そこは夢の詰め合わせ

らい

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天ヶ瀬

99.二つの煙草

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天界から来た天使にも恋心はあった。
白髪の天使は人の女性に恋をした。
何故好きになったのかあまり分からないが、いつの間にか一緒に住んでいた。

「ねぇ、火頂戴よ」

「これでいいでしょ?」

火のついた煙草をそっと煙草の先に付け、火を付ける。少し頬が赤くなっているだろうが気にしないで。気づかないで。

「顔、赤いよ?」

「気のせい・・・だよ」

天使の雄弁たる態度に御相手の女性は顔が赤かったようだ。天使は自分より長生きだ。自分よりいい人だっていただろう。

そう考えると黒い気持ちが心の中から産まれてくる。それに気づいたように天使がこちらを見る。

煙草を口にくわえた白髪の天使が少し怒った顔のようでこちらを見ていた。

「言ったよね?私は貴女が最初に好きになった人なの。大丈夫、貴女が1番だよ」

そういうと、空を見ながら煙草の灰を落とす。

それだけ自分を見てくれているということに。それだけ自分を好いてくれている天使が目の前にいると言うことがとても嬉しい。

「次はそういう事考えたらダメだよ?」

煙草の火を消した。部屋がフッと暗くなる。
彼女の持っている煙草の火だけが暗い部屋の中で灯っていた。
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