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9逮捕(2)
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やがて馬車がやってきました。
「オローラ姫さま、デル国王さまがどんなに心配をされていることか、すぐに探して来いとの命令をうけておりますぞ」
さすがに、衛兵長の真剣な態度に、オローラ姫もいやとは言えなくなってしまいました。
「分かったわ。帰るわよ」
そう言ったオローラ姫は衛兵たちに手をとられて、馬車に乗りました。御者に向かって、衛兵長は「城の正門へ行ってくれ」と言うと、御者はムチを馬に振って、馬車を走らせ出しました。
店の中で捕らえられたアーサーは、「一体、私がなにをしたというんだ?」と文句を言いました。
「何を言っている。オローラ姫をたぶらかして、城から連れ出したくせに」
「馬鹿な、そんなことを、私はしてないぞ」
「アーサーさんは、朝からこの喫茶店に勤めております」と言って、カンナさんは助け舟を出してくれました。
「お前も、この男の仲間なのか?」
そう言った衛兵はカンナさんも捕まえてしまいそうです。
「違う。その人はまるで関係ない」
アーサーは、慌ててカンナさんを自分から離れているように手を振りました。アーサーが抵抗をすると、他の人を巻き込んでしまいそうです。無抵抗でいると、アーサーは衛兵たちにさらに縄でしばられ、ぐるぐる巻きにされてしまいました。そうしている間に、もう一台、馬車がやってきて、喫茶店の前でとまりました。縛り上げられたアーサーは衛兵に引きずられるように馬車に乗せられました。
馬が歩き出すと、アーサーは隣にすわった衛兵に聞きました。
「どこに連れて行くのかね?」
「城の西門に向かっているのだがね」と言った衛兵は顔をゆがめて笑っています。その顔を見て、アーサーはそこに牢獄や拷問室があったことを思い出していました。
先に城についたオローラ姫は父であるデル国王にあっていました。
「オローラ、どこに行っていたんだ。どんなに心配したかわからんぞ」
「お父さま、ご心配されるようなことは何もありませんわ」
「わかっておる。おまえをたぶらかした男は死刑にしてやる」
さすがに、オローラ姫は、父が死刑にしようとしている男がアーサーであることに気がつきました。
「お父さまは、あの方を殺すようなことをしないでください。どうか、そんなバカなことを」
「お前がそう言うならば、殺すことはやめてやろう。その代わりにムチ打ちの刑にしとくかな」
それ以上は、オローラ姫でもデル国王の考えを変えることができそうにありません。デル国王は娘に言った言葉をすぐに側仕えに伝えると、側仕えは引き下がっていきました。
側仕えは刑罰官にデル国王の指示を伝えました。
刑罰官は拷問室に入るとアーサーに声をかけました。
「よかったな。百叩きのムチ打ちに変わったぞ」
アーサーは両手を鎖につながれ、背中を刑罰官に向けさせられました。刑罰官の手には長さ5メートルの革ムチがにぎられています。
「いくぞ。歯をくいしばれ」
そう言った刑罰官はムチを風のような音をたてて振り上げたのです。
バシッと音がしてアーサーの背中に痛みが走りました。ムチがアーサーの背中を打ったのです。
「ひとつ」と、むち打ちの数をかぞえる刑罰官の声があがりました。
ふたたびバシッと音がして背中に痛みが走りました。
「ふたつ」
さらに、ムチが体に当たる音が鳴りました。
「みつ」
さすがにアーサーも耐え切れずに呻き声をあげていました。
その後、何度もムチが振り上げ続けられたのです。
父もいなくなり、オローラ姫は、自制を取り戻しました。
いくらなんでも、アーサーをムチで打たせたくはありません。どうしたらいいのか? オローラ姫は、その場で何度も部屋の中をうろうろ歩き廻っていました。
そして、自分が拷問室に行って、アーサーをムチ打つことをやめさせるしかないことに気が付きました。
回廊を走り、オローラ姫は、城の西に行きました。西の塔の一番下の部屋に拷問室があります。オローラ姫は、階段をかけおりました。
拷問室からうめき声がきこえ、側仕えが拷問室の隠し窓から覗いているのが見えました。
側仕えはオローラ姫を見ると嬉しそうに言いました。
「わざわざ、オローラ姫がこられるとは。罪人に罰を与えているところは、たしかに、いい見世物ですな」
「やめて」と声を出しかけて、オローラ姫は口を閉じてしまいました。すでに、アーサーの背中には赤いリボンを何本もたらしたような縞模様の跡ができあがっていたからです。
「残念でございましたな。少し前に百打ちの刑が終わったところでございます」
呆然としてオローラ姫は立ち続けアーサーの背を見ていると、ジョージとカンナさんがアーサーを引き取りにやってきたのでした。
「大丈夫かい」と、ジョージはアーサーに声をかけました。
「なんとかね」と、アーサー。
「話ができるならば、大丈夫だな」といって、ジョージはアーサーの右腕を取って自分の肩にのせました。カンナさんはアーサーの左腕を掴んで、やはり自分の肩にのせていました。そして、ジョージとカンナさんはアーサーを拷問室から連れ出していきました。
城の外には荷車がおかれ、荷車を引かせるためのロバが待っていました。城からアーサーを連れ出した二人は荷車にアーサーをのせると、ロバは歩き出しました。
オローラ姫は、西の塔のテラスに出て、城から遠ざかる荷車にのるアーサーを見つめ続けていました。そして、オローラ姫は、涙をながしていたのでした。
もしかしたら、自分のこと以外で、オローラ姫が、涙を流したのは、初めてのことだったかもしれません。
(=^・^=)
ここまで、読んでくださった方、まずはお礼を申し上げます。アーサーやジョージが主人公で話を進めておりますがオローラ姫が私が考えていた以上に個性(キャラ)を帯びてきているようです。また、文章並びに誤字の訂正は随時させていただいておりますが、ストリーに影響のない改変ですので、ご容赦のほどお願いをもうしあげます。
「オローラ姫さま、デル国王さまがどんなに心配をされていることか、すぐに探して来いとの命令をうけておりますぞ」
さすがに、衛兵長の真剣な態度に、オローラ姫もいやとは言えなくなってしまいました。
「分かったわ。帰るわよ」
そう言ったオローラ姫は衛兵たちに手をとられて、馬車に乗りました。御者に向かって、衛兵長は「城の正門へ行ってくれ」と言うと、御者はムチを馬に振って、馬車を走らせ出しました。
店の中で捕らえられたアーサーは、「一体、私がなにをしたというんだ?」と文句を言いました。
「何を言っている。オローラ姫をたぶらかして、城から連れ出したくせに」
「馬鹿な、そんなことを、私はしてないぞ」
「アーサーさんは、朝からこの喫茶店に勤めております」と言って、カンナさんは助け舟を出してくれました。
「お前も、この男の仲間なのか?」
そう言った衛兵はカンナさんも捕まえてしまいそうです。
「違う。その人はまるで関係ない」
アーサーは、慌ててカンナさんを自分から離れているように手を振りました。アーサーが抵抗をすると、他の人を巻き込んでしまいそうです。無抵抗でいると、アーサーは衛兵たちにさらに縄でしばられ、ぐるぐる巻きにされてしまいました。そうしている間に、もう一台、馬車がやってきて、喫茶店の前でとまりました。縛り上げられたアーサーは衛兵に引きずられるように馬車に乗せられました。
馬が歩き出すと、アーサーは隣にすわった衛兵に聞きました。
「どこに連れて行くのかね?」
「城の西門に向かっているのだがね」と言った衛兵は顔をゆがめて笑っています。その顔を見て、アーサーはそこに牢獄や拷問室があったことを思い出していました。
先に城についたオローラ姫は父であるデル国王にあっていました。
「オローラ、どこに行っていたんだ。どんなに心配したかわからんぞ」
「お父さま、ご心配されるようなことは何もありませんわ」
「わかっておる。おまえをたぶらかした男は死刑にしてやる」
さすがに、オローラ姫は、父が死刑にしようとしている男がアーサーであることに気がつきました。
「お父さまは、あの方を殺すようなことをしないでください。どうか、そんなバカなことを」
「お前がそう言うならば、殺すことはやめてやろう。その代わりにムチ打ちの刑にしとくかな」
それ以上は、オローラ姫でもデル国王の考えを変えることができそうにありません。デル国王は娘に言った言葉をすぐに側仕えに伝えると、側仕えは引き下がっていきました。
側仕えは刑罰官にデル国王の指示を伝えました。
刑罰官は拷問室に入るとアーサーに声をかけました。
「よかったな。百叩きのムチ打ちに変わったぞ」
アーサーは両手を鎖につながれ、背中を刑罰官に向けさせられました。刑罰官の手には長さ5メートルの革ムチがにぎられています。
「いくぞ。歯をくいしばれ」
そう言った刑罰官はムチを風のような音をたてて振り上げたのです。
バシッと音がしてアーサーの背中に痛みが走りました。ムチがアーサーの背中を打ったのです。
「ひとつ」と、むち打ちの数をかぞえる刑罰官の声があがりました。
ふたたびバシッと音がして背中に痛みが走りました。
「ふたつ」
さらに、ムチが体に当たる音が鳴りました。
「みつ」
さすがにアーサーも耐え切れずに呻き声をあげていました。
その後、何度もムチが振り上げ続けられたのです。
父もいなくなり、オローラ姫は、自制を取り戻しました。
いくらなんでも、アーサーをムチで打たせたくはありません。どうしたらいいのか? オローラ姫は、その場で何度も部屋の中をうろうろ歩き廻っていました。
そして、自分が拷問室に行って、アーサーをムチ打つことをやめさせるしかないことに気が付きました。
回廊を走り、オローラ姫は、城の西に行きました。西の塔の一番下の部屋に拷問室があります。オローラ姫は、階段をかけおりました。
拷問室からうめき声がきこえ、側仕えが拷問室の隠し窓から覗いているのが見えました。
側仕えはオローラ姫を見ると嬉しそうに言いました。
「わざわざ、オローラ姫がこられるとは。罪人に罰を与えているところは、たしかに、いい見世物ですな」
「やめて」と声を出しかけて、オローラ姫は口を閉じてしまいました。すでに、アーサーの背中には赤いリボンを何本もたらしたような縞模様の跡ができあがっていたからです。
「残念でございましたな。少し前に百打ちの刑が終わったところでございます」
呆然としてオローラ姫は立ち続けアーサーの背を見ていると、ジョージとカンナさんがアーサーを引き取りにやってきたのでした。
「大丈夫かい」と、ジョージはアーサーに声をかけました。
「なんとかね」と、アーサー。
「話ができるならば、大丈夫だな」といって、ジョージはアーサーの右腕を取って自分の肩にのせました。カンナさんはアーサーの左腕を掴んで、やはり自分の肩にのせていました。そして、ジョージとカンナさんはアーサーを拷問室から連れ出していきました。
城の外には荷車がおかれ、荷車を引かせるためのロバが待っていました。城からアーサーを連れ出した二人は荷車にアーサーをのせると、ロバは歩き出しました。
オローラ姫は、西の塔のテラスに出て、城から遠ざかる荷車にのるアーサーを見つめ続けていました。そして、オローラ姫は、涙をながしていたのでした。
もしかしたら、自分のこと以外で、オローラ姫が、涙を流したのは、初めてのことだったかもしれません。
(=^・^=)
ここまで、読んでくださった方、まずはお礼を申し上げます。アーサーやジョージが主人公で話を進めておりますがオローラ姫が私が考えていた以上に個性(キャラ)を帯びてきているようです。また、文章並びに誤字の訂正は随時させていただいておりますが、ストリーに影響のない改変ですので、ご容赦のほどお願いをもうしあげます。
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