に改造したのでした。それをロバ一頭に牽かせるのはかわいそうですので、もう一頭ロバを買って二頭に荷車を牽かせることにしました。
たくさん荷物を積んでアーサーとジョージが荷車にのりますとリンダが一緒にのることはできそうにありません。そこでアーサーは店に残るようにリンダに言ったのです。危険なこともありますので、その方がリンダのためになるとアーサーは思ったからでした。
「旦那さま、ご心配なく、いっしょに連れて行ってくれる方を見つけていますから」
「えっ、リンダを連れて行ってくれる人がいるの?」
「はい」
「どんな人なのかな?」
「ミラクル雑技団の人たちです」
「雑技団?」
思わず、アーサーは顔をしかめていました。
ミラクル雑技団はあちらこちらの町でお祭りがあるとそこに行って、人のできないことをやってみせるサーカス団でした。そして、祭りに行かない時は、オローラ姫の乳母サマンサが住んでいたケンド家の領地に住んでいたのでした。
もう皆様もおきづきですね。
リンダいえオローラ姫さまから相談をうけたサマンサはミラクル雑技団をひきいて、カサム帝国に向かう旅に同行することにしたのです。本当は王さまから、ケンド家で城に残って国を守って待機をしてくれないかと頼まれたのですが、それを断ってオローラ姫に同行をすることにしたのでした。おかげで、セシール姫さまの乳母を務めていたブスタ家が城に残り、デル国を守っていることになったのでした。
ミラクル雑技団はりっぱな馬車を二つと馬が引くことができる大きな荷車をもっていたのです。ですから、夜になれば、オローラ姫さまはそちらの馬車の中で眠ることができるのでした。
一行が動き出す前ですが、頭にハンカチーフをまいた男たちが短剣を投げあい、それを受け取っていました。どうやら、サーカスを開いた時に見せる練習をしているように見えました。
雑技団の団長は女性だったのです。リンダと親しそうにいつも話をしていました。この方こそが、乳母のサマンサでした。サマンサは一日二回、地面に木の実のような物をまくとたくさんのサルたちがやってきて、餌をたべていました。このサルたちも、サーカスが始まればいろいろ曲芸をして見せることになっているようです。
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