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戻ってきた夜
7、魔王城
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ここは人々が怯え、恐れる、魔王の住む城。魔王は人々を滅ぼそうと・・・考えてなんかいない。というか、臣下ですら、人間世界に溶け込んだり、人間世界で遊び呆けているやつもいる。未だに帰ってこない臣下もいる。
ではなぜそんな魔族が恐れられているのか?
それは魔王の生み出した魔物による被害である。といってもライトの街の近くには何故かスライムしかいないのだが、別の場所だと、ワーウルフや、毒大蛇など、人にとってとても有害である魔物もいる。それを生み出す魔王は恐怖の対象であり、忌むべき敵なのだ。しかし、現実はそんな恐ろしい魔王ではないのだろう。
「あー・・・。」
ぬりぬり、ぺたぺた、ぽにんぽにん・・・。
「よし、一体、次~。」
「あー・・・。」
ぬりぬり、ぺたぺた、ぽにんぽにん・・・。
「はい次ー。」
ここは魔王城で間違いはない・・・はず・・・だが、聞こえてくるのは魔物によるうめき声などではなく、叩いたり何かを塗ったりしている音、やる気のない声、それと何か機械的な回る音、それだけだった。
「今カウンターは~?今日は205体か、まぁ二時間かなぁ・・・。」
こちら魔王である。めちゃくそだるそうな声と共に、またぺちぺち叩く音が聞こえる。そんなゆるゆるな空気の中、悲報が流れてくるのだ。
『メッセージを確認、コードネーム空の使者メッセージを再生します。「レイラにより、鍛冶師りくが死亡、らいが『カグツチ』を入手。らいは行方不明である。」以上です。メッセージを返しますか?』
壁にかけられた遺代機器でも珍しい、メッセージ機型の筒から流れてきた情報は、魔王の手を狂わせるのに十分な素材であった。
「りくが死亡!?レイラに!?なぜ夜に・・・。らいも行方不明なの・・・?なぜ・・・。」
手に力が籠る。その手に爪が食いこもうとも彼女は気にしない。仲間を失った、良き友を失った彼女に痛覚など気にしない。血が床に垂れる。それ以上は危ないと同居人が止める。
「紫蘭ちゃん!ストップ!これ以上はダメだよ。落ち着きな?分かるけど!」
同居人の彼女は魔王城の内部把握とともに趣味が魔王と会うため、ここに住んでいる。彼女は普通の事じゃ声を荒げないのだが、今回はいつもより声を荒らげていた。彼女も辛いのだ。それを察した紫蘭は徐々に落ち着きを取り戻していった。しかし、やはり彼がこの世から消えたのはとても辛いものであった。
「とりあえず今は、らいの場所を把握しなければ。あの家から探すよ。ねぐせ!」
手を叩くと、上から真っ赤なの髪をした狼が降りてきた。
「呼んだ?今日はどうしたの?」
「らいが消えた。私は探しに行くから今日は任せてもいい?」
「はーい。らいくん見つかるといいねー。」
ねぐせ、そう呼ばれた彼女は四将星の一人、狂楽の狼の二つ名の名の元、彼女は笑いながら人を倒していくことで有名な魔物である。彼女が言うには楽しそうに戦っているだけらしいが人から見たら笑いながら人を倒す悪魔である。彼女が従うのは魔王ただ一人である。
「さて、緑猫はどこへ行ったのやら・・・」
いつもの家にはいない。天使が言うには兎も街のカメラにも写っていないと言う。誰もわからない緑猫の現在地を知っている奴が一体だけ居た。そう、白猫である。それは彼女の前に満を持して姿を現した。
「迷える王よ、貴方様の探し物を私は知っています。その情報を教えてくれ差し上げましょうか?」
「お前は確か・・・桜華。」
「私の事をご存知で?」
「当たり前だ、情報を売りつける、仕事は最高な情報屋だろう。まぁいいわ。何が欲しい?」
「信用と信頼。それと次もまた私を頼ること。これだけでお代は大丈夫ですよ。」
「いいだろう。さて、うちの猫はどこだ?」
白い猫は笑った。口が裂けるような笑いだ。
そして彼女に告げた
「海岸、魔王城の下の洞窟にて、彼の者から貰った刀を使えるようにしているようですよ。移動してなければそこに居ますよ。」
「そうか。またな、白猫」
「次回のご利用もお待ちしております。」
紫蘭は自分の最大速度で野原を駆け、らいが居るらしい洞窟へと向かった。そこには紅い刀を突き刺しその前で自分の魔力に馴染ませようとしている獣人が居た。遠目から見ると刀が自分は人には使わせないと言っているように彼の魔力を拒む。しかし、彼は諦めずに魔力に馴染ませようとしている。何時間たってもその拮抗状態であった。先にらいの方に限界が来てその場で倒れてしまった。魔力枯渇であろう。紫蘭は安堵とともにため息が出た。その後、紫蘭は食料などを置いてその場から立ち去った。
「ああああああああぁぁぁ!!!!」
絶叫を上げながら魔力を馴染ませようと魔力を放出する。しかし、その刀は絶対に馴染まないようにと弾いている。
(何故俺にはこいつを使い切ることが出来ない・・・。なぜだ。何故なんだ!)
また意識が朦朧とした、その時だった。
『お前はほんとにしょうがねぇなあ。言っただろう?武器は一方通行じゃ言うことは聞いてくれない。武器の言うことも聞いてその上で使いこなすんだ。』
その声は紛れもないりくのものだった。
それはまだ武器を試した時のこと、りくのように使い切れないのに不信感を持ったらいがりくに聞いた時の話だ。
「そうだ・・・。刀は、武器は一方通行じゃ言うことは聞いてくれない。そうだったよ。」
もう一度刀を取り刀と会話をする。
すると刀は先程とは違い、彼の魔力を受けいれた。数日の激闘が無駄だったと言うように。しかし、そんな激闘は彼の潜在能力を強く開花させるに至った。それを肌で感じたらいは夜、深夜に街へと向かう。
誰かを探すように。誰かの仇討ちのために。
ではなぜそんな魔族が恐れられているのか?
それは魔王の生み出した魔物による被害である。といってもライトの街の近くには何故かスライムしかいないのだが、別の場所だと、ワーウルフや、毒大蛇など、人にとってとても有害である魔物もいる。それを生み出す魔王は恐怖の対象であり、忌むべき敵なのだ。しかし、現実はそんな恐ろしい魔王ではないのだろう。
「あー・・・。」
ぬりぬり、ぺたぺた、ぽにんぽにん・・・。
「よし、一体、次~。」
「あー・・・。」
ぬりぬり、ぺたぺた、ぽにんぽにん・・・。
「はい次ー。」
ここは魔王城で間違いはない・・・はず・・・だが、聞こえてくるのは魔物によるうめき声などではなく、叩いたり何かを塗ったりしている音、やる気のない声、それと何か機械的な回る音、それだけだった。
「今カウンターは~?今日は205体か、まぁ二時間かなぁ・・・。」
こちら魔王である。めちゃくそだるそうな声と共に、またぺちぺち叩く音が聞こえる。そんなゆるゆるな空気の中、悲報が流れてくるのだ。
『メッセージを確認、コードネーム空の使者メッセージを再生します。「レイラにより、鍛冶師りくが死亡、らいが『カグツチ』を入手。らいは行方不明である。」以上です。メッセージを返しますか?』
壁にかけられた遺代機器でも珍しい、メッセージ機型の筒から流れてきた情報は、魔王の手を狂わせるのに十分な素材であった。
「りくが死亡!?レイラに!?なぜ夜に・・・。らいも行方不明なの・・・?なぜ・・・。」
手に力が籠る。その手に爪が食いこもうとも彼女は気にしない。仲間を失った、良き友を失った彼女に痛覚など気にしない。血が床に垂れる。それ以上は危ないと同居人が止める。
「紫蘭ちゃん!ストップ!これ以上はダメだよ。落ち着きな?分かるけど!」
同居人の彼女は魔王城の内部把握とともに趣味が魔王と会うため、ここに住んでいる。彼女は普通の事じゃ声を荒げないのだが、今回はいつもより声を荒らげていた。彼女も辛いのだ。それを察した紫蘭は徐々に落ち着きを取り戻していった。しかし、やはり彼がこの世から消えたのはとても辛いものであった。
「とりあえず今は、らいの場所を把握しなければ。あの家から探すよ。ねぐせ!」
手を叩くと、上から真っ赤なの髪をした狼が降りてきた。
「呼んだ?今日はどうしたの?」
「らいが消えた。私は探しに行くから今日は任せてもいい?」
「はーい。らいくん見つかるといいねー。」
ねぐせ、そう呼ばれた彼女は四将星の一人、狂楽の狼の二つ名の名の元、彼女は笑いながら人を倒していくことで有名な魔物である。彼女が言うには楽しそうに戦っているだけらしいが人から見たら笑いながら人を倒す悪魔である。彼女が従うのは魔王ただ一人である。
「さて、緑猫はどこへ行ったのやら・・・」
いつもの家にはいない。天使が言うには兎も街のカメラにも写っていないと言う。誰もわからない緑猫の現在地を知っている奴が一体だけ居た。そう、白猫である。それは彼女の前に満を持して姿を現した。
「迷える王よ、貴方様の探し物を私は知っています。その情報を教えてくれ差し上げましょうか?」
「お前は確か・・・桜華。」
「私の事をご存知で?」
「当たり前だ、情報を売りつける、仕事は最高な情報屋だろう。まぁいいわ。何が欲しい?」
「信用と信頼。それと次もまた私を頼ること。これだけでお代は大丈夫ですよ。」
「いいだろう。さて、うちの猫はどこだ?」
白い猫は笑った。口が裂けるような笑いだ。
そして彼女に告げた
「海岸、魔王城の下の洞窟にて、彼の者から貰った刀を使えるようにしているようですよ。移動してなければそこに居ますよ。」
「そうか。またな、白猫」
「次回のご利用もお待ちしております。」
紫蘭は自分の最大速度で野原を駆け、らいが居るらしい洞窟へと向かった。そこには紅い刀を突き刺しその前で自分の魔力に馴染ませようとしている獣人が居た。遠目から見ると刀が自分は人には使わせないと言っているように彼の魔力を拒む。しかし、彼は諦めずに魔力に馴染ませようとしている。何時間たってもその拮抗状態であった。先にらいの方に限界が来てその場で倒れてしまった。魔力枯渇であろう。紫蘭は安堵とともにため息が出た。その後、紫蘭は食料などを置いてその場から立ち去った。
「ああああああああぁぁぁ!!!!」
絶叫を上げながら魔力を馴染ませようと魔力を放出する。しかし、その刀は絶対に馴染まないようにと弾いている。
(何故俺にはこいつを使い切ることが出来ない・・・。なぜだ。何故なんだ!)
また意識が朦朧とした、その時だった。
『お前はほんとにしょうがねぇなあ。言っただろう?武器は一方通行じゃ言うことは聞いてくれない。武器の言うことも聞いてその上で使いこなすんだ。』
その声は紛れもないりくのものだった。
それはまだ武器を試した時のこと、りくのように使い切れないのに不信感を持ったらいがりくに聞いた時の話だ。
「そうだ・・・。刀は、武器は一方通行じゃ言うことは聞いてくれない。そうだったよ。」
もう一度刀を取り刀と会話をする。
すると刀は先程とは違い、彼の魔力を受けいれた。数日の激闘が無駄だったと言うように。しかし、そんな激闘は彼の潜在能力を強く開花させるに至った。それを肌で感じたらいは夜、深夜に街へと向かう。
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