そこは夢の詰め合わせ

らい

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chi-

116.木漏れ日が指す一時の陽

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村からある一人の若い村人が狩りをしに森へと入る。いつものように、昨日までと同じように森へ狩りに行った。

若者は弓を引き、鹿や猪を狩る。そんな森が今日は何かおかしい気がしてならなかった。何故ならいつもは木々の枝に居るはずの鳥が、少し目を凝らせば居るはずの狼が、そこには居なかった。

「思い返せば獲物も少なかった・・・」

そうして引き返そうとした時、狼が居た。若者は弓を構えたがこちらを見ない。不審に思い、狼が見ている方を見ると影が動いているのが見えた。

ハッと視線を戻した時には狼はその影の元へ走っていっていた。若者はその影が人であった時、不味いと思ったのかそれを追いかけて走る。

「•*¨*•.¸¸♬︎」

森の奥、若者は聞いた細い声を。恐れのような声では無い、歌っているような声である。彼は茂みから弓を構えその奥を見た。

少し開けた広場のような場所で木漏れ日に照らされながらオオカミを手懐ける人影の姿がそこにはあった。

「なんだあれは・・・・」

若者は目を疑った。人の姿をしているのに人では無いことがはっきり分かる。急いでここから離れなければならない気がする。それでもその人影やオオカミ達から目を離すことができなかった。

視線を感じたのか人影が不意に茂みに隠れている若者を見た。若者は蛇に魅入られたように動けなくなった。オオカミ達が若者へと近付いてくる。若者は金縛りともいえるそれをどうにか抜け出し村へと逃げ帰った。

それ以降若者は狩りに行くことはしなかった。そしてあの日、何を見たのかも話そうとはしなかった。

まだ森にはオオカミを手懐ける人影が住んでいるのかもしれない。そしてそれはその森だけではなく、君達の近くの森にも居るのかもしれない。
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