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紫苑
61.宇宙に手を伸ばす
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俺はある日、大切な大切な人をいきなり失った。死んだなどではない。いきなり消えたのだ。忽然と、そして彼女の存在を俺以外誰も覚えていなかった。そして彼女が居たという痕跡もなんにも残っていなかった。俺に渡された首飾り以外は。
「ッ・・・ハァハァ・・・」
肩で息をし、膝に手を着く。俺は今近くの山の中で1番高い山に来ている。その山の頂上まで走っている。今日は月が一番地球に近くなると言われている日。俺は彼女が月に居るとは思っていないが無性にそうしなければならないような感情になった。
「あぁなんて綺麗な・・・宇宙・・・」
頂上で首飾りをつけた男が一人大の字で仰向けになり宇宙を見ていた。それは空が明るくなってきているのにも気づかな位くらいに空を見ていた。その時だった。
「これ・・・は・・・」
彼女から貰った首飾りが夜明けの空に向かって一直線に光の線を描いた。それはどれくらいの時間が経ったのか分からないが、一時の間光の線が空を切り裂いた。そして消えた。
「ありがとう。『紫苑』」
俺は彼女が居なくなって初めて彼女の名前を呼んだ。首飾りが、夜明けの空に輝いた気がした。
「ッ・・・ハァハァ・・・」
肩で息をし、膝に手を着く。俺は今近くの山の中で1番高い山に来ている。その山の頂上まで走っている。今日は月が一番地球に近くなると言われている日。俺は彼女が月に居るとは思っていないが無性にそうしなければならないような感情になった。
「あぁなんて綺麗な・・・宇宙・・・」
頂上で首飾りをつけた男が一人大の字で仰向けになり宇宙を見ていた。それは空が明るくなってきているのにも気づかな位くらいに空を見ていた。その時だった。
「これ・・・は・・・」
彼女から貰った首飾りが夜明けの空に向かって一直線に光の線を描いた。それはどれくらいの時間が経ったのか分からないが、一時の間光の線が空を切り裂いた。そして消えた。
「ありがとう。『紫苑』」
俺は彼女が居なくなって初めて彼女の名前を呼んだ。首飾りが、夜明けの空に輝いた気がした。
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