そこは夢の詰め合わせ

らい

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雨睡

1.雨音に紛れて

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雨が降る。私の服が雨に濡れる。カバンを傘代わりにして走っていると誰かにぶつかってしまった。見あげるとそこには、青系統で統一された服に和をモチーフとした傘を差した男の人が立っていた。

「大丈夫ですか?」

ぶつかったのは私なのに彼が手を差し伸べてくれる。私はその手を取ると立ち上がる。

「すいません。私の不注意で・・・」

私は彼に謝る。しかし彼は別に悪いとは思っていないようで、彼の差していた傘を私に渡してきた。

「これ使って?遠慮はいらないから。」

少しの攻防の後、結局傘を渡されてしまった。彼は雨に振られながら遠くに消えてしまった。彼は貸してもらった傘を差して帰った。彼とは近くでまた会ったため、その時に傘を返した。彼は『雨睡おと』と言うらしいが私は聞いたことがなかった。でも何故か懐かしい気がした。

私は時間が経ち、成人した。変わらずそこで働いているのだが、ある日を境に彼と会うことはなかった。何故なのだろう。彼はどこへ言ってしまったのだろう。それから少したったある時私は、路地の奥に見えたなにかに引かれるようにある路地へ入った。そこでは傘が売ってあった。あの時、彼に貸してくれた傘の似たような傘が並んでいた。彼と同じ青色の傘を手に取り、店の奥に行くとそこには懐かしき『彼』が居た。

「こんおと!お久しぶりですね。良かったら、雨宿りしていきませんか?」

傘に雨が当たる音がする。
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