そこは夢の詰め合わせ

しばみや

24.黄色に輝く

「ほ～ら？はやくはやく！」

彼女に手を引かれる。耳が出ている麦わら帽子を被った彼女は『柴雅』である。僕は少し困りながらも彼女に手を引かれる。何故こんなことになっているのかと思いながら僕は彼女に案内されるがままに、ある場所へと到着した。

「ほらここ！僕の秘密の場所なんだ～！」

「綺麗・・・・」

そんな声が零れてしまうほどに、彼女の髪色のような、黄色の美しい『向日葵』の花畑が広がっていた。森の一部に広がる向日葵はとても美しく、彼女の笑顔のような向日葵だった。

「気に入ってくれた？僕はそんなびっくりした顔をした君が見たかったんだ！」

彼女の笑顔に思わずドキッとしてしまうが、彼女はファンの多い有名人なのだ。僕はその気持ちを伝える事はできない。彼女にそれを、彼女に悟られないように、僕は彼女の元へと走る。

「ここはいい所ですね。こんな綺麗な場所に連れてきてくれて、ありがとうございます。柴雅さんもとても綺麗に見えます。」

「ッ・・・」

彼女は顔を背け、ひまわりを見つめる。
気の所為か、彼女の頬や首元が少し赤く見えた気がした。

向日葵の花言葉は「あなただけを見つめる｣「愛の告白」「永遠の愛」「最愛」

それを知っているからこそ、その場所をこっそりと柴雅は選んだのだが、それを知っているからこそ、「綺麗」と言われて、気持ちが高揚してしまったようだ。

「僕は君が好きです。」

その時、風が吹いた。

「ん？なにか言いました？」

「いいや、なんにも。」

彼を見つめる彼女の目はそれは恋で染まっていた。それを彼は知らない。