二次創作小説

らい

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あいる

物語は紡ぐ為の形

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開いた本は虹色だった。
パッと手に取っただけの本。
題名は特になく、大きな紫のリボンだけが着いている本。

ぐちゃぐちゃに書かれている。
赤色で書かれている。
青色で描かれている。
紫色が円を描いている。
銀色が縁どっている。

文字は無い。
絵とも言えない。
でも何故か暖かい。
これを書いた人はどんな気持ちで描いたんだろうか。

「こんな本が描けたらいいな」

ずっとずっと悩んだ。
挫けそうになった事が何度でもある。
その度にこの本を見ていた気がする。

それがこの本を持っていた理由である。

でも。これはもう僕のでは無い。
この本は人を渡る物語だろう。
人を渡る物語ナサリー・ライムもきっとこうだったんだろう。
あれはどちらかと言えば歌だと言うが。

またこの本を誰かが手に取るように。
僕は一本、定規で緑の線を引く。
手に取った人はみんなこうやって色をつけたんだろう。

これは誰かの物語。
忘れられた物語。
全てにではなく人知れず回る物語。


「私は知っている」

誰とも言わぬ。
本の記憶。
それは老夫婦。
それは小説家の男。
それは忙しい主婦。
そして今回。

またひとつ増えた物語を語り継ぐ人は居ないけれど。
それでも流れる物語を。
きっとまた誰かが手に取り。
紡いでくれるのを知っている。

それが私。
それが私の物語。
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