そこは夢の詰め合わせ

ミア

17.音楽と流星群

空を見上げた彼女には美しい流星群が目に映る。空を見上げた彼女の目を魅了するのに十分な美しさだった。

「あぁ・・・綺麗・・・」

彼女は崩れかけた廃ビルの壁に寄りかかり空を見上げる。流星群はどの星座の流星群だったのか彼女には分からないけれど、彼女にはどうでも良い。廃れたこの世界にただ一人、生きている人間は彼女以外居ない。そんな彼女は機械の尾をしならせた。

「こんな時誰か隣に居れば良いのにな・・」

彼女の目は悲観に暮れる。しかし暮れた所で、彼女の隣に居る人は居ない。居るのは動物だけである。彼女はそれを分かっている。しかし言わなければ生きては行けないのだ。彼女は立ち上がると、少し壊れた音楽プレーヤーにイヤホンを繋ぎ、今日も音楽を聴く。
毎日同じ、同じ音楽を聴く。その音楽プレーヤーが壊れているため、歌の合間に雑音が入る。その雑音はこの壊れた世界の奇怪な存在のように。

居ては行けない彼女が雑音のように聴こえている。しかしそれが聴こえるのはこの世界で生きている彼女だけである。