8 / 30
6合コン(合同懇親会)
しおりを挟む
ジョージの店の前に置いたテーブルでアーサーとジョージは気ままな時間にお茶会を開いていました。そんな時、ポポロ商店街の人や買い物にきた人たちも、立ち寄って一緒にお茶を楽しんでくれました。
やがて、アーサーはいつでもみんなが集まって、お茶を楽しむ場所を作りたいと考えるようになりました。ジョージもその考えに賛同してくれ、いつでも協力をしてくれる約束をしていました。
そんな時に、帽子屋の前の店、果物屋が店を閉めることになったのです。さっそく、今まで貯めていたお金で店と土地を買い、商店街の組合長へ営業権の支払いをしました。
ジョージの協力のおかげもあって、紅茶入れの上手なカンナさんは喫茶店の経営に参加してくれることになりました。それができたのは、ジョージの洋装店にカンナさんの娘さん、ジョアンナが働いてくれることになったからです。
店の壁にはジョージからもらった薄緑色の布地をはりました。その壁に絵のかわりに、アーサーが作った造花をあしらった帽子をあちらこちらに飾りました。
もう一つ言っておくことがあります。それはアーサーの帽子屋のことです。そちらの店には前からやとっていた若者が一人前になっていましたので、全面的に仕事をまかせることにしたのでした。
喫茶店の前に一台の馬車がとまりました。その馬車の色は、いつもの黒でなく葡萄のような赤茶色をしていましたので、オローラ姫の使っている馬車ではないことがわかりました。
降りてきたのは男と女。それも若い二人。そして、身なりの確かさから貴族以上の身分の人たちであることがわかりました。二人はこの店の一番奥のテーブルをはさんで向かい合うようにすわりました。
二人はレモンティを頼み、カンナさんが注文された紅茶を運んでいきました。カンナさんがカウンターに戻ると二人は話し始めました。二人の話し声はカンナさんのいるカウンターの所まで聞こえてきていたのです。
「王子4人と王女の4人で顔合わせをする懇親会なんて、思いつきもしなかったね」と若い男が話し出しました。
王子4人と王女4人の合同懇親会、つまり合コンを考えついたのは、この場にいないオローラ姫でした。
4人の王子は、ボブ王子、ベル王子、メルト王子、スクエ王子。
4人の王女は、スカレート姫、オードリー姫、オンディーヌ姫、そして、オローラ姫。
お互いの顔合わせは、カドノ王国の舞踏会でしています。そう、ルイ王子がシンデレラを妃にえらんだあの舞踏会です。
でも、その時は本当に顔を見ただけです。そこでもっとお互いを知りあうためにデル王国の別荘で合コンを開いて集まっていたのでした。
ひとつだけ言い足すことがあります。ここに集まった王子と王女は、カサム帝国の中にある都市国家の王子や王女でした。都市国家はカサム帝国の支配下にあり、従属を余儀なくされていました。
「合コン。本当に楽しかったわね。おかげで、ベル王子と知り合うことができたんですもの」と言って、オードリー姫は手をのばし、ベル王子の手の上に置きました。
「私も幸せだね。オードリー王女と知り合うことができたのだから。でも、オローラ姫は残念ながら、相手をみつけることができなかったみたいだね」
「オンディーヌ姫と好きな殿方、メルト王子がだぶってしまった。オローラ姫はあきらめがつかなかったみたいですわ」
「残念ながらメルト王子はオンディーヌ姫を選んでしまった。それにボブ王子はオローラ姫を好きだったのに、オローラ姫は振り向いてもくれないので、いじけてしまっているよ」
「それは、オローラ姫も同じですわ」
「4人対4人の男女が顔合わせをして、二組のペアが生まれた。それだけでも上出来じゃないかな。男女を結びつけるのは神であるキューピッドがきめる技だからね」
二人はうなずきあっていました。
やがて、アーサーはいつでもみんなが集まって、お茶を楽しむ場所を作りたいと考えるようになりました。ジョージもその考えに賛同してくれ、いつでも協力をしてくれる約束をしていました。
そんな時に、帽子屋の前の店、果物屋が店を閉めることになったのです。さっそく、今まで貯めていたお金で店と土地を買い、商店街の組合長へ営業権の支払いをしました。
ジョージの協力のおかげもあって、紅茶入れの上手なカンナさんは喫茶店の経営に参加してくれることになりました。それができたのは、ジョージの洋装店にカンナさんの娘さん、ジョアンナが働いてくれることになったからです。
店の壁にはジョージからもらった薄緑色の布地をはりました。その壁に絵のかわりに、アーサーが作った造花をあしらった帽子をあちらこちらに飾りました。
もう一つ言っておくことがあります。それはアーサーの帽子屋のことです。そちらの店には前からやとっていた若者が一人前になっていましたので、全面的に仕事をまかせることにしたのでした。
喫茶店の前に一台の馬車がとまりました。その馬車の色は、いつもの黒でなく葡萄のような赤茶色をしていましたので、オローラ姫の使っている馬車ではないことがわかりました。
降りてきたのは男と女。それも若い二人。そして、身なりの確かさから貴族以上の身分の人たちであることがわかりました。二人はこの店の一番奥のテーブルをはさんで向かい合うようにすわりました。
二人はレモンティを頼み、カンナさんが注文された紅茶を運んでいきました。カンナさんがカウンターに戻ると二人は話し始めました。二人の話し声はカンナさんのいるカウンターの所まで聞こえてきていたのです。
「王子4人と王女の4人で顔合わせをする懇親会なんて、思いつきもしなかったね」と若い男が話し出しました。
王子4人と王女4人の合同懇親会、つまり合コンを考えついたのは、この場にいないオローラ姫でした。
4人の王子は、ボブ王子、ベル王子、メルト王子、スクエ王子。
4人の王女は、スカレート姫、オードリー姫、オンディーヌ姫、そして、オローラ姫。
お互いの顔合わせは、カドノ王国の舞踏会でしています。そう、ルイ王子がシンデレラを妃にえらんだあの舞踏会です。
でも、その時は本当に顔を見ただけです。そこでもっとお互いを知りあうためにデル王国の別荘で合コンを開いて集まっていたのでした。
ひとつだけ言い足すことがあります。ここに集まった王子と王女は、カサム帝国の中にある都市国家の王子や王女でした。都市国家はカサム帝国の支配下にあり、従属を余儀なくされていました。
「合コン。本当に楽しかったわね。おかげで、ベル王子と知り合うことができたんですもの」と言って、オードリー姫は手をのばし、ベル王子の手の上に置きました。
「私も幸せだね。オードリー王女と知り合うことができたのだから。でも、オローラ姫は残念ながら、相手をみつけることができなかったみたいだね」
「オンディーヌ姫と好きな殿方、メルト王子がだぶってしまった。オローラ姫はあきらめがつかなかったみたいですわ」
「残念ながらメルト王子はオンディーヌ姫を選んでしまった。それにボブ王子はオローラ姫を好きだったのに、オローラ姫は振り向いてもくれないので、いじけてしまっているよ」
「それは、オローラ姫も同じですわ」
「4人対4人の男女が顔合わせをして、二組のペアが生まれた。それだけでも上出来じゃないかな。男女を結びつけるのは神であるキューピッドがきめる技だからね」
二人はうなずきあっていました。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる