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ゆうひ
133.変化
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暑くジメジメとした夏の中、青々とした葉が涼しい秋には赤色、黄色くなるように。幼虫だった虫が美しい羽根を広げるように。
『彼女は変化した』
様子が変わった。別人になった。様々言われた。それはそうだ。変化したのだから。当たり前だろう。一つだけ変わらなかったのは彼女が肌身離さず持っていた『鈴』だけだろう。それだけはずっと持っていた。
どこか優しく明るい彼女はそのままだったが、そこにあるはずの感情が抜け落ちていた。俗に言う死んだ目をしていた。何故だろうか?周りの人には誰も分からなかった。
一人の知人が彼女に聞いたという。
どうしたのか?と。何かあったのか?と。
彼女の返答はこうだった。
「人の心が分からなくなった」
たった一言。深く意味のあるような言葉で、しかし何があったのかさっぱり分からない。一つだけ確かなのは数日前の彼女はもう消えたのだと。今の彼女から昔の考え方なんて抜け落ちてしまったのだと。
「人って怖いね」
知人が彼女から聞いた最後の声がそれだったという。それから彼女は消えた。家族も、仕事先も、友人も誰も彼女を見つけることは出来なかった。
友人が探すのを諦めかけた時、1匹の猫が膝に飛び乗った。
チリーン
彼女の鈴の音がした。
遠くて近い、そして小さい音がした。
『彼女は変化した』
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一人の知人が彼女に聞いたという。
どうしたのか?と。何かあったのか?と。
彼女の返答はこうだった。
「人の心が分からなくなった」
たった一言。深く意味のあるような言葉で、しかし何があったのかさっぱり分からない。一つだけ確かなのは数日前の彼女はもう消えたのだと。今の彼女から昔の考え方なんて抜け落ちてしまったのだと。
「人って怖いね」
知人が彼女から聞いた最後の声がそれだったという。それから彼女は消えた。家族も、仕事先も、友人も誰も彼女を見つけることは出来なかった。
友人が探すのを諦めかけた時、1匹の猫が膝に飛び乗った。
チリーン
彼女の鈴の音がした。
遠くて近い、そして小さい音がした。
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