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雨睡
2.雨と紫陽花
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雨雲が明るかった空を覆う。一刻の後、雨が降り出した。私は傘を持っていなかった。
「大変!服が濡れちゃう!」
私は鞄を頭に乗せて、せめて少しでも濡れないようにと走った。雨宿りできそうな場所を見つけ、私はそこでひと休みする。少し服が濡れてしまった。
「酷い雨だね・・・大丈夫?」
後ろを振り返ると、藍い髪をした男性がたっていた。優しそうな目をしていた。私は一瞬固まってしまったが、ここは店の前だったようだ。私はそれを察して深く謝ろうとした。
「いえいえ大丈夫ですよ。良ければこの傘を使ってください。お代は要りませんから。」
私はそのご好意に甘えることにした。貰った傘は和風な傘で、彼の髪色のような藍い色をしていた。
私は家に帰り、彼のおかけで風邪をひく事もなかった。そして彼にお礼を言いに行こうとしたのだが、どうにも店の場所が思い出せなかった。そんな出来事から数ヶ月前の話だ。
「.•*¨*•.¸¸♬」
聞き覚えのある声が聞こえた。その時私は紫陽花の咲く公園に来ており、今年もその紫陽花は美しく咲いていた。私はきっと彼だと、彼しか居ないと思い、聞こえる方に走った。
そこは藍と紫の紫陽花が並んでいる花壇だった。そしてそこに、藍い傘を持った『彼』が居た。彼はこちらに気づき、思い出したようで、笑いかけてくれた。そして彼は答える。
「お久しぶりですね。変わらず傘、使ってくれてますか?」
藍と紫の紫陽花に囲まれたその場所で二人の笑い声が木霊する。
「大変!服が濡れちゃう!」
私は鞄を頭に乗せて、せめて少しでも濡れないようにと走った。雨宿りできそうな場所を見つけ、私はそこでひと休みする。少し服が濡れてしまった。
「酷い雨だね・・・大丈夫?」
後ろを振り返ると、藍い髪をした男性がたっていた。優しそうな目をしていた。私は一瞬固まってしまったが、ここは店の前だったようだ。私はそれを察して深く謝ろうとした。
「いえいえ大丈夫ですよ。良ければこの傘を使ってください。お代は要りませんから。」
私はそのご好意に甘えることにした。貰った傘は和風な傘で、彼の髪色のような藍い色をしていた。
私は家に帰り、彼のおかけで風邪をひく事もなかった。そして彼にお礼を言いに行こうとしたのだが、どうにも店の場所が思い出せなかった。そんな出来事から数ヶ月前の話だ。
「.•*¨*•.¸¸♬」
聞き覚えのある声が聞こえた。その時私は紫陽花の咲く公園に来ており、今年もその紫陽花は美しく咲いていた。私はきっと彼だと、彼しか居ないと思い、聞こえる方に走った。
そこは藍と紫の紫陽花が並んでいる花壇だった。そしてそこに、藍い傘を持った『彼』が居た。彼はこちらに気づき、思い出したようで、笑いかけてくれた。そして彼は答える。
「お久しぶりですね。変わらず傘、使ってくれてますか?」
藍と紫の紫陽花に囲まれたその場所で二人の笑い声が木霊する。
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