そこは夢の詰め合わせ

らい

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あらん

13.空に浮かぶ星と狐

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僕が転校する前日に行ったことの無かった神社へと出向いた。そこはこの街の一番高いところにあった。そこで、僕は見てしまった。空に浮かぶ狐の面を被った何かを。空に浮かび、空を漂うお狐様を。

「なに・・・あれ・・・」

言葉が漏れた。それが聞こえてしまったのだろう、彼はいきなり下を見た。そこで空を見上げていたのは僕だけだったのだろう。こちらに降りてきた。

「君は俺が見えるのかい?」

「え?うん・・・」

僕はとっさに返事してしまった。そこで彼は被っていたお面を僕に付けた。すると周りは僕のことを気にしなくなった。否、見えなくなったように、意識から外されたような、そんな感覚だった。

彼に手を握られ、僕は空を飛んだ。彼とその夜、星座のことについて沢山話した。その時彼は『こぎつね座』から来たと言っていた。しかし、にわかに信じられる話ではなかった。でも、それがほんとうに思わないと何故自分は今、空を飛んでいるか、説明がつかなかった。それでも彼と話すのは楽しかった。彼はここに来ればいつでも話せると言っていた。しかし僕は転校するのだ。もうこの街に戻ってくる事もないだろう。

「そうか、君は戻って来れないのか。」

彼は少し表情が暗くなった。しかし、彼は行かなければならない。その後、彼が言った。

「どうしても会いたくなったら僕から行くけど君から会いたくなったら『お狐様の神社』に行って。」

そこで彼は一度言葉を切り、こう続けた。

「そこで『狗竜あらん』と頭の中で叫べ。」

その後、彼と別れた。今もおそらく彼はあの街で空を見上げているのだろう。
あの街は『星の降る街』と呼ばれる街。
そしてあの時聞いたあれは彼の名前だったのかも知れない。僕はそう思いながら、神社に来ていた。狐が祀られている。

「久しぶりだね。『狗竜あらん』」

「久しぶりだね。」

僕の耳に確かに彼の声が聞こえた。
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