書きたくなったやつ

らい

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移り変わる世界

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青いはずの海がオレンジに染まり、空は星空が広がる不思議な世界。

そんな世界がふっと白くなったと思ったら次は山の頂上に居る。
海のような雲の大群で覆い尽くされ地上は見えない。

また、白く反転する。
また白く。また。また・・・

幻想のような世界。
色が反転した世界。
羽根の生えた人型が屋根を蹴り宙返りする。
廃村に住み着く三匹の蛇。
岩山の上で白い虎が吠えている。
人々の前に立ち剣と盾を掲げる勇者。
洋館の一部屋から見えた黒い触手と青い触手。
紫と緑の猫が塀の上に。

白く消えたと思えばまた新たな世界が目の前に広がっている。
それは似たようで似ていない。
どこかが別の世界。

目の前にある現実は先程までの現実とは異なるようで。
それでもどこかで繋がっているような。

その世界の真ん中をこっそりこっそり歩く。
それが一番楽しくて誇らしい。
全ての世界が交わるほんの少しの場所を。
クルクルと周り巡りながら考える。

交わっていた世界もある。
離れた世界もある。
黒に飲み込まれ消えてしまった世界もある。
それでも今を見ているから。
その世界は美しく綺麗なのである。

「綺麗だね」

ボソッと話しかける。
パラレルワールドと言っても過言では無いと思う。
だって、ひとつひとつの世界は人の世界。
隣合った人間の頭の中にある世界なのだから。

それはきっと何かが違って、とても近い世界なのだろう。

そんなことを思いながら私はまた一歩、また一歩と前へ進む。
白い壁に目立つように飾られ額縁に綺麗に収まるひとりひとりの世界パラレルワールド


私がこっそり歩いて回る。
私のパレットの中。
額縁の中だけじゃなくて白い壁もたくさんの色で染められたらいいね。
なんて鮮やかで楽しい世界。
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