そこは夢の詰め合わせ

ミア

20.遺されていた記録

僕は旅をしていた、その時にあったある機械人形の話をしよう。

「ア・・・アァ・・・」

途切れ途切れに音？声？が聞こえる。僕はその音の方へと音を頼りに進んだ。

「これは・・・！」

僕がそこで見たのは、ツタや、苔で所々を覆われ、草木と一体化したような女性の機械人形のようなサイボーグだった。

「まだ・・・傷ついてないな・・・」

彼女の最後の気力だったのだろうか、彼女の手には記憶のSDカードが厳重なケースに入れられて、握られていた。

「これを・・・ここに・・・」

僕はそのSDカードを再生する。

『これを見ている誰か。ありがとう。そしてお願いがある。この記録を彼に渡して欲しい。』

それを僕は最後まで見て、見終わってから右頬に流れる何かを初めて自覚した。その伝言とはとても寂しくて、虚しくて、辛いものだったが、何か暖かい何かがあった。

「これは届けなくては。」

僕は旅を中断してでもこの記録を届けなくてはならない。そう思うほどにはその記録は人の心を動かすものだった。

機械となった彼女がある一人の人間に遺した記録、それはいつの日か彼に届くのだろう。