93 / 164
イバラ
84.塔
しおりを挟む
昔、昔のことだ。そこは美しい街だった。
澄んだ空気に透明感のある水が流れる川、自然豊かな森の中に調和するように建てられた建物。太陽が顔を出せば暗い森も活気を取り戻す。その街の真ん中にシンボルのように立っていた時計塔があった。
ただの時計塔ではなく、大きな鐘が付いており毎日夜と昼の12時に鐘が鳴る。これは必ず鳴らさねばならなかった。
若者が一度鳴らし忘れた時、大勢から責められるくらいにその鐘の音は人々にとって大切な物だった。
しかしどんな古い文献にもその鐘の事は多くは書かれていない。ただ街が出来た時にはもう鐘と時計塔はあったのだ。
ある夜 塔 その屋根に
「なんだ・・・あれは・・・!」
一人の若者が時計塔を指さした事から始まった。そこには三角錐の屋根に巻き付くようにして人ならざるものが居た。そして人々は理解した。鐘と時計塔はかの怪物が建て、作ったのだと。
━━━━━━━そこからは蹂躙だった。
見るも無残な街並みとなってしまったその街はある年を境に地図から消えた。人知れず、そしてその森は管理する人が居なくなってしまったため、荒れに荒れた。
いつしか錆れたその街は時計塔を残して消えた。文字通り消えたのだ。何も瓦礫があった訳でもない。砂となった訳でもない。何もそこには無かったかのように消えたのだ。
「LaーーLaーーー!」
時計塔の上で、朽ちた塔の上で彼女は一人。
一人で歌う。綺麗であるが憎悪の声、怨嗟と憎悪の声は聞く人の恐怖を煽る。
一見は綺麗な女性なのだ。しかしなにか違う。その目は何も見ていない。『無』である
その目はさながら「蛇睨み」
蛇に睨まれた蛙は動けなくなるように、ただ獲物を狩るだけの何か。それがそこに居た
澄んだ空気に透明感のある水が流れる川、自然豊かな森の中に調和するように建てられた建物。太陽が顔を出せば暗い森も活気を取り戻す。その街の真ん中にシンボルのように立っていた時計塔があった。
ただの時計塔ではなく、大きな鐘が付いており毎日夜と昼の12時に鐘が鳴る。これは必ず鳴らさねばならなかった。
若者が一度鳴らし忘れた時、大勢から責められるくらいにその鐘の音は人々にとって大切な物だった。
しかしどんな古い文献にもその鐘の事は多くは書かれていない。ただ街が出来た時にはもう鐘と時計塔はあったのだ。
ある夜 塔 その屋根に
「なんだ・・・あれは・・・!」
一人の若者が時計塔を指さした事から始まった。そこには三角錐の屋根に巻き付くようにして人ならざるものが居た。そして人々は理解した。鐘と時計塔はかの怪物が建て、作ったのだと。
━━━━━━━そこからは蹂躙だった。
見るも無残な街並みとなってしまったその街はある年を境に地図から消えた。人知れず、そしてその森は管理する人が居なくなってしまったため、荒れに荒れた。
いつしか錆れたその街は時計塔を残して消えた。文字通り消えたのだ。何も瓦礫があった訳でもない。砂となった訳でもない。何もそこには無かったかのように消えたのだ。
「LaーーLaーーー!」
時計塔の上で、朽ちた塔の上で彼女は一人。
一人で歌う。綺麗であるが憎悪の声、怨嗟と憎悪の声は聞く人の恐怖を煽る。
一見は綺麗な女性なのだ。しかしなにか違う。その目は何も見ていない。『無』である
その目はさながら「蛇睨み」
蛇に睨まれた蛙は動けなくなるように、ただ獲物を狩るだけの何か。それがそこに居た
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界でパッシブスキル「魅了」を得て無双する〜最強だけど最悪なスキルに振り回されてます〜
蒼井美紗
ファンタジー
突然異世界に飛ばされた涼太は、何故か最大レベルの魅了スキルを得た。しかしその魅了が常時発動のパッシブスキルで、近づいた全ての人や魔物までをも魅了してしまう。
綺麗な女性ならまだ良いけど、ムキムキの筋肉が目をハートにして俺に迫ってくるとか……マジで最悪だ!
何なんだよこのスキル、俺を地球に帰してくれ!
突然異世界に飛ばされて、最強だけど最悪なスキルを得た主人公が、地球への帰り方を探しながら異世界を冒険する物語です。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる