そこは夢の詰め合わせ

コロ

74.人工生物は命の芽吹きに嗤う

暗い暗い空間にふたつの男の声が響く。
それはその空間が広く高いことを教えてくれる。

「ようやく完成した・・・！」

感極まった声とともに機械音が木霊する。
正常な機械の作動音、水の流れる音、泡が液体の中で発生した音など、数多くの音が入り交じる。

「多くの生命体が犠牲になったがこの大いなる研究の礎となったのだから悪く思わないでほしいな。」

「しかしまさかこの生物が色濃く反映されるとはな。」

彼らの目の前にあるカプセルの中にいるその生物、ホムンクルスとまで呼ばれそうなキメラ、それが居た。そしてそれは目を開く。

警報音とともに亀裂音がカプセルに入る。

「なんだ！？何があった！」

「暴走している！制御システムダウン！『生き返るぞ』！」

カプセルが割れる。中にあった液体が壊れた拍子に床へと手を伸ばす。カプセルの中にいた、人ならざる生物は自分の鼓動音と自分にかかる重力を確認するとゆっくりと体を起こす。長い薄桃色の髪の間から鋭く力強い目が彼らを見る。

「アハハハハッ！ギャハハハハハハ！」

声を上げる。その声は高く、されど低い、矛盾のような声。それが狂ったように嗤う。彼らは震える。

「お、おい・・・声帯なんて付けたか・・・？」

こぼれ落ちた研究員の声は虚しくも彼女の声にかき消された。通報により駆けつけた警官が見たものは、破壊されたカプセルと壁、そして怯えた研究員だけであり『何がそうさせたのか、なぜこうなったのか』後から来た警官たちに知る術はなかった。
天井に開いた穴とともに。



抜け出した彼女は・・・
感情の思うがままに━━━━━━━━。