そこは夢の詰め合わせ

らい

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結月

118.月夜と陽

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夕暮れ時。皆が夕暮れを見ながら、夕暮れに向かいながら帰ってる時、ただ一人だけ夕暮れに背を向けている人が居た。俯いて太陽ではなく、月へ。明るいではなく、暗い方へ。

彼が初めて顔を上げた時、そこは夜だった。
星々と月が輝き、辺りは闇が来ている。
彼が走り出したのはすぐ後のことだった。

「俺の何が悪かったんだろうな・・・」

彼が走るのを辞めたのは、彼がもう一度ソラを見たのは、丘で寝転がった時だった。

「こんな夜更けにどうしたんです?」

声が聞こえた。女性の声だ。しかし彼は何故か声の出処を探そうとはせずに独り言のようにポツポツと話していく。

「それはそれは・・・おつかれだったでしょう」

彼女の声を聞いている間に眠くなったのかもう一度目が覚めた時、そこには明るくなる空があった。そして彼の近くに、1匹の猫がいた。珍しい色をした猫。

「見守ってくれたのか・・・俺は護られてばっかりだなぁ・・・」

丘の上で手を広げ、晴れ晴れとした表情で寝転がった彼が猫をもう一度見ようと視線を落とした時、そこには何もいなかった。

「貴方ならもう大丈夫」

そう聞こえた気がした。
彼が朝日に向かって走っていったのを確認した後、奥の木の裏から彼女が出てきた。

誰も見ていなかったが、誰も彼女を知らないが、彼女が彼に笑いかけた笑顔はきっと一番美しいものだっただろう。
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