104 / 164
紫蘭ママ
93.一面の不吉
しおりを挟む
「これは僕が見た、下半身が蛇のような姿の女性の話だ。」
真夜中、月明かりに照らされたそこは一面紫の世界。花吹雪により地面だけでなく空も紫に染まる。そんな紫の空間を作りしだしているのは「紫蘭」という花である。そこにたった一人。彼女はそんな花を持って月に掲げる。紫が白い月の光に照らされて輝く。
紫蘭の花言葉のひとつにこんなのがある。
「美しい姿」
それはおそらく何も知らない人からすればそう見れるだろう。なんとも美しく綺麗な姿。
彼女も紫蘭である。彼女はずっと紫の花に紛れて紫の彼女は哀しい顔をする。
紫蘭の花弁をひとつひとつ取りながら、夜空を見上げる。
「また・・・・」
それだけ言うと岩の上で下半身を蛇のような姿に変えた。その下半身は美しく綺麗な鱗でおおわれ、薄い緑色がかかった青。そんな姿をした彼女は紫の地面に降り立つ。
紫の花びらが空中を舞う。
巻き上がった花びらは重力に逆らうように空へ飛び、重力に習ってゆっくりと落ち始める。しかしその一瞬、花びらが落ち始める前に彼女はこちらを見た。
僕はその時「死」を覚悟した。蛇睨みのような体がすくみ、動けなくなった。その時、僕は一面に咲いていた紫蘭の花言葉をひとつ思い出した。不吉な花言葉として有名だからだ。
紫蘭の花言葉のひとつ
「不吉な予感」
僕が逃げようともがいているのを見て嘲笑うように彼女は僕に近づいた。しかし、何かを思う素振りを見せて、花畑の奥へと消えた。
そして僕はその時ハッとした。彼女の通った道は驚く程に酷い毒のようなもので地面が溶けていた。人にそんなものに勝てるものなどない。人は道具が無ければ生きていけない。人はだからそんな怪物を、強き怪物を忌み嫌う。
忌み嫌うもののたとえ。それを人は「蛇蝎」という。
真夜中、月明かりに照らされたそこは一面紫の世界。花吹雪により地面だけでなく空も紫に染まる。そんな紫の空間を作りしだしているのは「紫蘭」という花である。そこにたった一人。彼女はそんな花を持って月に掲げる。紫が白い月の光に照らされて輝く。
紫蘭の花言葉のひとつにこんなのがある。
「美しい姿」
それはおそらく何も知らない人からすればそう見れるだろう。なんとも美しく綺麗な姿。
彼女も紫蘭である。彼女はずっと紫の花に紛れて紫の彼女は哀しい顔をする。
紫蘭の花弁をひとつひとつ取りながら、夜空を見上げる。
「また・・・・」
それだけ言うと岩の上で下半身を蛇のような姿に変えた。その下半身は美しく綺麗な鱗でおおわれ、薄い緑色がかかった青。そんな姿をした彼女は紫の地面に降り立つ。
紫の花びらが空中を舞う。
巻き上がった花びらは重力に逆らうように空へ飛び、重力に習ってゆっくりと落ち始める。しかしその一瞬、花びらが落ち始める前に彼女はこちらを見た。
僕はその時「死」を覚悟した。蛇睨みのような体がすくみ、動けなくなった。その時、僕は一面に咲いていた紫蘭の花言葉をひとつ思い出した。不吉な花言葉として有名だからだ。
紫蘭の花言葉のひとつ
「不吉な予感」
僕が逃げようともがいているのを見て嘲笑うように彼女は僕に近づいた。しかし、何かを思う素振りを見せて、花畑の奥へと消えた。
そして僕はその時ハッとした。彼女の通った道は驚く程に酷い毒のようなもので地面が溶けていた。人にそんなものに勝てるものなどない。人は道具が無ければ生きていけない。人はだからそんな怪物を、強き怪物を忌み嫌う。
忌み嫌うもののたとえ。それを人は「蛇蝎」という。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
転生王子はダラけたい
朝比奈 和
ファンタジー
大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。
束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!
と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!
ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!
ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり!
※2016年11月。第1巻
2017年 4月。第2巻
2017年 9月。第3巻
2017年12月。第4巻
2018年 3月。第5巻
2018年 8月。第6巻
2018年12月。第7巻
2019年 5月。第8巻
2019年10月。第9巻
2020年 6月。第10巻
2020年12月。第11巻 出版しました。
PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。
投稿継続中です。よろしくお願いします!
【完結】愛猫ともふもふ異世界で愛玩される
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
状況不明のまま、見知らぬ草原へ放り出された私。幸いにして可愛い三匹の愛猫は無事だった。動物病院へ向かったはずなのに? そんな疑問を抱えながら、見つけた人影は二本足の熊で……。
食われる?! 固まった私に、熊は流暢な日本語で話しかけてきた。
「あなた……毛皮をどうしたの?」
「そういうあなたこそ、熊なのに立ってるじゃない」
思わず切り返した私は、彼女に気に入られたらしい。熊に保護され、狼と知り合い、豹に惚れられる。異世界転生は理解したけど、私以外が全部動物の世界だなんて……!?
もふもふしまくりの異世界で、非力な私は愛玩動物のように愛されて幸せになります。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/09/21……完結
2023/07/17……タイトル変更
2023/07/16……小説家になろう 転生/転移 ファンタジー日間 43位
2023/07/15……アルファポリス HOT女性向け 59位
2023/07/15……エブリスタ トレンド1位
2023/07/14……連載開始
500文字恋愛小説【SS集】
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
1ページ完結、掌編恋愛集。
1話の文量は500文字のみ。
(改行含まず)
1話は極短です。
1日1話更新、365話完結予定。
とはいえ、1話完結方式ですので、どこから読んでいただいてもOK。
好きなお話を見つけてください。
暇つぶしにどうぞ。
※本作品は過去に書いた作品の転載+書き下ろしです。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
美少女かと思ったらおっさんで、イケメンかと思ったら仏像モドキで、異世界かと思ったら俺の家が異世界みたいになってた。
zoubutsu
ファンタジー
性虐待、社会、歴史などについて検証しています。
ここは地球に似て非なる世界。しがないサラリーマンのマナトは、取り柄も無く趣味と言えばネット小説を読むくらい。遂に美少女に異世界召喚されたと思いきや、俺が読んでたのと何か違う…
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。
アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。
だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。
それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。
しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる