6 / 164
キリン
6.路上に響く歌声
しおりを挟む
「•*¨*•.¸¸♬︎」
歌が聞こえる。吸い寄せられるような美しい歌声だった。遠くから聞こえたその歌の主を探すように、僕は人ごみを掻き分けて声の方へと走った。そこには金髪の女性がギターを持って歌っていた。
「綺麗だ・・・」
凛として立ち、ギターを持ち、音楽と共に出る歌声はこの路上の人々の心を踊らせた。スピーカーの横に立てかけてある看板には『琴ノ緒きりん』と書かれていた。おそらく彼女の名前だろう。路上のはずなのに、そこは小さな小さなライブ会場だった。
「皆が来てくれるのをずーっと首を長くして待ってたよ!」
彼女が元気よく話す。僕は無言で、食い入るように彼女の歌を、歌声を聞いていた。いつの間にか、人集りは大きく大きくなって行った。数ある有名人はこうやって有名になるのだと、この時初めて僕は分かった気がした。
「•*¨*•.¸¸♬︎」
子供、青年、大人まで彼女の歌を聞き続けた。それは星空がはっきりと見えるようになるまで路上のライブは続けられた。
「星空が見えたことだし、今日はここまでにするね~!また何処かで会えたら、また歌声を、私の歌を聞きに来てね!」
それから僕はめっきり彼女を見かけなかった。しかし数年後、あるポスターを見た時だった。それは彼女だった。僕が知らない間に彼女は有名な歌姫にへと変わっていったのである。そんな僕が彼女を思い出したポスターにはやはりこう書いてあった。
皆と会えるのを首を長くして待ってるね!
歌が聞こえる。吸い寄せられるような美しい歌声だった。遠くから聞こえたその歌の主を探すように、僕は人ごみを掻き分けて声の方へと走った。そこには金髪の女性がギターを持って歌っていた。
「綺麗だ・・・」
凛として立ち、ギターを持ち、音楽と共に出る歌声はこの路上の人々の心を踊らせた。スピーカーの横に立てかけてある看板には『琴ノ緒きりん』と書かれていた。おそらく彼女の名前だろう。路上のはずなのに、そこは小さな小さなライブ会場だった。
「皆が来てくれるのをずーっと首を長くして待ってたよ!」
彼女が元気よく話す。僕は無言で、食い入るように彼女の歌を、歌声を聞いていた。いつの間にか、人集りは大きく大きくなって行った。数ある有名人はこうやって有名になるのだと、この時初めて僕は分かった気がした。
「•*¨*•.¸¸♬︎」
子供、青年、大人まで彼女の歌を聞き続けた。それは星空がはっきりと見えるようになるまで路上のライブは続けられた。
「星空が見えたことだし、今日はここまでにするね~!また何処かで会えたら、また歌声を、私の歌を聞きに来てね!」
それから僕はめっきり彼女を見かけなかった。しかし数年後、あるポスターを見た時だった。それは彼女だった。僕が知らない間に彼女は有名な歌姫にへと変わっていったのである。そんな僕が彼女を思い出したポスターにはやはりこう書いてあった。
皆と会えるのを首を長くして待ってるね!
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる