そこは夢の詰め合わせ

らい

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天ヶ瀬

98.降り立つ者

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今日はというか、ここ数日は人が竹の切ったものを玄関先に置かれている。人間界だとなにか良いことが起こっている様だ。少し前にクリスマスという催しがあったにもかかわらず、数日でなにか切り替わっている。私はそれが気になって人になりきって店に入ってみようと思う。

「人間界の煙草も良い。」

指を鳴らして煙草に火をつけながら人の世界を歩いて回る。ふわりふわりと色々な出店、飲食店、娯楽施設を見て回りながら彼女は人の幸福を見た、人の欲を見た、人の姿を見た。人は愚かだが、人を創り出すものはとても良いものである。

「欲は身を滅ぼすけれど、これは良いものだ」

人の世界で創り出された食べ物を食べ歩きしながら彼女は歩く。天使は西洋のものであるがために現在天使が居る日本の文化には慣れなていないのである。

彼女はひとしきり楽しんだ後、人気のない路地へと入る。彼女はそっと持っていた煙草を捨てると元の煙草を咥え、紫煙を燻らせる。

白い翼・・・ではなく少しなにか違う暗い色が混ざった色の翼を羽ばたかせて空へ飛んだ彼女は少しのお土産と共に姿を消した。

後に残ったのは紫煙だけだった。
乾いた寒い空気に紫煙は少しの間燻り、そっと消えた。
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